2019年05月10日

【追悼】孔雀王荻野真

孔雀王といえば、80年代伝奇ブームののリーダーだったといっても過言ではない。
菊地秀行、夢枕獏とともに、
70年代の怪奇ブームとは一味違ったテイストの、
伝奇ブームだった。


80年代は「気」「超能力」という、
スーパーパワー探求の時代であったとも言えよう。

バトルものが能力バトルものに完成する前は、
能力に根拠が必要だった。
それに「気」が現れ、
真言宗的曼荼羅世界観という根拠を持ったのが、
孔雀王という革命児だった。

漫画的呪文表現の多くはここで完成されている、
といっても過言ではない。
仏の世界をどんどん上昇していくのは、
バトルものにおけるインフレだったんだね。
大日如来が出てきて以降は、
そのインフレ感がなくなってしまったのは残念だった。

僕の中の伝奇の歴史は、
幻魔大戦、孔雀王、サイコダイバー、
童夢、アキラと繋がっている。


今、伝奇ものってあるのかな。
全部ラノベ異世界に吸収されてしまった感がある。

三上博史の実写映画は酷かった。
日本の漫画実写化は、
これから何一つ反省してないね。


風魔も伝奇ものの末端で、
僕は天狗世界を書いていて、
伝奇ものは僕の好きなフィールドなのかもしれない。
仏教もずいぶん詳しくなったし。


大人になればなるほど、
自分の世界の一部が終わってゆく。
そのたびに、私たちは始められているだろうか、
と問うことになる。
posted by おおおかとしひこ at 19:49| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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