孔雀王といえば、80年代伝奇ブームののリーダーだったといっても過言ではない。
菊地秀行、夢枕獏とともに、
70年代の怪奇ブームとは一味違ったテイストの、
伝奇ブームだった。
80年代は「気」「超能力」という、
スーパーパワー探求の時代であったとも言えよう。
バトルものが能力バトルものに完成する前は、
能力に根拠が必要だった。
それに「気」が現れ、
真言宗的曼荼羅世界観という根拠を持ったのが、
孔雀王という革命児だった。
漫画的呪文表現の多くはここで完成されている、
といっても過言ではない。
仏の世界をどんどん上昇していくのは、
バトルものにおけるインフレだったんだね。
大日如来が出てきて以降は、
そのインフレ感がなくなってしまったのは残念だった。
僕の中の伝奇の歴史は、
幻魔大戦、孔雀王、サイコダイバー、
童夢、アキラと繋がっている。
今、伝奇ものってあるのかな。
全部ラノベ異世界に吸収されてしまった感がある。
三上博史の実写映画は酷かった。
日本の漫画実写化は、
これから何一つ反省してないね。
風魔も伝奇ものの末端で、
僕は天狗世界を書いていて、
伝奇ものは僕の好きなフィールドなのかもしれない。
仏教もずいぶん詳しくなったし。
大人になればなるほど、
自分の世界の一部が終わってゆく。
そのたびに、私たちは始められているだろうか、
と問うことになる。
2019年05月10日
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