2019年05月16日

敵は不安を増大させる2

物凄いことをして不安にさせる手もある。
小さなことで不安にさせる手もある。


派手な例。
吊り橋を落として退路を断つ。
車を爆破して退路を断つ。
乗ってきた飛行機を爆破して、以下同。

小さな例。
鼓膜に針を突き立て、間違えたら刺さるようなメカをくっつける。
話し合いの場で、ドライブレコーダーをオンにしたり、
スマホで録画をはじめる。
「今のお前じゃどこに行っても通用しないから、
辞めても意味ないぞ」と、言葉で脅しをかける。
「はじめてなので、優しくしてください」という処女。


絵的に派手な、物凄いことは分かりやすい危機だ。
肉体的なことに関係する。

小さな例は、
心にプレッシャーをかけるわけだ。
1ミリの失敗も許されないように追い立てると良い。

これから数分間にプレッシャーをかけてもいいし、
何年も呪いをかけてもいいわけだ。

会社の例は、言葉による行動制限で、
つまりは高度な呪術である。
言葉による心理誘導には洗脳があり、
これらを研究すると、
人の心理をどう誘導するかについての経験論がある。
催眠術やメンタリズム、広告も同様だ。


恋は魔法などというが、
やりちんは魔法をかけるのがうまい。
セックスが上手いのではなく、
ベッドに至るまでの心理誘導が上手いのだ。

つまり魔法使いは、
それを悪用もできるし、善用もできる。
手段と目的は一致しなくてよい。

結局、動機が一番重要なのだ。


心理戦や頭脳戦を扱う作品は数多い。
「デスノート」や「カイジ」などがすぐ思い出されるだろう。
そこでは、
いかに相手を疑心暗鬼にさせるか、
今自分は疑心暗鬼の虜になっているのではないか、
というフェーズが必ずある。
不安は、相手を現実以上に大きく見せる武器である。

あるいは、
「クリムゾンタイド」では、
「冒頭の情報が真偽どちらか?」
ということを前提に、
不安だけで行動しなければならなくなる。
その不安を密室劇である潜水艦内で描いた傑作だ。

不安を利用して、
物語の軸を作り、話を進めることもできる、
ということを覚えておくといいだろう。


相手の手の内が全て分かっていて、
公明正大に戦えることは滅多にない。
常に隠し球とハッタリ(疑心暗鬼)の存在を考えて、
リアルな心理を作っていくといいだろう。

困ったら、
「やつは(あるいはそれは)、いつどこから来るか分からない」
と一言言えば、
緊張や不安がストーリーを覆う。


地震予言者や生命保険は、だから不安を商売道具にする詐欺師だ。
僕らと同じようにね。
posted by おおおかとしひこ at 10:02| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。