2019年05月19日

緩急の緩で伏線を張っておく

緩の部分は説明するところが多い。
急は、それを使って説明なしの急展開にするためだ。

ということは、緩の部分に伏線があって、
急の部分に解消があるということだ。


伏線は最初の方のシーンとは限らない。
二幕にもあれば、三幕にもある。
勿論前半の方が多いけど、
たとえば「ここはどこか」という説明が一行でもないものはないだろう。

逆にいえば、
「ここは○○だ」という表現を使って伏線にすることすら可能だ。

たとえば「クリスマス商戦まっただなかのショッピングモール」
という場所設定をしておき、
中央に大きなモミの木を見せておけば、
クライマックスに悪がそれに刺さって死ぬ
(大抵真上のガラスを割って落ちて行ってから刺さる)、
という解消をすることは可能だ。

それは一幕でも三幕でも設定可能だ。
このショッピングモールに来た時に、
ワンショット見せておけばいいからだ。

このワンショットを伏線と思う人は余程映画を見慣れている人だ。
しかし、「巨体クリスマスツリーの上に刺さって死ぬ」は、
ある意味よくあるネタだから、
これを出した時点で読まれるかもしれないが。

つまり、
読まれなければ、ワンショットでも伏線になり得る。
たとえばショッピングモールの代わりに、
ジェットコースターナメで遊園地を撮っておいて、
最後そのジェットコースターに轢かれて死ねばよい。
同じ構造だ。



場所設定なんて単純なものより、
緩の部分では沢山の情報を公開することになる。
だから、仕込む場所は沢山あることになる。

あとあと、それを使うことで急を作ることが出来るわけだ。

逆に言うと、
緩の部分は、集中力を一回なだめて、
緊張をほぐして、興味を別の方向へ向けて、
ストーリーの色合いを変えるだけではなく、
それそのものが伏線になるべきだ、
ということになる。

急を書き終え、
緩に至ると、
急にどうしていいか分からなくなることは、
稀によくある。

そういう時は、
次の急を頭の中に入れ、
そこに至るストーリーを書き始めたのだ、
と自覚して、
そこに必要な伏線を上手に張ることを考えればよいのだ。
posted by おおおかとしひこ at 15:20| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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