この話のテーマはなんでしょうか。
つくらないといけない。
タイトルはテーマを暗示するものです。それがヒントになります。
「大切な人を、二駅先に置いてきた」
という文学的なタイトルは、
綾が大切な人だったのだと分かる、
という落ちを暗示しています。
青い鳥のテーマ性と似ています。
「大切なものは一番身近なところにあって気づかないものだ」
ということでしょうか。
しかしそれと、「二駅先に置いてきた」との関連性はよくわかりません。
ところで、アパートと、実家の饅頭屋と、綾の勤める病院とは、
どのような位置関係になっているのでしょうか。
ラストをみる限り、
実家と病院が二駅離れている設定です。
ん?
近すぎない?
父と大喧嘩して家出同然に出てきたにしては、
アパートと病院がそれほど遠くないと仮定すると、
全体がこぢんまりしすぎていない?
最小で二駅、せいぜい一路線程度の範囲内で、
すべてが行われている設定ということになります。
なんだかへんです。
「二駅先」というちょうどいい距離感と、
関係ない感じです。
これは僕の憶測ですが、
タイトルを先に思いついていて、
(このストーリーを思いつくよりはるかに前に)
それを使った何かを、あとづけで考えたのではないでしょうか。
あるストーリーを書いてから、
それはこのタイトルしかありえない、
となったわけではなく、
タイトル先行の匂いがします。
このストーリー先行だとしたら、
これにぴったりのタイトルは「父の爆弾」
とかになるかもしれない。
そう考えると、綾とのラブストーリーパートと、
父の話の、二本が走っている構造だということが分かります。
メインはどっち?
僕は父の方だと感じました。
どんでんの大きさによります。
しかし、気持ちのメインはラブストーリーパートのような気がします。
タイトルにもそれは現れている。
ということは、このストーリーは分裂しているわけですね。
すなわち、このタイトルはタイトル倒れであると。
タイトルを生かすとして。
二駅離れたのは何か。
ラブストーリーメイン。
それがこの物語の読後感を決定しそうな気がします。
いろいろ考え、
僕は「二人が出会った公園」と設定してみてはどうか、
と考えてみました。
綾の勤める病院に、彼が迎えに来たところをラストシーンにして、
「大切な人を、二駅先に置いてきたんだ。
迎えにいかなくちゃ」と彼がいうのです。
「?」となる綾に対して、
「僕を助けてくれて、僕を支えてくれて、
僕が愛した大切な人が、
まだあの公園で漫画家になる日を待っているんだ。
彼女を置き去りに出来ない。
迎えに行かなくちゃ」
と、ある種へんてこなことを言うところをクライマックスにする、
ということを考えてみました。
電車で行ってもいいけれど、
歩いていきたいんだ、
なぜなら彼女に話す新作のアイデアをまとめたいから、
なんて言えば、
「じゃあ話してみて。彼女が喜ぶかどうか判定する」
と綾も言えるのではないでしょうか。
で、公園まで歩き出すところがラストシーンになると。
それがうまく漫画家を諦めないことと、
プロポーズの成功を意味できるようにすると、
タイトルにすとんと落ちるのではないかと考えました。
このように、ラストから考えることは、
よくあることです。
ではこれに落ちるような、中盤、
そもそもなぜ旅に出ようと思ったか、
ということを逆算で考えて行く必要があるでしょう。
次回。
2019年05月29日
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