パソ活さんが興味深いツイートをしていたので。
>タイプウェル40秒くらいまでならやればやるだけパソコン操作全般が快適になりそうだけど、
>32秒は実用入力においては意味がほとんど無くなってくると思う。
>普通なら50秒でやめても良いくらい。
僕はカナ配列、パソ活さんはローマ字という違いがあるので、
一概に同じタイムで比べるのも違う議論になる可能性があるものの、
感想でいうと、「速すぎる」って思ったんだよね。
僕の薙刀式の感触で言うと、
60秒で十分「頭の中に浮かんだものをばーっと書くレベル」でよくて、
70秒で「PCを扱うのに困らないレベル」だと思うのだ。
この数字の差の原因はいろいろあって、
・僕とパソ活さんの要求レベルがそもそも違う
・タイプウェルKとRの数字が同じ価値ではない
が考えられる。
複合的に効いているかもしれない。
しかしさらに面白い可能性があって、
・ローマ字の実務要求レベルより、薙刀式の実務要求レベルが低くて済む。
言葉を替えると、ゆっくり打っても薙刀式は実戦の文章が書きやすい。
ということはないだろうか、ということ。
ローマ字が大量の日本語文章を書くときに、
合理的な指使いをしていないことは明白で、
それが僕が配列のことを考え始めたきっかけだ。
で、合理的な指使いを求めて薙刀式にたどりついた。
また、タイプウェルの「ランダムな単語を反射で打って行く」
ことが実際の文章とかけ離れていることも明白で、
文章というのは関係性のことだから、
関連ある言葉がずらずらと出てくるもので、
それゆえにn-gram連接や決まり言葉を打ちやすいかどうかが、
指遣いや配列の肝になってくる。
それがないタイピングゲーム類は、
実戦を100%反映していない。
いや、実戦の半分以下しか再現できていないと僕は感じる。
で、
「ローマ字の実務要求レベルに達するまで鍛えなければならない量と、
薙刀式のそれでは、
薙刀式の鍛えるべき量がかなり少なくて済む」
だと相当におもしろいぞ、
と思ったのである。
そもそも、その量を減らすことが薙刀式の目的であって、
誰もが使える楽で合理的な配列を目指したことの、
これは成果なのではないか、
と少しうぬぼれたのだ。
もちろん、KとRの数字の意味に差があったり、
僕とパソ活さんの実務量が違うことが考えられるので、
彼我の差はそこにある可能性も否定できない。
しかし僕は薙刀式で、
たかだか60秒を切ったあたりで、
「思考を表すのに全く十分」と感じている。
僕とパソ活さんの思考量が全然違う可能性も、もちろんある。
人によって違うことを数字で量るのは、
そもそも数字のマジックに踊らされていることでもある。
真実はどのへんにあるのだろう。
(僕がさっさとタイプウェルでXになればわかることかも知れないが、
そうじゃないのでもどかしい。
qwertyでも同等になれば感覚としては分かるかもだ。
誰か両方の立場の人はいるのか)
そもそも「喋る速度」でよく引用される分速300字は、
NHKのアナウンサーの喋る速度の基準だ。
思考がこれより早いことは、
この喋りを理解できることから明らかだ。
また、思考は文字によるものだけでないことが、
最近明らかにされてきていて、
それに音を伴う人と伴わない人がいることが分ってきている。
そのどのへんの部分を思考の速度ととらえるかは、
人によって異なるかもしれない。
とりあえず、
そんなに速く打たないと実務に使えないqwertyローマ字を、
よい配列だとは思えないぞ、
と、僕は薙刀式サイドから見ている。
親指シフトが単なる速度ではなく「楽」ということに表現をシフトしたのも、
このへんのことを言おうとしたのかも。
こればかりは両方同程度にできる人しか判断できないかも。
(ちなみに僕のqwertyローマ字は、
タイプウェル90秒くらい。
ローマ字のカタナ式で70秒、カナの薙刀式で60秒くらい。
カタナ式ではやや実務には足りないかも、と感じていた。
打鍵数の多さでどうしても手間が多く感じる。
僕は、
qwertyローマ字では30分程度の作業で、
530字(変換後)/10分に対して、
薙刀式で1500〜1200という最大3倍の開きのペースで書いている。
タイプウェルの結果を等倍してもこの差は説明できないのが、
そもそも僕がタイプウェルをそんなに信用していない証拠。
実戦の文章には、
単語の要素ではない繋ぎ的な何かが多く、
それを打つのに薙刀式は合理がある)
事務仕事だと日常的に使う言い回しや、文章をコピー打鍵する機会も発生することがあるので、60秒よりも50秒のほうがかなり快適度が上がると実感した経験があります。仕事の一つとして、紙の申込書類から顧客データをたくさん入力する時なんかは、もっと速ければ速いほど快適になります。
それと比べると、ブログや小説など、誰かに向けてオリジナルの文章を生み出す工程だと、60秒から50秒になってもあまり意味がない、ということになるんじゃないでしょうか。
そういう意味では、今打っているこのコメント文も、オリジナル文章なので速すぎてもあまり意味がない、と言えると思います。
なので、「要求するレベルが違う」のではなく、「やることによって違う」という認識です。
引用されているTwitterだとそこらへんをすべて解説できない、というか、そもそもその違いまで意識してツイートしていなかったので、大岡さんの記事を見て改めて再定義した感じです。
ちなみにタイプウェルRとKは、かな文字数だと以下のようにかなり近い数値になるので、ローマ字とかな入力の比較だけでなく、さまざまな配列同士の比較としてむしろ優秀じゃないでしょうか。
(原稿用紙に書く時と同じように、濁点は「が」→1かな、拗音は「きゃ」→2かな、というふうにカウントしています。スペースはカウントしていません)
R(400打)→かな190・195・199・201・209
K(280打)→かな192・197・198・201・201
>これは仕事の内容によっても変わってくるんじゃないかと思いました。
なるほど、ぼくは「同じ言葉を書くなどもってのほか」
という立場の仕事なので、それ以外の仕事もたくさんあるでしょうね。
紙からデジタルに落とす、いわゆる「データ入力仕事」って、
いまどれくらいあるんでしょうかね。
それこそ音声読み上げ+ライブ変換が速そう。(固有名詞は難しいか)
以前も書いたけど、僕は自分の書く文章のほうが、コピーより速いんですよね。
他人の思考を頭に通すほうが時間がかかる。
なので、創作打鍵のことばかり考えがち、というのはあるかもです。
逆に「手で写す」仕事は皆無でしょうねえ。
作家の世界では、名作全文を手で写す「写経」と呼ばれる修行があって、
これはタイピングじゃなくて手でやったほうが身につく
(言葉遣いやリズムを盗みやすい)、という経験則があるんですよね。
これはローマ字だからかとか、Xタイパーならどうかとか、
親指シフトや薙刀式ならいいんじゃないかとか、
ほとんど検証されてない分野でもあります。
タイプウェルのRとKが、意外と近しいのは驚きですね。
うまく規格化されてるんだなあ。
ということで、単純タイム比較で以後語れるかもしれない…