2019年06月04日

【自キ】「親指シフト」の用語混乱を整理する

自キ勢力を中心に、「親指シフト」が違う言葉で使われがちなので、
整理しておきます。


1. 自作キーボードの、親指使用キーにシフトキーを置くこと。

自作キーボードはレイアウトが自由なため、
シフトキーやコントロールキーを親指で操作できるキーに置ける。
これは合理的な指遣いを考えれば当然の選択で、
弱い小指でシフトやコントロールを押すのは、不合理な指遣いである。
これらを、親指エンター、親指コントロール、親指BSなどと呼ぶことがあり、
「親指シフト」はその一種の文脈で使われがち。
(しかし3で見るように、「親指シフト」は、
1979年からあるカナ配列の名称である)

具体的には、親指使用キーにKC_LSFTを置くことで実現できる。

また自作キーボードでなくても、
従来のキーボードで、親指操作キー(変換キー、無変換キー、カナキーなど)に、
シフトやコントロールやエンターやBSを、
エミュレータソフトを用いてバインドしている人は、
昔からちょいちょいいたことは知っておくとよい。


2. 「単独押しでスペースキー、押しながら何かを押すとシフトキー」
に設定すること。

これは伝統的にSandSと呼ぶ(Space and Shift)。

記号系がUS配列でも打ちやすい方式で、
従来のキーボードでも、ソフトで設定していた人はいた。
僕も使ってます。英字のときも大文字をスペースでシフトできるし。

また、漢字とふりがなを大文字と小文字で明示的に指定する、
日本語入力システムSKKではこれを標準としている。

自作キーボードでは、親指使用キーにMT(MOD_LSFT, KC_SPC)が置かれること。


3. 富士通ワープロオアシスに搭載された、独自カナ入力システム(1979〜)。

31キー内に日本語のカナを収める。
親指位置に、独自の2つの物理親指キーを持っていて、
この親指キーと同時打鍵することで、
通常カナや濁音半濁音、小書きカナを一発で出せる方式。

(いわゆるシフトは「押しながら他のキーを押す」だが、
親指シフトはそれでは遅くなるとして、
親指キーと同時打鍵で打つ設定とした。
同時打鍵はどっちを先に打っても成立するので快適だが、
一方タイムリミット内に押さないと成立しない欠点や、
同時打鍵が沢山出てくるワードがうざいという欠点もある)

80年代ワープロ時代からあるので、
古参作家に使う人も多く、またブロガーなども取り入れて積極的に発信している。


元々は親指シフトキーボードというハードを使用していたが、
Windowsの標準化に伴い、
「変換キーを右親指キー、スペースキー(または無変換キー)を左親指キー」
に見立てた、ソフト上のエミュレーションで実現されるようになる。

Winのキーボードは、
メーカーや機種によって変換キーや無変換キーの位置にバラツキがあり、
Macだと英数カナキーが毎回同じところにあるため、
今親指シフトを始めるならMacがおススメかもしれない。
(MacBook一台で、スタバブロガーに相性がいい)

実装ソフトには、やまぶきR、DvorakJ、紅皿(いずれもWindows)、
Lacaille、Karabiner-Elements(いずれもMac)などがあり、
USBコンバータに、かえうち、OyaConvなどがある。

また自作キーボードでは、
同時打鍵実装さえできればよいので、
物理にいい親指キーを設定できるため、
QMK_firmwareでの実装例も出てきた。
(親指シフトの英語名NicolaやThumb Shiftで検索)
僕がソースコードまで理解してるのはeswaiさんのものだけだが。



これらが全部「親指シフト」で混同されがち。


80年代からの古参は3を親指シフトって言います。
1は「親指キーでシフト」「親指部分にシフトキー」、
2はSandSと呼ぶと混乱がないかと思われます。

ちなみに僕は親指シフトはベストの効率良いカナ配列とは考えてなくて、
独自の打ちやすいカナ配列薙刀式を使っています。


また、PCでなく自転車のシフトチェンジ、
カメラのシャッター半押しで、
親指で操作する「親指シフト」も他にあるそうです。

混乱したらここへ誘導を。
posted by おおおかとしひこ at 12:49| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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