け、せは出現率それぞれ1%程度、1%未満の、
大したことのないカナだ。
にも関わらず、
新JIS配列ではW、Eと、出現率にしてはいい位置にある。
これはRの「て」との連接、けてWR、せてERを意識したと考えられる。
新JISの設計記録を紐解くと、
左右のカナをまず分離してから、
場所を割り振ったそうだ。
つまり最初から、
け、せ、て、は同じ左手グループだったということ。
R位置の「て」はD位置の「し」と強い連接を持つ。
DRで「して」は悪手ではないだろう。
重要な「て」を決めてから、
けて、せて、の連接WR、ERで、
けW、せRが決まったのではないか、
と推測する。
この辺りに、左手グループにある、頻出「こ」を置けばいいのに、
と思うけど、何故か不遇のX位置。
2%強のカナを置くには悪手だと思う。
しかしWEがすでに埋まっていて、
「こと」を良運指XFにする為に、
ここにしたのだろうと推測される。
カナは、出現率に応じて並べればいいというものではない。
繋がりで言葉をつくるものである以上、
重要な言葉の重要な連接は、
いい運指であることが必要だと考える。
カナ配列の設計というものは、
何を重要な打ちやすい運指として、
何を妥協するかのセットだと僕は考える。
け、せ、に関してさらにいうと、
けた、せた、けい、せい、けん、せん、
およびその濁音への連接に僕は気を使ったし、
「(だ)けど」の連接をはやくて打てるように考慮した。
議論が複雑になるので、ここでは省略するが。
薙刀式ではわりと最後まで、
け、せ、に関しては悩んだので、
特別このあたりが気になるのかもしれない。
ちなみに、両者の配列で比較してみる(【】はシフト)。
けて、せて、して、こと
薙刀式: CE、【A】E、RE、VD
新JIS: WR、ER、DR、XF
薙刀式に比べ新JISのほうが、
け、せに関して優遇されていて、
して、ことは不遇だと感じられる。
こうした、
「基本語彙と運指のセット」こそが、配列だと僕は思う。
このような言葉の一連のセット(ネットワーク)みたいなものを、
各配列で比較して論じられればとてもおもしろいと思うが、
そこまで僕はいろんな配列に習熟しているわけではないので、
とりあえず薙刀式と新JISで比較してみたわけだ。
とはいえ、
僕が諦めた親指シフトの左手部よりは、
新JISは使いやすいと感じる。
高速打鍵配列の名作、月配列のベースになっているだけある。
濁音カナが左手に集中しているわりには、
あまりそれを意識せず、
言葉の流れに乗っていけるような感覚がある。
高速かはどうかは置いといて、
誰にでも使える配列になっていると思う。
2019年06月18日
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