僕は嘘だと思う。
「qwerty配列は、
アルファベット26文字を記憶すれば良いので、
英語も打てればローマ字も打てる。
だから日本語用の配列を覚えなくていい」
というのはデマだと僕は考える。
なぜなら、
ブラインドタッチというのは、
単語単位で運指を覚えるからだ。
tangoという運指を覚えないと、
ブラインドタッチとはいえない。
正確にいうと、
ta、n、goぐらいを覚えて、
tan、ngoを覚え、
tangoと一気に打てるまで指になじませる。
ブラインドタッチは、
このような「指に馴染ませた一連の動きを、
単語の数、あるいは構成要素の数だけマスターする」
ことに近い。
で、
これは、ローマ字と英語では全然違う動きなのだ。
もちろん英語でもtanやngなどの運指は共通かも知れないが、
それよりもth、er、ghなどの方が頻出するから、
まずはそれを指に馴染ませなければならないし、
そしてそれはローマ字では出てこない。
だから、
「学習初期は共通部分が多いが、
次第に別の記憶をしなければならず、
結局ほとんど共通部分がなくなる」
というのが結論だと思う。
たとえば英語とドイツ語では、
使用するアルファベットはほぼ共通だが、
単語の綴りがだいぶ異なっているから、
最初期は共通部分が多いが、
次第に全く別の運指をマスターしない限り、
速くは打てないだろう。
そして、英語とドイツ語よりも、
英語とローマ字のほうが距離が開いていることは明白。
ブラインドタッチは、
頭による記憶ではなく、
運動の記憶である。
運動記憶は、自転車に乗ったり駅までの道を歩くのと同様、
「思い出したりすることなく、無意識にする」
ことが可能だ。
「無意識で体が動くので、脳は100%別のことに使える」
ことも特色で、
駅までの道を考え事をしながら歩くとき、
間に何があったかは意識の外にあったはずだ。
「qwertyは英語もローマ字も共用できる」
などとデマをいう人は、
駅までの道を、
毎日「よし、交差点だ。ここを右だったな」
「この三叉路を左だ」などと確認することに等しい。
それは無意識の打鍵になるはずがない。
脳科学では、二種類の記憶形態があることが判明している。
頭による丸暗記を、宣言記憶、
無意識にできる運動記憶を、手続き記憶と呼んでいる。
「qwertyは英語もローマ字も共用できる」
とデマをいう人は、
配列のことを宣言記憶だと言い、
手続き記憶だと言っていないに等しい。
勘違いか、無知か、ブラインドタッチが両言語出来ないか、
悪質なデマである。
いずれにせよ、正しくない。
僕の結論は、
「その言語に特化した配列が一番合理的」
だと考えている。
日本語は日本語に特化した配列、
英語は英語に特化した配列を、
それぞれ使えばええやないか。
なので、僕個人用の結論は、
日本語は薙刀式、
英語はqwertyだ。
qwertyを使用しているのは、
英語を書かないからで、ブラインドタッチも出来なくて、
印字を見ながら打つからだ。
英語を打つ機会は、
パスワード、
メルアドやURLの直接入力(ほとんどコピペだが)、
検索ワード
くらいだろう。
一日100文字打つかな、くらいだし。
一方日本語は、こんな感じでばりばり書くので、
一日1万字は確保したい。
なので、日本語長文特化の、薙刀式を作ったわけである。
つまり、その言語の使用頻度で、
使用配列を決定すればいいと思う。
たとえば旧仮名遣いに特化した配列に、
蜩(ひぐらし)配列がある。
TRONキーボード上の実装なので、
使っている人は作者くらいしかいないかもだけれど、
古文調での言葉遣いをしたければ一考の価値があると考える。
擬古文小説とかね。
あるいは、僕は大阪弁が母語であるが、
薙刀式は共通語に特化しているため、
大阪弁がうちづらいときがある。
それよりもIMEが対応していないため、
大阪弁で書くことを二重に困難にしている。
大阪弁はまだメジャーだからたまに変換してくれるが、
そうでないくにの人の言葉を打つことは、
さらに困難になるだろう。
だから、大阪弁特化配列なんてのも、
いずれ作るかもしれない。しらんけど。
また、英語ローマ字共用配列には、
DvorakJP配列、
Eucalyn配列、Harmony配列、Astarte配列などがある。
しかし実質のところ、
「メインは英語(というかプログラミング)で、
日本語は補助的」な人がこれらを使用していると考えられる。
僕の使用頻度の逆だろうなあ、
などと想像する。
逆に薙刀式で英語が打てるようになればいいのか。
「あ」をaだと思うような対応表をつくれば良いわけだ。
結局それって、また新しい配列を覚えるのと同じ手間がかかる、
ということが想像される。
つまり、
結局一言語一配列の手間がかかるが、
メインの言語が決まっているため、
サブは犠牲にする、
というのが実質の運用だと思う。
「qwertyは英語もローマ字も共用できる」
と嘯く人は、「両方本気で使う」ことはしてないだろう。
「十得ナイフは十のナイフが入ってるのだ!」
とかいいながら、
十全部を十分に使ってない人と同じだと思う。
つまり、スペシャリストになりたければ、
スペシャリストの配列を使うべきだ、
というのが僕の考えだ。
僕はqwertyローマ字で長文を書くことは、
手にも脳にも仕事効率的にも悪いことしかないので、
qwertyの完全否定派だ。
初心者に劣悪な道具を勧めるべきではない。
その人はいずれなにかのスペシャリストになる。
配列のスペシャリストではなく、
何かのスペシャリストで、配列を道具として使うに過ぎない。
だから、「qwertyしか選択肢がない」
ことをやめて、
色んなスペシャリスト用の配列があることを、
僕は広めていきたいと考えている。
英語のことはよくわからないが、
Colmak配列がいいらしい。
Dvorakも健闘しているという。
日本語は、
僕は薙刀式が今のところ肌に合う。
親指シフトは欠点が沢山あると思う。
(物理キーボードを選ぶ以前に、
論理配列としての効率が悪いと考えている。詳しくは過去記事へ)
優秀な配列には、
新下駄、飛鳥、新JIS、月、などがある。
他にも沢山の日本語カナ配列、日本語ローマ字配列がある。
(詳しくは過去記事へ)
「おれはこれが好きなんだからこれを一生使う」も良いと思う。
ある道具を勧めるときに、
他にこんな道具もあるよ、
と道具に関する広い目を与えてあげることは、
道具の勧め方として正しい、
と言っているだけのことだ。
2019年06月24日
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