20gを使っていると言うと、
「手を置いた時押しっぱなしにならないですか?」
とよく言われる。
結論から言うと、ならない。
「キーの上に指を置いて準備する」をしてないからだ。
そもそも僕は指を置かない。
つまり、僕の打鍵法は「普通」と異なるかも知れない。
それをメモしておく。
キーボードのイベントで他の人と話したりして、
僕の打ち方をしてる人はあまりいなかった。
一番多かったのは、
「指の第二関節(指先から数えて二番め)を曲げ、
指先で突くようにして下に下ろす」
ような感じの打ち方だった。
打つと言うより下ろす、と表現した方が妥当な感じ。
手首はつけない。
机のヘリに腕を接触する人もいた。
これならキーボード面が多少高くても、
パームレスト無しでいける。
ならほど、これなら指をホームポジションに置いた状態スタートで、
指を下に落とすようにすれば最短距離での運動が可能だ。
これならば、おそらく「ホームポジションに指を置きっ放しに」
という感覚が先立つのだろう。
僕は全然違う。
おそらくずっとデスクトップMacの、
低いパンタグラフしか触ったことがなく、
メンブレンやメカニカルの背の高いキーボードを
使ってこなかったからかもしれないが、
「机に手首をベタ置き」がデフォルトだ。
ノートPCのような、「撫で打ち」が基本の指遣い。
指の腹(指紋を取るところ)で、滑らせて打つ。
垂直に力を加えると重たく感じるので、
滑らせた方が力が少ない感触がある。
しかも無意識に、「奥から手前に引っ掻く」(特に下段)
ことをしていて、このせいで腱鞘炎になったので、
「手前から奥に指を滑らせる」という、
前滑り法に矯正したことは、以前散々書いた。
で、4指を自由に水平平面上に動かすために、
手首の、とくに小指側をつけて、
そこが重心ポイントになる。
そこを支点にして手首を回転させることもある。
(とくに左に傾いた伝統キーボードでは、
左手を手首を中心に左手にひねる必要があり、
これまた腱鞘炎の原因になる。
ていうかなった。だから左右対称格子配列の、
自作キーボードへ変えた)
なので、
重心は手首の小指側一点で、
指はキーから浮かせた状態で構える。
腕は置くときもあるし浮かせるときもある。
だからホームポジションには、触れてないことすらある。
だからどんなに軽いキーを使っても、
「指が勝手に押す」ことはない。
体重をかけてないわけだし。
僕の手の使い方と、「普通」の使い方は、
このように全然異なる。
どう違うんだろうと考えていて、
僕のは「ペンを使うときの手の使い方」
だとはたと気づいた。
ペンや万年筆を触ればわかる。
ボールペンよりも、ペン先からインクがにじむタイプのを使ってみたまえ。
紙にペンをつけるとインクが出て行くから、
デフォフトでペン先は紙につけない。
だから手首小指側の一点に重心がある。
で、そこでの回転力も使いながら、
ペン先を紙に触れた瞬間から書き始めになり、
「横に滑らせて」書く。
垂直方向に力は入れない。
ペン先を紙につけている限り、
毛細管現象でインクは勝手に出て行く。
「書く」こととは、紙の平面上に、
「ペン先を動かす」ことで実現する。
垂直方向に力を入れるときは、
太い線でタッチをつけるときだけ。
デフォフトは、横方向にしか動かさない。
ちなみに毛筆、とくに小筆も同じだ。
大筆は腕を浮かすため、
手首をつけることができないので、
僕は苦手である。
これでわかっただろう。
僕の打鍵法は、万年筆やペンと同じ手の使い方なんだ。
万年筆の押下圧は?
0なのかな。接触でいいから。
僕は、極端なことをいえば、
キーの押下圧は0でよいと考えていて、
タッチパネルでいいと考えている。
(ブラインドタッチできないから、
物理的に溝が入っているなどで感触でわかるタッチパネルがいい)
そこに、垂直に叩くのではなく、
滑らせることで打鍵したい。
それは、まさにペンで書くときの力の使い方だ。
「普通の」打鍵法は、
これに比べるとピアノの打鍵法だ。
ピアノは腕を浮かし、
指の第二関節を曲げ、指先を落とすようにして弾く。
手首をつけてたら88の鍵に手が届かないから、
腕を自由にしてどこでも飛ばせるようにする。
そうすると力(ピアノの鍵の押下圧は55gから60gに調整する)
が必要なので、
腕の重さを使って、重力方向に動かすことで、
鍵を弾く。
この伝統的弾き方がタイプライターに引き継がれ、
それがキーボード(メンブレン)の、
基本的打ち方となったと、
僕は考えている。
僕はこれを経由していない。
僕は絵描きで字書きなので、
手首をつけたペン先を動かすやり方で、
キーを撫でていたようだ。
ちなみに、
このやり方だと、親指を、「指の横で接触して、横に動かす」
ことでしか打鍵できない。
「普通の」では親指も鍵状に曲げて、
指先で打つことも出来るだろう
(そして親指シフトではそれが推奨)が、
横打ちしか出来ない。
親指を多用する薙刀式では、
そこがネックになることもわかっていて、
だから僕は「他の4指のように打てる親指キー」
を開発して、
現在miniAxeに装着して、ご機嫌なのだ。
ちなみに現在は、
人差し指中指は20g、
親指薬指小指は15gの変荷重を使っている。
20gにしないと、「戻りが遅い」ということに気づいた。
今速い時で平均秒間4.7打鍵程度だから、
15gだとゆっくりしか戻ってこない時がたまにある。
小指や薬指キーは薙刀式でそんなに使わないので、
戻りをシビアに考えなくてよくて、
よく使うキーの戻りが重要で、
だから微妙にそこを変えている。
ちなみに、
僕の愛用するボールペンも、
ペンになるべく近い、軽い押下圧を使っている。
たまに垂直に力を使わなきゃいけないボールペンを触ると、
イライラする。
サラサラと書きたい。
サラサラと、というのは、
「垂直方向に力を入れず、
面方向にしか力を使わない」
ことだと僕は考えている。
つまり、
僕は「ペンのようにキーボードを使う」
ことが目的のようだ。
「普通の」打鍵法では、
20gは軽すぎるかもしれない。
僕にとってはもっと軽くていい。
(押し込みと戻りでバネ力を変えられるなら、
もっと軽くしたい)
万年筆の押下圧は0。理想はそこ。
2019年06月25日
この記事へのコメント
コメントを書く