人気の自作キーボードキットの、
独断と偏見のガイドを書いてみようかな。
紹介するのはこちら。
日本のメーカーによるもの
MiniAxe: 36%/Split/Ortholiner
crkbd: 36%/Split/Column-Staggered
Zinc: 40%/Split/Row-Staggered
Claw44: 40%/Split/Column-Staggered
Nomu30: 30%/Integrated/Row-Staggered
Ergo42: 60%/Split/Ortholiner
Mint60: 60%/Split/Row-Staggered
HelixPico: 40%/Split/Ortholiner
TreadStone32: 32%/Integrated/Irregular-Row-Staggered
Naked48: 40%/Integrated/Ortholiner
NumAtreus: 40%/Integrated/Row-Staggered
外国のメーカーによるもの
Planck: 40%/Integrated/Ortholiner
Gherkin: 30%/Integrated/Ortholiner
三つの要素にわけてみた。
【○%キーボード】
○%というのは、キーの数だ。
フルキーボードが108ないし109キーだから、
その大体何%かで示す習慣。
10%刻みが慣習だが、40%未満はキー数で%を示した。
60%がhhkbと同じファンクション段なし
(最下段の何かと同時押しで、数字がファンクションキーに)
40%が数字段なし
(最下段の何かと同時押しで、数字やファンクションになる)
30%が親指キーなし
(なにかのキーと同時押しで、足りないキーを補う)
である。
キー数が少ないほど、
手が「全部のキーを同時に支配する」感覚が強いが、
同時押しの記憶負担が大きい。
(手間はそんなに気にならなくなる。イニシャルコストだけかな)
40%程度ならキーの刻印もいらなくなる。手が覚えるし。
キー数が多いほど、覚える必要がなく、
印字ありのキーキャップを使うことになるだろう。
ただし、「全てのキーに即触れる」という状態でなくなる。
物理的に指が届かないし、必死で覚えなくなるからだ。
僕個人は32%が理想だと思うが、
薙刀式との関連で、36%のMiniAxeを愛用している。
【SplitかIntegratedか】
伝統的なキーボードは肩が狭くなり、
肩凝りや腱鞘炎の原因になる。
エルゴノミクスを考えたキーボードは左右に割れるべき。
左右分割型の場合、
4指と親指をどう分けるかの考え方が、
キーボードによって異なり、
親指キーの配置で個性を主張することが多い。
これだけ親指位置が色々あるってことは、
やっぱり親指の正解はまだないってことだ。
殆どの左右分割型は、TRSSケーブルで左右を繋ぐ。
しかし、
左キーボードと右キーボードを繋ぎ、
左キーボードとPC本体とをmicroB-AのUSBケーブルで繋ぎ、
しまうときはまた外し、
なんて手間が面倒なため、
一体型のキーボードがモビリティ的に流行の兆しのようだ。
左右分割型が、思いつく限りのスタイルが出回ったから、
という事情もあるかもしれない。
【Ortholiner/Column-Staggered/Row-Staggered】
伝統的なキーボードは左に傾いている。
正確にいうと行がずれている。
これを Row-Staggeredという。
理不尽で不合理だ。
左右対称が合理だろう。
格子型に配置して、幾何学的に考えたのがOrtholiner。
指の長さに応じて、タテにずらしたのがColumn-Staggered。
また、
「従来のキーボードと離れすぎると使いづらい、
ブラインドタッチしづらい」
という理由から、 Row-Staggeredにあえて戻ったキーボードもある。
僕個人はColumn-Staggeredがいいと思ったが、
「自分の指と長さ比率が合わない」悲劇があることを、
いろんな自作キーボードを触って実感した。
無難なのはOrtholinerだと思う。
では写真付きで紹介。
無断引用だけど、自作キーボード界隈を活性化させるためです。
不都合があればご連絡ください。
MiniAxe: 36%/Split/Ortholiner
https://booth.pm/ja/items/1094860
ミニマルなデザイン、機能的なキーマップ。
僕の愛機でもある。
親指キーに物理的工夫が出来るなら、かなり良い。
あとハンダ初心者には組み立てが辛い。
過去記事にハンダ初めての僕の試行錯誤をまとめてある。
choc(ロープロスイッチ)対応にLPモデルがあるが、
親指キーがあまり好きではない。
物理で工夫できれば、薄くて理想かもしれない。
crkbd: 36%/Split/Column-Staggered
https://yushakobo.jp/shop/corne-cherry/
コルネキーボード。検索しづらいからか、
crkbd表記で統一している模様。
多分自作キーボードの中で一番人気で、一番スタンダードだろう。
キー数自体はminiAxeと同じだけど、親指キーが押しやすいかも。
choc対応もあるよ。
(追記訂正: MiniAxeより小指外の3キーずつ計6キー多いです。
なので総計42キーですね)
僕個人は、Column-Staggeredが合わなかった。
薙刀式の運指上、遠くなるアルペジオが発生するし。
ケースバリエーションがいっぱいあるのも魅力。
Zinc: 40%/Split/Row-Staggered
https://booth.pm/ja/items/1076720
Row-Staggeredのまま左右分割にしたい人用。
同様のコンセプトにMint60があるが、
キー数を少なくして、40%のコンパクトさを重視。
ケースバリエーションがいっぱいある。
Claw44: 40%/Split/Column-Staggered
https://booth.pm/ja/items/1283873
親指キーの張り出しは、これが一番異常では。
しかし親指の根元から中心に扇型に並ぶという、
よく考えれば合理的配置。
Nomu30: 30%/Integrated/Row-Staggered
https://yushakobo.jp/shop/nomu30kit/
JISエンターがカッコイイキーボード。
親指キーがないのも含めて、デザイン的にカッコイイ。
スペースキーやモデファイアは、左と右下にあるそうです。
まあキーマップ変えて自分好みにしていくんだろうけど。
あと、写真はどれも上から撮ってるから、
すごい薄いイメージがあるけど、
実機を持ってみると、他の自作キーボードと同じくらいの厚みです。
基本機構が同じなんだから、そりゃそうか。
Ergo42: 60%/Split/Ortholiner
https://yushakobo.jp/shop/ergo42-towel/
古参キーボードのひとつ。
キー数が多いから、何も考えずに使える名作。
作りやすいし、一家に一台だね。
僕は片方だけを、カタナ式専用キーボードにしてやった。
Mint60: 60%/Split/Row-Staggered
https://eucalyn.shop/shop/kits/mint60-basic
このキーボードが無かったら、
こんなに自作キーボードは流行らなかったかも知れない、
草分け的存在。
「キーキャップは可愛い」という概念を強く押し出し、
「60%を二つに割っただけ」にして従来のキーボードとの差異をなるべく減らし、
新規参入をしやすくした功績は大きい。
「左右分割」「キーキャップは可愛い」
に絞ったことで、自作キーボードがわかりやすくなった。
ただ僕個人はRow-Staggeredで左手腱鞘炎になったため、
手を出す気はない。でもかわいい。
HelixPico: 40%/Split/Ortholiner
https://yushakobo.jp/shop/helixpico/
これも草分け的存在。
chocロープロスイッチで、しかも狭キーピッチなので、
薄くて使いやすい。
もうすこしchocキーキャップのバリエーションがあったらなあ…
TreadStone32: 32%/Integrated/Irregular-Row-Staggered
(ビルドガイドは以下。販売は不定期?)
https://github.com/marksard/Keyboards/blob/master/treadstone32/documents/treadstone32_buildguide.md
異形Row-Staggeredと名付けた、
左右対称かつ上段が逆にズレている配列。
〉〈みたいになっている。
親指キーは二つしかなく、
このミニマムさはすごい。
薙刀式を載せたいが、他のキーが何もなくなるので、
33か34キーだったら買ったかもなあ。
一体型だから、持ち運びもしやすいしね。
キー数の多いTreadStone42もあるよ。
Naked48: 40%/Integrated/Ortholiner
https://booth.pm/ja/items/1271568
一体型で、持ち運びを考えたもの。
カバーが標準でつき、
そのまま裸でカバンにつっこめるといっていい。
(他の自作キーボードは、なんだかんだいって、
バッグインバッグが必要だろう)
BTモデルが最高だと思う。
chocロープロスイッチ専用なので、薄くて便利。
chocの親指キーの最適解が見つかれば、ぜひ欲しい。
NumAtreus: 40%/Integrated/Row-Staggered
https://yushakobo.jp/shop/numatreus-kit/
左右一体型。
両手をハノ字にするのは、ひとつの最適解と思われる。
これ一個持って出かけるというのは気分がいいだろうなあ。
個人的には肘が開いてしまい、ハノ字は諦めた。
肘から先は平行のまま伸ばした方が僕は好き。
Planck: 40%/Integrated/Ortholiner
https://olkb.com/planck
2年前、まだhhkbしか知らなかった時に、
これをYouTubeで見た時の衝撃よ。
今でも最適解のひとつでは?
ただのOrtholinerだけだと微妙な不満があり、
その後のキーボード達はこれを変形していったもの、
と考えることが出来るだろう。
Gherkin: 30%/Integrated/Ortholiner
https://spacecat.design/products/gherkin-kit
30%の元祖にして到達点。
薙刀式が親指キーいらないなら、僕はこれがほしい。
あるいは、VMあたりを親指キーとした、
Gherkin専用親指シフト配列が、作れるかも知れない。
(たとえば親指2シフト薙刀式「槍式」の変形版とか)
ざっくりと独断と偏見の紹介でした。
紹介しきれないほど、この3倍くらいあるのかな。
特に海外で人気の、
一体型ハイエンド(60%伝統キーボードスタイルが主流)は、
とくに興味がないので取り上げなかった。
NiZとhhkbで十分かもなと思っている。
3Dスタイルのキーボードも取り上げなかった。
手配線は初心者向けではないだろう。
片手キーボードやテンキーなどは、
ハンダ入門、ファームウェア入門にちょうどいい。
meishi、dozen0、attack25などがある。
ちなみにキースイッチとキーキャップは、全て別売り。
ケーブルもついてないやつもある。
自作キーボードとは基盤が本体で、
スペーサーでアクリルを上下につけただけなのだ。
(横の隙間を埋めるケースは、大抵作者と別の人が作っている)
キースイッチは、
MXスイッチなら、
Gateron Silent Red 45gがまずは間違いないかな。
あとはテスター触って好みを見つけてねとしか。
いいやつは高いのでご注意を。
僕個人は、Kailhクリームスイッチを静音改造して、
20g、15gに改造している。
ロープロのchocスイッチはバリエーションが殆どなく、
キーキャップも充実してないので、
僕はまだ見送りの状態。
キーキャップは、
PBT素材で、
DSA(オールフラット)か、
チェリープロファイルか、OEMプロファイルがおススメ。
XDAとMDAは、写真は可愛いけど実用はどうかなあ。
指がすぐ痛くなると思う。
どうせキーの場所変えるから、無刻印がおススメです。
DSAとチェリーの白か黒の無刻印セット買っとけば、
大抵は役に立つ。
また、従来のプロファイルがベストで手に合うとは限らない。
3Dプリントで新しいプロファイルを開発している人もいる。
(3Dプリントに耐える、細かい精度の素材がまだ限られていて、
PBTなどの素材には劣るのが残念。
一般的にはMJ12あたりが使われるのかな)
僕個人は、プラだと手が痛いので、
木(チーク材)を削り出した、
独自プロファイルの木ーキャップを使用中。
サラサラで滑るし柔らかい、天然の力。
本革や象牙もいいかもしれない。
2019年06月28日
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