チェリーMXスイッチ、およびその互換軸が何種類あるか分からないが
(遊舎工房のテスターは50種くらい?あそこにないやつもあるしなあ)、
どれも元祖MXのコピー品だから、基本設計は殆ど変わらない。
トップから2mm沈んでアクチュエーション、
底打ちまで4mm。
その中で、1mmでアクチュエーション、
底打ちまで3mmと、ハウジングごと変えた特殊軸が銀軸だ。
銀軸は通称で、
MXスピードシルバー(45g、リニア)、
Kailhスピードシルバー(40g、リニア)、
スピードカッパー(40g、タクタイル)、
スピードゴールド(50g、クリッキー)、
が入手できる。
(もっと重いのがあと3種ほど)
僕はリニアにしか興味がないので、
MXかKailhかの選択になるけど、
半額くらい安いKailhにした。
どうせバネは15gに変えるのだし。
僕の大きな目的は、疲労軽減である。
平面の運動は論理配列によって減らしてきたわけだが、
鉛直方向は物理で減らすことが出来る。
バネの押下圧をこれまで、
55→45→35→20→15
と減らしてきた。
今回は鉛直の距離だ。
(平面方向の距離はキーピッチを減らすことで実現するはずだが、
PCBの再設計が必要なため、まだ手が出せない)
仕事量は力×距離の積分なので、
積分量を減らせば疲労は楽になるだろう、という試みである。
クリームスイッチのふかふか感はとても気に入っていたが、
制動距離が半分になるとなったら、
硬質な打鍵感に戻ってまでも試す必要があると感じた。
しかし独自のハウジングが開けづらい。
1mm物理的に低くなっているのがワクワクするが、
MXスイッチとパッキンの形が違うので、
従来のキースイッチオープナーやピンセットによるオープンの方法では無理だ。
独自のコツが分かったので記しておく。
用意するもの:つまようじとピンセット
1. 一方の側面につまようじの先を1mm程度刺す。
あとでここに戻ってきて、ピンセットの先を挿入出来る程度の隙間を確保しておく。
2. 反対側の側面に、ピンセットの先を滑らせて挿入。
ピンセットは精密用の、薄いやつでないと入らない。
まず1をやらない状態で、側面ごと爪カバーになっている部分、
トップとボトムハウジングの隙間に、
滑らせて挿入出来るかを試し、コツを掴むと良い。
変に力を入れるとガッていって傷になるので、慎重に。
ピンセットの先がするっと入ったら、
二つある爪の真ん中の隙間に、タテに奥までピンセット先を挿入、
テコを効かせればパカリと開く。
しかしこれは片方にすぎず、
反対側と同時にやらないと開かないことがわかると思う。
で、1の伏線が効いてくる。
つまようじを反対側に挿入しておくと回転力がかかり、
締まり気味になるので、
ピンセットの挿入はより困難になることに注意。
コツとしては、
側面の平面に平行、挿入角45度くらいにピンセット先をつけて、
スライドさせながら挿入すること。
刃物の先が入るようなイメージで。
3. 反対側が開いたらその形をキープしたままピンセットを抜き、
反対側のつまようじが入った隙間にピンセット先を挿入。
無事開くだろう。
4. 注意としては、中のバネがビヨーンと飛び出てくるため、
ゆっくり静かにやることだ。
ガッて開いたら確実にバネが飛び、
机の下の亜空間に消えて、二度と再会できないだろう。
(2個なくし、捜索過程で別の無くしたバネを発見)
飛び出る前提で掌を構えたりしよう。
バネが転がるのも机から落ちる原因なので、
僕はバネ交換をするときは、
つまようじなどを手前に置いて堰き止めるなどしている。
(それでも事故は0ではない…)
これを32回ほどやり、
20g15gの変荷重をやめて、
オール15gの銀軸としてみた。
まず最初に感じたことは、
小指や薬指、上段のカス当たりを拾ってくれること。
撫で打ちで、「撫ではしたけど打ててないかも」
くらいのを拾ってくれる。
アクチュエーションポイントまで半分になったわけだから、
当然だろう。
逆に、人差し指にはそんなに恩恵はないかも。GHはあるか。
また、
アクチュエーションポイントまでの距離半減よりも、
フルストロークが短い(3/4)の方が、
印象として大きいかもしれない。
単純に底打ちしないのに慣れないだけだろう。
手の動きが全体に「薄くなった」という感触かな。
積分値を下げる目的だから、感想としては合ってるはず。
親指キーの連続シフト(押しっぱなし)が、
かなり良くなった。
ストロークが短いことで、ホールドが楽。
(タッチキーで触ってる間はホールド、くらいが理想なのかね)
軸のぐらつき(ステムの直進性)は、
クリームスイッチより劣るはずだが、
ストロークが短いので、
ぶれてる暇に底つきになるだろうから、
さして感じない。
これをPOM素材で作れば、
スピードクリームが出来るのだろう。
クリームスイッチのクリーミーさ(柔らかい中に芯がある)は、
捨てがたいが、
しばらく15g銀軸を試してみます。
「全体にシャープでクールで薄くなった」
というのが言葉による感想かなあ。
ソケットによるホットスワップ設計のminiAxeに感謝。
スイッチをいろいろ試せるのは楽しい。
打鍵は奥が深い。
Kailh Speed Silverは
1.1±0.3mm
3.5mm
と書いてありますね。
Low Profileなら1.0mmのものもあるようです。
メカニカルゲーミングキーボードの「キースイッチ」について。軸色ごとの特徴、各メーカーの違い、各キースイッチの仕様 – DPQP
https://dpqp.jp/tips/mechanical-keyswitches#Kailh_Speed_Silver
話を分かりやすくするために四捨五入してます。
遊舎工房のテスターでMX銀とKailh銀を打ち比べた
(表示が変わるのでONがわかる)ところ、
0.2mmの差はわからかなったので。
自分のキーボードで打ってみると、感じ方は変わるかもしれません。
それよりも押下圧の効果のほうが圧倒的に大きいと感じます。
デフォルトの40gは僕には昔の65gぐらいに感じますね。
あとの記事でも書きましたが、
キーキャップの効果がまともに出るので、
使いこなすには煮詰める必要がある軸だと思いました。
15gでもクリームスイッチだと底打ちしないんですけど、
3mmのストロークだと底打ちは避けられない感じ。
押下圧を上げれば避けられるけど、それじゃ意味がない…
自作キーボーダーたちは、
「実際に文字を書く」ことに関してどうセッティングするか、
あまり書かないですね。
全角/半角、変換無変換の位置や役割すら議論してないし…
なので、失敗も含めて出来るだけ書こうとしています。
そういえばチェリーのロープロスイッチもありましたね。
ロープロで銀軸があるとは知りませんでした。
スティングレイとか触ろうと思ってたのを思い出した。
チェリーロープロはまだ自作界隈ではほとんど聞かないですね。
パーツ単体としては出回ってないのかしら。