2019年07月12日

暗闇に光の点を当て、周りに順に当てていく

では、リライトのゴタゴタを経ても、
なお「初見のように書く」コツはないのだろうか?

僕が今のところ考えているのは、
まず暗闇を想像して、
一点の光を当てて、
そこから順に光を当てていくイメージだ。


何かを前提とした直しをやると、
これを忘れてしまいがちだ。

最初が暗闇でなく、
最初から灯りがついていて、すでに何かが見えている状態になったり、
光を当てるべきところに当てず、
別のところに当ててしまいがちになる。
暗闇であることを忘れて、
全部が見えている前提で光を当ててしまう。
あるいは、二つ三つ同時に光を当ててしまう。


物語とは、初見での理解のことだ。

なにもかも暗闇からはじまるのだ。
そこに一点だけ強烈な光が当たり、
世界が開かれるのである。
一点だから注目するし、
二点以上だったら分散するので集中が出来ない。
一点だから、注目して集中するのだ。

その光を見ているうちに、
光は次のところに当たる。
展開だ。
最初の一点と次の一点だけが世界になる。
そこで理解したことだけが世界で、
他は暗闇である。
(残りの暗闇がこうかもしれないと想像することも、
暗闇には含まれている)

あとは繰り返しだ。
光のスポットは常に一つで、
光の軌跡だけが世界の理解で、
残りの暗闇は明らかではない。

そうして、最後まで光の当たらないところはあるし、
光が全て当たった全貌だけが、
その物語の世界全体で、
それだけでテーマの構造が出来ていなければ、
その物語を不完全という。


それを、初見の一回きりでパフォーマンスすることが、
物語を語るということである。


リライトを何度もやると、
この暗闇と光の一点の関係を見失いがちだ。

だからイメージで覚えていて欲しい。

最初は暗闇。
何も知らない。
一点だけ強い光。
光が次に当たる。
ゆっくりと、素早く、調子が変わりながら、
光の当たる部分が増えていく。

そして、当てるべきところに全部当たったら、
「全部を理解した」となり、
ストーリーは完成しておしまいだ。

余計なところに光を当てない。
暗闇は保つ。
光は常に1スポット。
光を当てるべきところをきちんと当てて芯を食う。
終わりどころを見極める。


演劇がイメージに近いのかもしれない。

これらを注意しながら想像できれば、
リライトで迷路に入ることは少ないかもだ。
posted by おおおかとしひこ at 16:16| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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