では、リライトのゴタゴタを経ても、
なお「初見のように書く」コツはないのだろうか?
僕が今のところ考えているのは、
まず暗闇を想像して、
一点の光を当てて、
そこから順に光を当てていくイメージだ。
何かを前提とした直しをやると、
これを忘れてしまいがちだ。
最初が暗闇でなく、
最初から灯りがついていて、すでに何かが見えている状態になったり、
光を当てるべきところに当てず、
別のところに当ててしまいがちになる。
暗闇であることを忘れて、
全部が見えている前提で光を当ててしまう。
あるいは、二つ三つ同時に光を当ててしまう。
物語とは、初見での理解のことだ。
なにもかも暗闇からはじまるのだ。
そこに一点だけ強烈な光が当たり、
世界が開かれるのである。
一点だから注目するし、
二点以上だったら分散するので集中が出来ない。
一点だから、注目して集中するのだ。
その光を見ているうちに、
光は次のところに当たる。
展開だ。
最初の一点と次の一点だけが世界になる。
そこで理解したことだけが世界で、
他は暗闇である。
(残りの暗闇がこうかもしれないと想像することも、
暗闇には含まれている)
あとは繰り返しだ。
光のスポットは常に一つで、
光の軌跡だけが世界の理解で、
残りの暗闇は明らかではない。
そうして、最後まで光の当たらないところはあるし、
光が全て当たった全貌だけが、
その物語の世界全体で、
それだけでテーマの構造が出来ていなければ、
その物語を不完全という。
それを、初見の一回きりでパフォーマンスすることが、
物語を語るということである。
リライトを何度もやると、
この暗闇と光の一点の関係を見失いがちだ。
だからイメージで覚えていて欲しい。
最初は暗闇。
何も知らない。
一点だけ強い光。
光が次に当たる。
ゆっくりと、素早く、調子が変わりながら、
光の当たる部分が増えていく。
そして、当てるべきところに全部当たったら、
「全部を理解した」となり、
ストーリーは完成しておしまいだ。
余計なところに光を当てない。
暗闇は保つ。
光は常に1スポット。
光を当てるべきところをきちんと当てて芯を食う。
終わりどころを見極める。
演劇がイメージに近いのかもしれない。
これらを注意しながら想像できれば、
リライトで迷路に入ることは少ないかもだ。
2019年07月12日
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