2019年07月20日

人は不可解なことに理屈を求める

物語の原点はこれだと僕は考えている。

今回の京アニ爆破事件(ガソリン40LはTNT火薬300kg相当)
に関して、動機や犯人が不可解なことで、
ネットでは憶測が飛び交っている。


痛ましい出来事であり、犯人は許されるべきでないが、
死んだ者は戻らない。
感情に流されず、次我々は何をすべきかが、
この事件を取り扱うことだ。


ネットで拾って興味深かった次の二説から、
「人が物語を求める理由」について議論したい。
これは人間の本質と関係あると僕は思う。


1. 犯人は鉄オタ「バリサク君」
2. 韓国による組織的犯罪


この事件において、我々が即座にわからなかったことがある。
犯人の動機と、
なぜ(免許証を確保したにも関わらず)犯人の名前が丸一日伏せられたか
だ。

この二説は時間差を置いて発生した。
犯人の名前が一日発表が遅れる前に、
まず広まったのが1.のバリサク君犯人説だ。

バリサク君とは、鉄オタの中でも撮り鉄で、
「バリバリ順光で撮り、サクサクセッティングして撤収する」
という言葉を「バリサク」と称して活動していた人らしい。
発言はかなりイッテいる感じだった。
一方京アニの「響けユーフォニアム」の作中で、
バリトンサックスをバリサクと言ったため
(この略称自体は吹奏楽でポピュラーだそうだ)、
バリサクといえばバリトンサックスになってしまったので、
バリサク君が発狂したというものだ。

「パクりやがって!」と叫んだという第一報と、
京アニへの異常な恨み、
かつバリサク君が事件の前日5ちゃんから消えたことが、
バリサク君犯人説の状況証拠となった。


これは、
「犯人は何者か?」「どういう動機で狂気の行動に出たのか?」
という我々の不可解、そして不安に答える、
「一連の説明」になっているように見える。

しかしこれは、
「犯人の確保時、『自分の小説のアイデアをパクられた』
と証言した」という情報とともにしぼむ。

犯人はキチガイ小説家(または良くある引きこもり小説オタ)
という新たなプロファイルによって書き換えられることになった。


一方、この事件ではさらに不可解な点がある。

・当日セキュリティが切られていた
・屋上のドアが施錠されていた(数日前にタバコを捨てた者がいるため)
(この施錠はデマだった説もある)
・セキュリティが切られたのは、当日NHKの取材が入る為
・取材のため、スタジオには京アニの要人が集合していた
・セキュリティ解除時間は30分程度で、そこに偶然埼玉から京都まで来た男が侵入
・第一報はそのNHKが撮影

という、一連のNHK自作自演説だ。
もちろんNHKに動機があるわけではないし、
NHKでは多数の京アニ作が流されている。

一方、犯人名発表に丸一日かかったことで、
「犯人は韓国人では」(関東大震災から進歩してない)
「犯人は精神疾患があるのでは」
などの疑惑が持たれた。

で、これが韓国犯人説となる。

日本のアニメは、今韓国の下請けプロダクションなしには成立していないほど、
頼っているらしい。
日本のアニメは外国がどうやっても真似できないクオリティ
(と外国が信じている)ため、
かつての家電技術同様、韓国が盗もうとしているのだと言われている。
そして、
京アニだけは、韓国プロダクションへの下請けを、
断り続けて来たというのだ。

派手に事件を起こすことで、
お前らもこうなるぞという脅しが、
計画的になされたという説で、
NHKと韓国の裏の繋がりから、
韓国→NHK→実行犯という組織的犯行である、
という説だ。

もっとも、京アニは韓国を妨害しようとした意図はなく、
元々は子育てで引退した女性アニメーターが、
小遣いの足しになると思って建てた、
内職スタジオだったそうだ。
だからアニメーターにきちんと給料を払う、
ホワイト会社かつ内製率100の、
昔ながらの家内制手工業会社だったそう。
わざわざ韓国を妨害する意図は少ないだろう。
(京都はいまだに在日部落の問題が色濃く残るが、
その件は本論と関係ないので省く。
僕は7年京都に住んでいたので、ニュアンスは分かる)

さらに、
・NHKのディレクターは、
犯罪厚生寮を昔取材した際に、
犯罪の前歴があり、そこに住んでいた、犯人青葉真司と接触していた
という情報も出てきた。
(ガセ説あり)

また、
・京都府警が100人体制でこの件を調べる
という情報もあり、
公安が安倍の指示で動いている情報もある。
犯人が確保されているにもかかわらず、
何を100人で調べるのか。

つまりこれはひとりの犯行ではなく、
組織的犯罪である説だ。


京アニの建物は螺旋階段による吹き抜け構造で、
一階にガソリンを撒けば建物全体に気化したガソリンが周り、
全体爆破にちょうどよくなる構造をしていた。
これが偶然か、計画的かという問題だ。

セキュリティが切れた30分間に、
なぜか埼玉から来た狂人が紛れ込み、
この建物を全焼させる最も効率のいい方法を取った。

この不可解を説明するための、
韓国-NHK犯人説である。

これは、日本が韓国のフッ化水素使途不明を追求する中での、
経済制裁に対する報復であるとも、
ネット内では言われている。
東京五輪不参加に触れた韓国の、
政治的駆け引きのテロであると。



さて。

事の真偽はここでは追求しない。

ここは脚本というストーリーを議論する場である。

つまり、ストーリーとは何か?
に僕は興味がある。


僕はストーリーの原型とは、
「この世の不可思議、理不尽、不可解に対することに、
理屈の通った答えを出すこと」だと考えている。

人類の歴史的には、最初は神話や宗教がそれに答え、
次に神学や哲学がそれに答え、
次に錬金術から派生した科学が答えるようになった。
そしてこれらはすべて、
「ストーリーの形で語られている」
という形式であることに注意されたい。

つまりストーリーとは本質的に、
「時間軸を持つ説明」なのであるということ。

何故人は死ぬのか。
世界の果てはどうなっているのか。
この世界はどうして出来たのか。
神は本当にいるのか。

これら究極の疑問への答えは出ていない。
これらのサブ問題については、
解明が進んだものがある。
それらをストーリー形式で、
つまり、
これがこうなってああなったのだ、
と納得のいく時間軸で説明するのが、
科学や哲学や宗教なのである。

(高度な科学、たとえば相対性理論は、
我々の理解しやすいストーリー形式で記述されないため、
「難解」と言われている)


我々が扱うストーリーはフィクションのストーリーだが、
これと同じ構造、機能を有している。

つまり、世界があり、人が存在する架空世界で、
「納得のいく一連の構造を描くことで、
不可解や理不尽の謎を解明する」
ことをする、ということだ。


京アニ爆破事件には、
いくつかの不可解さがある。

それを、
「納得のいく一連のもの」で、
「理解しようとする」という性質が、
人間にはあるということだ。


バリサク君犯人説は、反証で覆された。
韓国犯人説を反証するだけの証拠はまだ出て来ていないため、
反証がでない限り、
この説は生き残るだろう。

あるフィクションのストーリーに、
不可解な点があった時、
受け手側は様々な「解釈」をすることがある。
その解釈を潰すために反証を探す人もいる。

対象が現実であろうが、フィクションであろうが、
人の性質は同じだということだ。

つまり、人は、
「不可解なことに対して、納得のいく解明を欲する」
ということである。



つまりストーリーとは、
上手に不可解を散りばめ、
それらが最後にストンと腑に落ちるようにしておくのが、
最上ということである。

前半に謎のないストーリーは詰まらないし、
後半にそうだったのか!がない話は詰まらないし、
「これ全体はこういう意味だったのだ」
とストンと落ちる構造になっていないストーリーは、
詰まらないのである。


逆に、不可解な911が陰謀説によって「納得!」
となるほうが、私たちにとって心地いいのだ。
(陰謀論は、何か別の重大な事実を、
「わかった!」で隠すための撒き餌である説もある)



現実は、フィクションのようには整理されていない。

もし青葉がこのまま死ねば、
不可解は残り、珍説は花開くだろう。
痛ましい事件であるからこそ、
全容解明を、フィクション並みにさせてスッキリしたいものだ。



私たちは、納得のいかない傷を放置できない。
それを癒すのは、「これにはこういう意味があった」
だけだと僕は考えている。

ここから、フィクションの本質が理解できる。
フィクションとは、まず不安にさせて、そののち安心させることだ。


逆にデマとは、その不安と解明のセットでやって来るぞ。
(例:「関東大震災のどさくさに、韓国人が盗みを働いたりレイプしている」
犯人は日本人だったかもしれないし、盗みもレイプもなかったかも知れないが、
不安を悪役に集約させることで安心したいという心理)
posted by おおおかとしひこ at 11:40| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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