配列図の見方にはコツがある。
ぼーっと見てるのもいいけれど、
カナを探すのも大変だし、
僕が他の人のカナ配列の配列図を見るときのコツを、
いくつか書いてみる。
(ローマ字配列についてはまた別記事で書くかも)
1. 「いうんしかとのた」がどこにあるか
2. 範囲
3. ホーム段になにがあるか
4. シフト機構
5. 濁音の打ち方、半濁音の打ち方
6. 小書き、拗音、外来音の打ち方
7. 影響を受けている配列
8. 句読点、長音、促音の場所
9. 機能キー
10. 連接を試してみる
ひとつずつ解説してみる。
1. 「いうんしかとのた」がどこにあるか
この8文字は、たいていの日本語頻出統計の上位8文字だ。
濁音を統計に含むかどうかで変動はするけど、
重要カナであることに変わりはない。
大抵このあとが「、」になることが多く、
カナ配置をざっとみるにはこの8カナくらいが良い。
8文字も覚えられないなら、まずトップ3の「いうん」
に注目するとよい。その配列の背骨がどこにあるか分かる。
たとえば。
薙刀式: KLM 右手に集中し、ホームJは空けてある
飛鳥: KDJ 中段段内側左右にわけた
新下駄: KJF ホームキーから左右に並べた感じ
新JIS: KJU 右手ホームに集中
親指シフト: LA; 中段の外指。これは他にない特徴
などで背骨だけを比較することができる。
2. 範囲
4段/3段の違いは、大きく人を選ぶ。
4段は広範囲だが単打でまかなえる。
3段は手の届く範囲に収まるが、
そのかわりシフトを使わざるを得ない。
(押しながらだろうが同時打鍵だろうが、二打になるカナがあるということ)
1打で済ませたいので広くしてもいいか、
多少機構が複雑になってもいいから狭くしたいかだ。
段だけでなく、
小指伸ばし領域をどこまで使うのか、
QPTYなど伸ばしづらいキーをどうしてるのか、
などはその配列の個性になる。
現在もっとも広い配列がいろは坂(カナ領域56)、
狭いのが薙刀式と英月(28)、
ローマ字を含めばひばり(8)だ。
指の使用本数でいえば、6本しか使わないカタナ式もある。
ほとんどの配列は、
この2点でおおまかな描像を把握出来ると思う。
あとは細かいところをチェックしていくことになる。
3. ホーム段になにがあるか
ホーム段は、その配列の主張だ。
FJという最重要キーになにを置くのか、
デフォルトで構えるホーム段に何を置くのかは、
「その配列が、そこから展開する」
ベースを何と考えているのかが現れる。
(いろは坂のように、ホーム段が一列でないものもある)
大事なカナを、
シフトにしてでもホーム段に載せているのか、
単打にしてでもホーム段を外しているかも注目ポイント。
これと1を組み合わせれば、
その配列の大体の感触が理解できる。
4. シフト機構
シフトが合わない人はほんとに合わないので、これは結構重要。
どの指でシフトするのか、
同時/通常/前置/後置、
逐次/連続
のパラメータがある。
中指前置は僕に合わなかったので、月系は挫折したし、
逐次シフトより連続シフトの方が僕は好きだ。
また新下駄や月のように親指を使わない配列は、
親指になにかを置ける可能性を持っている。
逆に親指2シフト系は、
適切なキーボード選びに時間がかかる欠点を内包している。
(You自作キーボードしちゃいなyo!)
あと個人的に、
同手シフトと逆手シフトを使い分けないといけないのは苦手だ。
シフトの面数が多いと怯む人も多いけど、
範囲の広さとのトレードオフと考えれば、
それほどしんどいことではないと思う。
5. 濁音の打ち方、半濁音の打ち方
濁点後置、清濁同置の同時押しシフト、
清濁別置などがある。
これは、次の6とともに、
日本語に沢山ある(100モーラ以上)カナを、
どう整理するか、という考え方に関係がある。
濁音だけで20カナ、ヴを濁音に含めるかなどもあるよ。
6. 小書き、拗音、外来音の打ち方
僕は新JIS系統の、小書きが別置になっているのが気持ち悪くて、
JISのシフトで小書き、というのは直感的で好きだ。
(問題は場所が悪いだけで)
このへんになってくると、
シフト機構と場所の絡んだ問題になってくる。
また、下駄配列が導入した「拗音同時押し」は、
僕はとても気に入っていて、
そこから「しょう」などをアルペジオで行けるのも好きだ。
拗音は種類が沢山あるわりに総頻度3%と、
整理を間違えるとややこしいだけになってしまう部分。
いっそ「ゃ」「ゅ」「ょ」キーを用意する方が清々しかったり。
7. 影響を受けている配列
作者が明言していることがある。
カナの配置やシフト機構が似ていることが多いので、
オリジナルと比較することで、
どこが改良されたのかなどが読みとりやすい。
8. 句読点、長音、促音の場所
句読点の位置は悩ましい部分。
大体いい位置をカナと取り合うことになる。
「、」はトップ10に入る頻度カナだ。
薙刀式のように「。確定」として、
変換時に確定を兼ねて打つキーとしているのもある。
月系列はMS-IMEのローマ字定義で実装することが目的なので、
句読点位置は仕様で変えられないらしい。
個人的にはいまだにqwertyの,.は間違えるので、
これを変えられるのは、配列変更の大きなメリットだと思う。
また長音「ー」は、総頻度的には少ないものの、
外来語で頻出する特異的なカナ(記号?)だ。
「っ」のあとはKTHSの濁音行、
およびその濁音半濁音しかないことも知られている。
それを加味した打ち味かもチェックポイント。
あるいは、・「」!?の記号類も配列に含まれるかもしれない。
9. 機能キー
BS、エンター、カーソルなどは、
文字入力システムに必須にも関わらず、
デフォルトでは大変遠い位置にある。
これらを配列内に合理的に位置させるか、
それ以外はユーザーの自由とするかは、
配列によって異なる。
(作者が親指キーに色々割り振っているが、
公式にはそれに入っていない新下駄や蜂蜜小梅もある)
カナを打つだけでなく、変換その他の総合的な効率化を考えているか、
も重要な要素だ。
カタナ式、薙刀式は、
BS、エンター、カーソルを配列に入れ込む前提で設計された。
飛鳥は他にESCなども盛り込んだようだ。
10. 連接を試してみる
これらで配列を理解できてきたら、
好きな言葉の二連接を試しに探して打ってみるとよい。
ある、ない、する、こと、して、
など、とか、とき、ところ、まで、つまり、では、
あい、いう、すき、
などなど、自分の大事にしている言葉が打ちづらい配列は、
ずっと使う気にはならないかもだ。
配列図は作者の苦悩や工夫が沢山つまった、
その配列の精華なのだが、
それを読み解くにはコツがある。
配列を作った人なら読み解けることもあるけれど、
そうじゃない人には何が何かなんて分からないだろう。
なので、僕の着目ポイントを書き出してみた次第。
参考にされたい。
2019年07月22日
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