配列を変えたくても、じゃあ、何にコンバートすればいいのか、
わからないかもしれない。
初心者向けの配列をピックアップしてみる。
初心者向けの基準は、比較的習得時間が少なくて済むものに限定した。
まず分岐点は、ローマ字配列かカナ配列かだ。
ローマ字くらいしか記憶負担をしたくないのか、
ローマ字ほど打鍵数が増えるのが嫌なのか、
自分がどっち側にいるのか問うこと。
ローマ字はすぐ覚えられるが、組合せで打って行くため打鍵数は減らない。
(配置の合理性で、指の負担は軽減される)
カナは打鍵数が2/3以下にはなるが、
記憶負担の初期投資が必要だ。
(人によるけど、二週間は作業が滞るとみてよい。
自転車を新しくマスターする期間と思うとよい)
最終的にカナ配列をやりたいと思いながらも、
ほんとうにできるのか不安に思う人もいるかもしれない。
(僕がそうだった)
そのために、「自分が配列を変えるとどれくらい負担になるのか」
を体験する目的で、
ローマ字配列をやってみる手もあるかもしれない。
僕の経験でいうと、配列を複数マスターすることで、
「配列をマスターする技能」そのものが上がる。
前の配列を捨てることになっても、
その経験はぜんぜん生きるので、喜んで捨ててほしい。
とくに初心者が触ってみてほしいのは、
以下の7+3とした。
ローマ字 けいならべ
Eucalyn
SKY
カナ 新JIS(センターシフト)
月 2-263式
薙刀式
かわせみ
△親指シフト
●飛鳥、新下駄
記号がついたものは注釈つきだ。
以下、具体的なおすすめポイント。
【けいならべ】
バランスがいいので、
行段系(左右に子音と母音が分離している)の代表として選んだ。
きゅうり改や和ならべなどもあるが、大同小異なので、好みで選んでもよい。
【Eucalyn】
プログラマーにとって都合がよいように並んでいるので、
エンジニアで使っている人はいるかもしれない。
HJKLのカーソル、ZXCVの位置などに注意されたい。
左子音、右母音と逆なのもとりあげたポイント。
【SKY】
元祖左右分離系なのでとりあげた。
効率が最大によいとは限らないが、
「行段系を打つってどういう感じ?」
を掴むのには最適。これをある程度打てるようになると、
行段系で自分に向いてるものを探しやすくなるだろう。
【新JIS(センターシフト)】
ブラインドタッチでカナを打つのには、
かなり打ちやすいので選んだ。
DvorakJで実装するときはSandSをオンにすると、
センター連続シフトでつかえるようになる。
小指シフトだとまったく使いづらいので注意。
【月 2-263式】
新JISの使い心地をそのまま中指シフト化したもの。
いくつかの欠点を抱えるものの、
使い勝手はよい(と思われる)ので選んだ。
MS-IMEのローマ字定義で定義するだけで使えるようになるため、
「どのPC(インストール禁止のものでも)でも使える」
というのはポイントが高いところ。
(追記 MS-IMEだと右小指下段、/に半濁点符を定義できないそうです。
どこか別のキーに定義しないといけない)
【薙刀式】
これを作ったのは、
「カナ配列が苦手な人でも使えるようにしよう」
という動機があった。
そもそも僕が記憶が苦手で、指も貧弱だったからだ。
濁音半濁音小書き同置に成功している配列はあるが、
さらに拗音外来音同置に成功している配列はほかにない。
要するに記憶負担が少ない。
配列の範囲も最小クラスで、
かつBSやエンターやカーソルも配列内にあるため、
「30キーとスペースの31キーだけで文章が打てる」
ことを可能にしている。
まあ、まずは「しょうじょ」が3アクションで打てる気持ちよさを体験してみてよ。
【かわせみ】
行段系同時押しローマ字配列と、
頻出単打カナを組み合わせた、アイデア配列。
行段系をマスター出来るなら、
すぐにでもこれはマスターできると思われる。
しかも、単打カナを覚えれば覚えるほど打鍵が楽になるという仕組みが秀逸で、
「ブラインドタッチを覚えるのが最も楽なカナ配列」
のふれこみは本当だ。
速さも保証済み。
△【親指シフト】
意識高い系の人たちの間で、
勝間さんの影響をうけて始めている人も多い親指シフト。
愛好家のフォローもあるので安心かもしれない。
しかし僕はおすすめしない。
・親指キーがいいキーボードを確保することが大変
・「いうん」のトップ3が外指に偏っている運指
・半濁音、小書きが不規則で覚えづらい
という欠点を抱えているためだ。
しかしすごく合う人もいるかもしれないので、注釈つきとした。
三番目の欠点をZ/キーのシフトで補い、30キーに打鍵範囲を収めた、
修正版親指シフト、30ニコラを過去記事にアップしてあるので、興味のある方は検索。
●【飛鳥】【新下駄】
とても優秀なカナ配列の代表として言及しておく。
初心者がいきなり手を出すのは、
火傷しそうなので勧めないが、
ひょっとしたらすごく合う人がいるかもしれないので、
最優秀配列候補であることだけは言及しておこう。
清濁分離による運指の最適化、
感覚や統計に基づいた運指の最適化、
などを徹底的に行ってできた配列だ。
手に合えば最高だと思う。
どの配列もWindowsならDvorakJがあれば実装可能。
(飛鳥は同時連続シフトが必要なため、
やまぶきRかかえうち推奨)
Macは親指シフトがKarabinarとLacailleで提供されている。
かえうちも使えるが、別途USBキーボードを繋ぐ必要がある。
(Macbookだとかっこわるいが、背に腹は変えられぬ)
新下駄もKarabinarであったと思う。
とりあえずこれだけの知識があれば、
配列を選ぶときの参考になると思われる。
「あんまりうまく行かなかった」
という人がいれば質問に答えますので、ここにコメントをどうぞ。
月配列2-263式をMS-IMEのローマ字テーブルで実装する方法ですが、
残念ながら唯一「/」の単打に「゜」を割り当てることができません。
これができていたらもしかしたら私は配列沼の深みにハマることなく
2-263式か幸花配列で満足していたかもしれません……。(^_^;)
>残念ながら唯一「/」の単打に「゜」を割り当てることができません。
おお、そんな所に半濁点がいるとは気づいてなかったです。
(新JISのシフトWも結構酷いと思ったけど)
「MS-IMEで実装する」という制限が、実はかなりキツイのかも知れませんね。
でもずっと使っていたら「もうちょっとマシになるのでは?」と、
ほんのり思ったかも知れませんよ…笑
基本的にどの配列も、カ行サ行タ行がシフト無しに位置されてる気がしたのですが、
個人的に大阪弁などはカ行サ行タ行をそこまで使わない印象があります。なんでやねんとか、ナ行、ワ行、ダ行、ヤ行、ナ行ですし、ほんまなん、は、ハ行 ワ行、マ行、ナ行 です。
カ行サ行タ行といった俗に言う唐音を、シフト無しに持ってこない、大阪弁に特化したような配列があったら教えてほしいです。
大阪弁特化というのは寡聞にして聞いたことがありません。
カナ統計の根拠が標準語ベースだからだと思います。
ローマ字でよければどれもアンシフトではありますがね…
作者さんの発言を見ていると関西かどうかは分かるかと思われるので、
その人が作った配列は暗黙で対応してるかも。
僕は大阪出身ですが、猛虎弁でレスしたりすることもそんなにないのに、
無意識で薙刀式は関西弁対応かも知れません。
(そんなに打ちにくくはない印象)
また、上方語は平安古文でもありますから、
ひょっとすると古文特化配列の蜩(ひぐらし)配列が、
対応できるかもです。
http://altocicada.hatenablog.com/entry/19800519/1422190133
どの時代の古文かは不明。近代だったらごめんなさい。
まあ、言うても大阪の南北や京都や奈良や神戸や三宮とかで、
語尾も語彙も全然ちゃうけどね。
ちなみに僕は北摂にあたる茨木高槻弁。
早速蜩配列を使ってみようと思いましたが……キーボードから違うとは……
やまぶきというソフトも自分のパソコンでは開かないようです……
薙刀配列も変更の仕方が分からないです……折角教えていただいたのにすみません汗
語尾と言えば、大事なことを最後に唐音でいう標準語(関東語)に対して、大阪弁では大事なことは最後に、唐音以外の音で言うと個人的に思います。これに関しては細かな違いはあっても、関西ならどこの地域でも同じに思います。
なので、唐音を主に単打配置した標準語の統計が基になった月配列に対して、唐音以外を単打配置したアンチ月配置みたいなのがあったら、ほんまやで、とか、なんでやねん、が最短で打てて、飛び道具的に面白い気がしました
……平安時代の頃からボロボロに使い古された言葉で、てっぺんには決してなれないけれど、でも一発かましたい的な笑
そうなんですか! 一時期自分も茨木辺りに住んでました!
月配列の改造自体は簡単です。
ただそれで使い勝手がいいところまで練り込めるのか、
があるので沼ですけど。
Google日本語入力でも実装できるので、
月配列がどういうものかだけでも体験してみては。
(一週間あれば大体はできるようになりますよ。
別の配列に移行する時も「配列をマスターする」をマスターするので、
次以降は習得が楽になります)
あるいは、標準語ベースのカナ配列使うくらいなら、
行段系のローマ字のほうが大阪弁は速いと思われます…
月配列の改造もいつかやってみます!
貴重な話ありがとうございました!