2019年07月24日

タイトルには何が必要か

タイトルに最も重要なことはなんだろう?

シンキングタイム。


僕は、期待感だと思う。

期待感のないタイトルはクソだ。
「ホームカミング」も「ファーフロムホーム」も、
何も期待できない。

「エンドゲーム」は「完結編」を期待できるいいタイトルだ。
「インフィニティウォー」は普通。
ちなみに原題は「インフィニティウォー1、2」なので、
僕は邦題の「エンドゲーム」は優れていると考える。



何も知らない人が、最初に触れるのがタイトルだ。

これで期待しなかったら、切り捨てるのが現代情報社会というものだ。
作者名や賞歴なんて附帯情報だ。
最悪なしで伝播する。

タイトル一本で世の中に何を期待させるか?

ノー情報のファーストコンタクトの、
たった数語や一行で。
まずはこれだけを考えるべきだと思う。


勿論キャッチーな言葉である必要がある。

どんなことを期待させるかで、
ジャンルが決まるだろう。

特殊なシチュエーションのコメディか、
ワクワクする冒険ものか、
怖そうなやつか、
あっと驚く謎解きか、
壮大ななにかか。

そのジャンルを想像できることと、
先読みさせ切らないこと。
両輪が必要だ。

想像できないと不安だし、
全部見えてしまっても期待なんてできない。
期待は上手に煽らなければならない。


言葉はそれだけではない。
温度感も伝えることができる。
クールなのか熱いのか、
愉快なのか悲しいのか、
繊細なのか爽快なのか、
言葉遣いひとつで変えられる。
それだけで、期待感の色を変えることが可能だ。

つまりあなたがそれだけの表現力がないならば、
タイトルなんてつける資格がないのだ。



そしてさらにタイトルにはテーマが暗示されるのが理想だ。

前記事では「スパイダーマン: ホームカミング」の邦題を、
「スパイダーマン: ラストダンスは禿鷲と」
などと付け直してみた。

言うまでもなく、
ヒロインとの恋とヒーローとしての戦いと、
ふたつの間で揺れ動くティーンエイジャーピーターの心の内と、
彼の決断(これこそがこの作品のテーマ)を、
暗示している。
この映画で最も力強いセリフは、"I'm Sorry."だからね。


どんな期待をさせるのか。
その期待にどう応えるのか。
その期待をどういい意味で裏切り、しかも満足させるのか。
そして「答えは最初に書いてある」とどう唸らせるのか。

はったりで期待外れにさせない、
裏切らないタイトル。

もちろん内容が最高じゃないと、タイトルも最高になれない。

タイトルに相応しい内容、
内容に相応しいタイトル。

どっちもできて、はじめて名タイトルだ。
posted by おおおかとしひこ at 21:06| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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