2019年07月27日

やる気スイッチの入れ方

純愛さんの質問だけど、
面白そうな話題なので記事化して書いてみる。

波のある創作意欲。
集中力を持続させるにはどうすればいいか?


僕は、「安定しない」を受け入れることだと考える。

一日○ページ書けば○日で一本出来る、
と計算する奴は、ものを書いたことのない奴だ。

創作は農業でも工業でもない。
漁業だと僕は思う。

一定の餌を与え、
日照時間を掛ければ生産量が見積れるようなものではなく、
どこか訳の分からないところに行って、
狩ってくる行為だと思っている。

だから今日は大漁かどうかわからないし、
何を準備すれば万全かもわからない。
身ひとつで行った時、
どう動けるかで獲物を取れるかが決まる。



で、
「そもそも書くことがあるか」
が、一日のやる気を決める見積もりだと僕は考える。

これから書くべきこともイメージできてないのに、
机に向かっても書けるわけがないのだ。

なので、
僕は全体プロットとは別に、
「これからしばらく書くこと」の小地図を描くことがある。
手書きの地図のようなもので、
○→△→◎→…などのような形式や、
合流や分離の絵になっていたりする。
詳しくは決まってなくても、大まかなやつがあると、
部分部分がイメージしやすい。
ここで伏線張ってあとで使おう、などもわかりやすくなる。

「これからしばらく先」がどれくらいかは、
書く内容によるのでなんとも言えない。
「このシーン」「緩急の一単位」でもいいし、
「クライマックスのアクション全部」でもいいし、
「ミッドポイントの複雑なアクション」もよくやる。

でもそれだけだとまだ足りない。
生き生きとしないからだ。
そういうときは主人公や誰かに喋らせる。
こういう時にどう思う?と。
喋らないときは、シチュエーションのイメージが足りない。
これから書くことの最初の情景やシチュエーションが決まったら、
誰かが何かを喋り出す。
それに誰かがまた喋り、
掛け合いが頭の中で始まった時が、
書く時だと僕は思う。


もし脳内でそのような会話が飛び交わないならば、
何かが足りていないのだ。
内圧というか、外に出したい何かが。

だから僕は、詳細にイメージできるまで妄想をする。
図や絵をかくこともある。
あと一番いいのは歩くこと。
歩きながら誰かの口真似をすれば、
大抵だれかが喋り出す。
(ブツブツ言わないように気をつけて。あくまで脳内で。
ボイスレコーダーを使ってもいい。
僕は歩きながらだとスマホにメモることが多い)

散歩してもいい。
僕は一駅分歩くと決めている。
カフェからカフェに歩くこともある。


机に向かって、さあ書くぞ、は僕はやらない。
書くべきことがあるから座る、はよくやる。

そのために、グネグネと図を描くことは、
もっとよくやるかもしれない。



一方、マラソンライティングとか、
ノンストップライティングとか言われる方法もある。
「とにかく20分(とか決まった時間)筆を止めない。
しょうもないと思うことでもなんでも書く。
鼻毛の数を数えようが天気の話をしようが、
好きな食べ物の話をしても良いから、
1秒たりとも筆を止めない」
ことをマスターするためにある。

これが何がいいかというと、
「書けない場面でもとりあえず書いて、
書きたい場面まで繋ぐ」ができるようになるわけだ。

勿論あとで書き直すことになるが、
書けずに唸るより精神的に楽になる。
最後まで書くことが重要で、
一回でも頭から最後まで糸が通れば、
微調整はあとでいくらでも悩めるからだ。
最後まで書けたら、精神的には7割くらい楽になると思うよ。

ポモドーロテクニックなどはこれの実戦版で、
集中力を持続させようとするわけだけど、
慣れれば別に一時間でも書いてられる。
「面白くなくてもいい」なら気が楽だ。

デートで相手に気を使うから緊張するのであって、
幼馴染なら何話しても大丈夫、というのと同じ。
詰まらんことを言っても明日また会うし。
何日か、何年かに一回、面白ければOK。

そういう考え方もある。



どちらかを使ってもいいし、
組み合わせてもいい。

書きたい欲があり、脳内から溢れ出るときは前者、
出ないときは後者と、
僕は使い分けている。

いずれにせよ、
小地図の小地図を作ったりしているうちに、
なんとか書けるようになる。

「今日は地図をつくったぞ!」で終わる日があってもいいのだ。


あと以前にも書いたけど、
僕は執筆スケジュールを四柱推命に丸投げしていて、
×の日は書かない、と決めている。
四柱推命の日運は12日周期で、
○○○×○×◎◎◎×××
のように決まっている。
この○◎の日にしか書かない。
×の日は地図を書いたり、
全然違うことをするようにしている。
半分近く休めるスケジュールなので、楽ですよ。
休んだし今日はラッキーデイ、と思うプラシーボは大きい。

木星人プラスは今月健弱なので調子が悪いのだ。
だから今月原稿が進まなくてもしょうがないのだ。

作業量の見積もりをするときは、トップスピードで見積もりがち。
書けない日の方が多いんだから。
そういう意味で、四柱推命はわりと当たる。
半分は進まない前提だからだ。


毎日コツコツやるタイプの人もいるから一概には言えないが、
僕の長年の経験からやり方を書いてみた。
参考にされたい。
posted by おおおかとしひこ at 19:12| Comment(2) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
記事でお答えいただきありがとうございます。
『一日○ページ書けば○日で一本出来る』にドキっとしました。
ニュアンスは違うのですが
『一か月で十万字を難無く書ければいいのに』
『それができれば勉強や、インプットの時間をもっととれるのに』
と思っていたので……。

ですが波を受け入れるの言葉にハッとしました。
今までなんとか無理やり目標を終えようとしていましたが
もう少し波を受け入れてみようかなと思います。
書けない日には、本や映画を楽しむほうが気持ちが楽そうでいいですね。

以前の記事で『四柱推命』のことも拝読していたのですが
試してみようと思います。
すてきな記事をありがとうございました
Posted by 純愛 at 2019年07月28日 07:56
純愛さんコメントありがとうございます。

月10万字はしんどいと思いますね。
多くても5万くらいを想定した方が毎日は楽になります。
月10万ペースだと内容が薄くなりそう。
音声入力丸写しくらいの内容で、文として削ぎ落とされたり練られてない感じ。

スピード感も大事な時があるのでなんとも言えないですが、
人間の思考はそこまで多くない気がします。

ライフハック系のテクニック(ポモドーロとか)は、
目先の数分はいいけれど、
月10万書けるテクニックではないような。
本気のやつ5万、バイトの適当な売文5万とかなら出来そう。
人間の脳は切り替えには強いですからね。
10万字2本を二ヶ月で書く時、一本完結してから次書くより、
同時並行で書くなら出来たり。
Posted by おおおかとしひこ at 2019年07月28日 09:19
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