緩急を書くことは脚本の基本だ。
急の方が簡単で、緩の方が難しい。
何故なら、
急の場面は、緊急事態の度合いが高すぎて、
「とりあえず目の前のそれを処理することで精一杯になり、
その他のことを後回しにする」
傾向があるからだ。
とにかく展開が速く、
「それはいいから!」という場面の連続なのが、
急の魅力だ。
そしてなんでもすっ飛ばすことが出来るので、
書くこと自体は簡単なのだ。
なので、
結局緩の場面でやるべきことは、
「後回しにしたことの整理」である。
掃除をしなければならないから難しい。
それがきちんとなされていないと、
解消されていない伏線になってしまうというわけ。
勿論、
「実はあのときのあれはこうだったのだ」
なんて一個一個下手な説明を打ってはいけない。
上手に疑問点を全て解消するような展開を用意することで、
なるほど、あれはああだったのだな、
と想像させるのが最上だ。
つまり、
説明を上手にするという最も難しいことを、
退屈にならずに、
一休みしながらやっていかなければならないから、
緩は難しいのである。
わーっとやってきて一息つくと、
ホッとした時に本音が出るもの。
そのキャラクターの本音をうまく捉えて、
次の展開へ持っていきたい。
「あのときのアレはどういう意味だったんだ?」
と誰かに疑問系で問わせれば、
誰かが説明を始めるかもしれない。
その時に全部を説明しきってスッキリするか、
疑問をいくつか残して次への興味にするかは、
ストーリー次第とも言える。
緩急でやるべきことは異なる。
急で出来ないことは、緩でやるべき。
ちなみにざっくり整理してみる。
急⇔緩
ダイナミックで速い展開⇔ほっとひと息
後回しに⇔それを整理整頓
公的展開⇔私的展開
表面のこと⇔本音
緊張⇔弛緩
緊急事態⇔安心、安全が訪れた状態
眠れない⇔眠れる
空腹⇔飯
ヤバイ⇔ヤバくない
死ぬ⇔死なない
速く切り抜けなければ⇔ずっとこのままでいたい
危うい⇔盤石
ほころび⇔つくろい
こんな感じかな。
これらをうまくリズムに乗せていけば、
ころころとうまく転がっていくだろう。
一息つくと、精神が落ち着き、周りが見えるようになる。
緩でやるべきことは、
そこから次のアタックポイントを定めることで、
次の急へ向けて動き出すことでもある。
2019年08月08日
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