長いシークエンスを書くときには、
そのシークエンス自体の見取り図があると良い。
オープニング、ミッドポイント、
二幕前半、ボトムポイントなど、
キーになる長い場面では、そうしたものがあると全体が設計しやすい。
(取りこぼしや余計なものの、事前チェック)
クライマックスは、その最たるものだ。
どんなフォーマットでもよい。
時系列がわかることが必要だろう。
時系列が一本道なら地図がいいかも知れない。
地図に矢印を書いていって、展開を書き込むとよい。
ただし地図にはコツがあって、
使わない部分の地図は空白にしておくことだ。
ある地図を大体描いて、どういうルートがいいかなと考えることは良いが、
実際のルートが決まったら、
場面だけの連続の地図だけを、
改めて書き出すとよい。
そこ以外の地図は、本編に出ないことを確認されたい。
たとえばドラマ風魔12話の誠士館での決戦は、
校庭、中庭、階段、武蔵と竜魔の戦う部屋、夜叉姫の間、
などは場面に出てくるが、
それ以外の、
たとえば廊下や教室や屋根や、地下室やトイレや駐輪場や、
出てきそうな時計台やカテドラルなどは、全く出てこない。
(ステンドグラスがあればガシャーンって割りたかった)
複数のプロットラインがあるなら、
複数のラインを書き込み、
交差するポイントをチェックすることもできる。
複数のプロットラインがある場合、
どの順番で描くべきかも重要だ。
わかりやすい順番、何かを隠す順番、
などについても事前に練っておける。
地図に番号を振る手もあるが、
実際は別紙に、一次元のプロットを別に書いてみたほうが、
実際の原稿を想像できる。
これはいつものプロットのように、
順番を入れ替えたり、合成したり分解することができる。
出てこない場所をオミットすることも出来るし。
複数の場所での同時進行なら、
複数の地図をかいてもよい。
いずれすることになるから、
わかりやすく図に出来るとよいだろう。
前記事で述べた、
スターウォーズ(Ep4)のクライマックスは、
共和国軍の基地?からデススターまで、
一本の道を書くことが出来る。
一方別部隊がバリヤーを破壊する作戦を進行しているはずで、
これは表には描かれないが必要なプロットラインだ。
バリヤーが解け、デススターに貼り付いてからは、
溝に沿っての一本道だ。
途中ダースベイダーの妨害があり、
これを振り切るミッションが追加される。
据え置きのトーチカ破壊なども地図にはかいてあるだろう。
(なお、デススターは卵子でXウイングは精子だ。
受精のメタファーがあることで、
非常に分かりやすくなっている。
ダースベイダーは白血球かウイルスか。
溝は女陰であることは、男なら理解できるメタファー。
穴に突っ込むのは本能的に気持ちいい)
こうしたことを、
説明なしで一気に絵だけで展開できるように、
セットアップはしておくものだ。
クライマックスで説明してはいけない。
折角のテンポが台無しだ。
クライマックスで呼吸させたり、
考えさせてはいけない。
怒涛というものはそういうものだ。
スターウォーズの場合、
クライマックスのデススター攻略の前に、
ブリーフィングのシーンがある。
ここで最後のセットアップをしているのが、
とてもわかりやすいので例にあげた。
ここでの説明は何かをチェックしよう。
ここまでで説明したことは一々言ってないことに、
注意されたい。
(注:スターウォーズは、あとで追加シーンのある特別版ではなく、
オリジナル劇場公開版で勉強すること。
特別版はコレクターアイテムの、
テンポが悪すぎる、映画としては三流のものだ)
このブリーフィングでは、
我々観客の頭の中に、
「大まかな地図」を想像させることに役立っている。
この地図に従えばジェットコースターのように楽しめるとわかる。
あとは考えずにすみ、純粋に感情だけになれるわけだ。
勿論、これで前振っておいて、
途中で緊急事態が起こり、計画の変更などがあっても良い。
それも作者の地図の上の計画になっている。
(アドリブで変更したら大抵どこかで破綻するのは、
途中の執筆と同じ)
長いシークエンスを書ききるコツは、
一気書きもおすすめだ。
クライマックスは特に一番筆が乗るところだろうから、
止められても徹夜で書いちゃうかも知れない。
僕が今書いているクライマックスは多段階型で、
段階の度に一休みしているが、
そのブロック自体は一気書き。
クライマックスは勢いで突っ走る。
地図を見ながらじゃ遅くて、
地図が頭に入っている状態での疾走が望ましい。
それに必要な地図を、
事前に練り倒しておこう。
挫けそうになったら、
「何のために戦うのか」を、常に思い出すことだ。
主人公と同様に、作者は奮い立つ。
そしてそれは、観客も同じだろう。
ここに来たら、最後まで最高に突っ切ってほしい。
観客も作者も、一体化して主人公の行く末を追う。
2019年08月19日
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