2019年08月22日

逐次を同時にしてみる

「Aが起こって、その次にBが起こる」を逐次、
「AもBも起こる」を同時、ということにする。

逐次は分かりやすいが、焦点の移り変わりがかったるい時がある。
こういう場合は同時にしてしまうとよい。


「月曜日、A子に告られてしまった。どうしよう。
このままA子と付き合うべきか悩む。
友達にも相談した。
A子の評判を聞いた。
意を決して返事しようとしたら、
今度はB子にも告られた」
というのが逐次。

「月曜日の朝、A子に告られた。
その日の昼、B子に告られた。
やっべえどうしよう」
が同時。

どっちが面白いかはここだけでは決まらない。
そのあとの展開次第だ。
ここだけが面白く書けていても意味がなくて、
これからの展開や落ち次第で、
全体の出来は決まる。
今大して面白くなかったほうが、
最終的に名作になる可能性だってある。

しかし、
逐次はたるい時がある。
スピード感がないからだ。
いっぺんに処理して同時進行させたほうが、
混乱の度合いが面白くなったり、
A子とB子がそれぞれが告白したことを知り、
一体どうすんのよ、みたいな展開も作れるので、
話が面白くなる要素があるのだ。

もっとも、そのスピード感を捌く実力がないなら、
逐次でじっくり描いていったほうが、
落ち着いたものが書ける。

で、一度書いた逐次のものを、
シャッフルして同時進行に変更することも、
検討に入れてみるとよい。

「わかるけどなんかいまいち」が、
「おっ、テンポがよくなった」に変化する。


戦争物とかで、
たとえば基地の陥落戦と政治的駆け引きが同時進行で描かれるのは、
こうした理由もあるだろう。
一本一本のラインが弱くても、
束になることで面白く見えることがある。
なぜなら、
人には「情報量ギリギリいっぱいを捌く快感」
というものもあるからだ。
あれがああなって、これがこうなって、
ああ、あれとこれが繋がるぞ!
なんて、パズルのような快感だとも言える。

勿論、
処理しきれない同時は、逐次に書き直しても良い。
じっくりと描くことができて、
腰を据えて味わえるものになるだろう。

逐次で起きるのか、
同時で起きるのかは、
あなたが変えられることである。

二つの要素だけでなく、N個にも拡張できる。


今書いているクライマックスでは、
逐次で描くと寄り道っぽく見えて、テンポが落ちた気がしたので、
同時で書き直すことにした。
その為の下準備を書き直すことになったが、
それはそれで面白い導火線を思いついたので、
緩急がつけられると思う。


一つのことをやり、次のことをやり、
という一本線のパートなのか、
複数ラインの同時進行なのか。

そのストーリーをどうガイドするかは、
あなた次第だ。

詰まらないストーリーを面白く見せることも出来るし、
せっかくのものを台無しにもするし、
題材の旨味が引き出せるときもある。

困ったら試してみて欲しい。
posted by おおおかとしひこ at 09:37| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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