2019年08月30日

それはほんとうに面白かったか

これをチェックすることは大変難しい。
完璧に客観的になることは、自分では不可能だ。
主観的な自分と客観的な自分のふたつを使い分けるので精一杯だろう。

ところで、これをチェックする有用な方法がある。
「それはほんとうに面白そうと思い」、
「それはほんとうに面白く」、
「それはほんとうに面白かったか?」
をチェックするとよい。


つまりこれは、
見る前、見ている途中、見終えた後の、
みっつの時間軸から評価しようというものだ。

期待、味わい、満足と読み替えてもいいだろう。


そのストーリーに何を期待したのか?
そのストーリーのどこを楽しんでいるか?
そして、
そのストーリーの何に満足して終わったか?

それらが全部繋がった時、
バラバラでなく一連になった時、
それがほんとうにストーリー=線が面白いということではないか?



以下のようなものをリストアップしたまえ。


【見る前や、予備情報を入れている時、
あるいは序盤】

タイトル、コンセプト、ログラインの、
どこを面白そうと思ったか?
どんなものを期待してワクワクしたか?

結論は予想したか?
どういう結末、結論になるという期待または予想が?

序盤起こったことで、何を好きになったか?
第一印象の良かったものはなにか?
それでどういったものを期待したか?
(ジャンプの新連載第一話のアンケートのような、
展開への期待を具体的に。
宿命の対決とか、親子の隠されたストーリーとか、
せつない恋物語とか、ラブコメのノリとか、
衝撃の展開とか、具体的に、複数あげよう)

第一ターニングポイントまで、
それらは散発的にあると思う。

気に入った要素や期待の数々をリストアップしよう。
ゴールが見えただろうから、
それがどのようなゴールであることが期待されたかも書いておこう。

結論は予想したか?
どういう結末、結論になるという期待または予想が?
それは最初の予想と変わってきたか?


【中盤以降ラスト付近まで】

どういう楽しみで楽しんだかを箇条書きに。

ワクワクしたシーン、泣いたシーン、
いい話やなあと思ったところ、
驚愕したところ、衝撃だったところ、
怒ったところ、笑ったところ。
自分の感情を書き留めることになるかもしれない。
設定が面白いとか、伏線と解消が上手いとか、
そうしたこともあるだろう。

楽しめたところは漏れずにメモしよう。
たった一言のセリフが良かったら、それもだ。

とにかく楽しめたものはなんでもだ。

途中、結論は予想したか?
どういう結末、結論になるという期待または予想が?
それは最初の予想と変わってきたか?
ストーリーのポイントポイントで、
「ああ、これはこういう風に終わるのかもなあ」
なんてことを思うはずで、
それを漏れなくリストアップ出来るとよい。

それが一定のものか、度々変わるかは、チェックするべき。
(一定だから安心できるとも、読めて退屈ともいえる。
度々変わるから不安定とも、予想がつかずに面白いともいえる。
あくまで全体像を正確に把握するためのチェックであり、
評価はあとで考えよう)


【ラスト付近から、終わった後しばらくした時までに】

それが結局どういうことだったのか、
最後に受け取ったものを書きたまえ。
勿論テーマ的なことだろうし、
作品全体の歴史的位置かもしれない。
(何かに似てるとか、これは超えたとか)

主人公の旅の意味や、決断の意味について、
振り返って総括するかもしれない。

あれは良かったけどこれはイマイチだった、
という振り返っての反省点でも構わない。




それらを箇条書きしたら、
縦に串ざせるものは何かを見よう。

つまり、
序盤の期待、中の楽しみ、
終えてからの満足が、
一本の線としてはっきりと分かるようになっているか?
をチェックしたまえ。

期待に結論で答えたか、
そしてそれが満足いったか、
(あるいは、期待を超える満足か)をチェックしたまえ。

いくつかの期待は実現しなかったかも知れない。
しかし最も重要な期待に対して、
最も最後に応えたかどうかを、チェックしたまえ。

それが繋がっていないのは、
ストーリーではない。


一本の線として繋がっていたら、
それはストーリーの形をしている。

あとは、それをもっと良くしていくとよい。

期待させるならもっと期待させてもいい。
期待に応えるなら、期待の倍くらいの満足を与えて、
御満悦にしてあげるようにするとよい。

それと途中のアレコレが、
なるほどこれにつながっているのね、
と筋になっているのが最上だ。


ナイツの野球の話はもう聞いた?
全部が繋がって、ラストに満足しただろう?
「これはどこへ行くんだ?」と不安にさせておいて、
「でもこれは面白いからしばらく聞いとこ」になって、
「なるほどそれはそういうことだったのか!
不安はその為なのね!」と満足する。
このような太い筋が、
あるかどうかのチェックをしようということだ。


もし、それに対して余計なノイズになる、
たとえば、
別の期待をさせてしまう、
それとは関係ない余興が入っている
(勿論目隠しの為ならそれは関係があるからOK)、
結論がふたつ以上あってどれが本線か分からない、
などならば、
整理整頓を考えた方が良い。



ほんとうに面白いか?
それは、前、途中、後が面白く、
それが美しい線になっているか、
太い線になっているか(その期待を本気で楽しめる)で決まる。

そうではないものは、
バラバラに面白かった(点だった)だけに過ぎない。


ストーリーは一連である。
点でも面白いし、線でも面白くあるべきだ。
posted by おおおかとしひこ at 09:23| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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