2019年09月14日

受けた要素だけ集めれば最強の布陣になるんじゃね?

これは一見ただしいように見えるが、
素人の間違いである。
実例で考察しよう。


それぞれの漫画雑誌から1番人気を集めて新たな雑誌を作れば最強だよな?
http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/5532429.html?ref=category1_article_footer5&id=4405013

ジャンプ ワンピース
マガジン 五等分の花嫁
サンデー 銀の匙
チャンピオン 弱虫ペダル
ヤンジャン テラフォーマーズ
ヤンマガ ハンチョウ
別冊マガジン 進撃の巨人
スクエア 青の祓魔師
ゲッサン 高木さん
プレイボーイ TOUGH外伝 龍を継ぐ男


この雑誌は面白そうではない。
何故だろう。

逆に、面白い雑誌とはどういうものか?

シンキングタイム。

















誰もがおもしろいと思うナンバーワン王道があり、
それぞれの方向に尖ったものがたくさんあるものが、
ベストだと思う。

ナンバーワン(からナンバーN)まではみんなが楽しめるが、
尖ったものは全員は楽しめない。

しかし、たくさんある尖ったもののうち、
ある特定のものだけは自分に物凄く刺さる。
時にナンバーワン以上にだ。

つまり、
ある読者にとっては、

刺さるものABC
王道XYZ
ほかはゴミ

というラインナップがその雑誌のあり方となる。
別の読者にとっては、

刺さるものDEFG
王道X
ほかはゴミ

になる。

つまり、誰にとっても、
「共通の面白いもの」
「自分だけがとても好きなもの」
「半数以上のゴミ」
が、ベストの雑誌だ。


各雑誌のXだけを集めた雑誌が面白くないのは、
誰にとっても7刺さるものばかりで、
10刺さるものがひとつもない雑誌になってしまう。

だからその雑誌は売れない。

最初は買うかも知れないが、
「刺激が足りない」と思うようになるだろう。

ずっと7以下で、10以上の刺激が欲しくなるからだ。


王道はまるいものだ。
尖っているものがない。
まるいものばかりだけを集めたら、
まるいものしかないものになる。

誰にとっても、
「みんなには受けるかもしれないけれど、
俺はいいや」
というものになってしまうわけである。



これは、マーケティング理論の誤りのひとつだと考える。

各ジャンルのベストセラーだけを集めた、
東急のショップ、ランキンランキンが、
なぜ振るわなかったのか?
答えは同じである。

誰もが「自分にとっての店ではない」と感じたからだ。


つまり。


正解は、
王道と、それ以上のたくさんの尖ったものを入れ込んだものだ。
誰にとっても半数はゴミだが、
半数は宝物になるからだ。

ゴミの部分を捨てたら、
全員にことごとく刺さっていた各々のものを、
丸ごと捨てることになったという、
これは逆説である。



これはすべてのセットに言える。

シネコンでヒット映画ばかりかけること。
デートで、雑誌で見た「女の子が喜ぶ10のこと」しかしないこと。
ストーリー展開で、アンケートの数が多いものばかりを採用すること。
人気キャラだけ集めたストーリーを作ること。
働きアリだけ集めて働く集団を作ること。
あなたが「これはみんなに受ける」と思うものばかり集めて書こうとすること。


そして、尖ったものがないと、
「次の市場」が育たない。

昨日まで刺さらなかったものが、
ある日突然刺さるようになるのは、
人生の中でしょっちゅうあることだからだ。


ヒットしたものの再生産は、
市場を痩せさせていくだけだ。
焼畑農業をしたいならそうしなさい。
今は焼くべき畑もなくなり、焼け野原だらけだ。
次の畑を耕すのか、このまま残り少ない畑を焼くかは、
人類の選択肢だと、僕は大げさに考えている。


みんな(それぞれの)10を求めている。
7や6や5はいらない。


ということで、思い切り尖れ。
一方向にではない。全方位にだ。
「丸くなるな、星になれ。」
というサッポロビールのコピーは、僕はかなり好きだ。
posted by おおおかとしひこ at 00:19| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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