目的だ。
スペックなんかほんとうはどうでもよくて、最悪後付けでも書けるよ。
(リライトの時に辻褄を合わせればOK)
キャラ設定をする時、
ついついいろんなスペックを書きたがる。
名前、年齢、性別、性格、
好きなもの、ファッションの好み、
大体の見た目(髪型やいつも持ってるものや瞳の色など)
持ってるエピソード
家族関係、過去
スペック(学歴とか、能力値とか、持ってるガジェットとか、技とか」
実は○○を持っている、正体は○○、
気づいてないが○○は実は△△
あたりだろうか。
ある程度のリアリティには必要で、
頭の中のイメージが出来るくらいには必要かも知れないので、
0で挑むなとまでは言わない。
しかし徹底的にこれらを、出てくる人数分設定したとしても、
ストーリーは1ミリも進まないだろう。
なぜか?
全て出落ちになるからだ。
キャラ紹介をしたところで、話が終わってしまうからだ。
「実は○○」系の設定は、
そのあと使うことになるが、
「実は○○だったのだ」「なにい!」「そうだったのか…」
とやったらそのあとなにも進まないことに気づくだろう。
つまり「設定バラしの出落ち」にしかならない。
ストーリーはつまり、
設定の説明ではない。
キャラ設定をするのはとても楽しく、
どんなストーリーになるんだろうとワクワクする。
だから初心者はまず楽しいここに飛びつきがち。
で、一通りキャラ設定が終わったところで、
なにも書かずに終わってしまう。
「やあ、俺○○」
「フッ。俺は○○だ」
「私は○○よ。てへっ☆」
まで書いて、そのあとに何も書けなくなる。
なぜか?
それはキャラ設定であり、ストーリーではないからだ。
ストーリーを作っていないから、ストーリーが書けないのだ。
ストーリーとは何か?
目的の発生から、その目的が達成されるまでが、
ストーリーである。
目的が「彼女にラインを送る」ならば、
「彼女にラインを送った」までがストーリーだ。
目的が「世界征服」で、
「世界をついに征服した」までがストーリーだ。
なんでもよい。
目的とその達成がストーリーである。
目的の発生そのものを描かなくてもよい。
目的がすでに発生していて、
実行の途中からでも構わない。
悪の組織の世界征服の発生から描かなくてもよい。
で、
ある目的を実行してすぐ終了では面白くないので、
たいがい何かうまく行かない。
で、なんとか工夫して達成する、
紆余曲折を描いて変化をつけるわけだ。
「何かうまく行かない」要素を障害という。
「ラインを送る」ことの障害は?
勇気がない、文面を思いつかない、
昨日キモイと言われた、ソフトバンクの電波障害、
送る前に誰かに画面を見られた、
「それはやめとけ」と友人が忠告している、
バッテリーが切れた、
などなどがあり、
なんとかしてラインを送れたぞ!やったー!
となったらストーリーはおしまいである。
で、
ただ「ラインを送る」ストーリーは面白くないから、
「面白そうな目的」を作るのである。
それがストーリーの第一歩だ。
面白そうな目的を持った人物を登場させる。
あるいは、面白い目的を、
まだ目的を持たなかった人物が持つ所から描き始める。
その目的は「最終目的」である必要はない。
インサイトインシデントといい、
我々観客が興味を持てればなんでもよい。
「部長が女装している所に偶然出くわし、
バレないように後をつけることにした」
でもよいのだ。
「トラックに跳ねられ、異世界に転生した」は、
まだ目的を持ってないからストーリーではない。
ただの状況設定である。
「その異世界の子に惚れたので、口説く」
などの目的が発生したところからがストーリーの始まりである。
で、
ようやく本題。
キャラ設定に必要なたった一つはなにか?
目的だ。
その実行にはスペックや特技や弱点が絡んでくるだろうけれど、
それはあとあと後付けでも構わない。
しかし、最初に目的がなければ、
ストーリーは一歩も進まないのだ。
目的を持たない登場人物はいるか?
その人は背景扱いだろう。モブともいう。
ストーリーとは、
目的を持った複数の人が、
目的を達成するまでを描く。
達成できる人もいるし、出来ない人もいる。
「世界征服を企む悪の組織を倒す」ストーリーならば、
悪の組織は目的を達成できずにおわるわけだ。
この、互いに相容れない目的(どちらかが達成できたら、
もう一方は出来ない)を、
コンフリクトという。
ストーリーは、このコンフリクトを描くためにある。
したがって、
キャラ一覧と目的の一覧をつくるだけで、
誰と誰が目的が相容れないかを知ることができる。
最も強い対立をメインコンフリクトといい、
その他をサブコンフリクトという。
サブはいくつあってもいいし0でもよい。
ただしメインはひとつで、最も強力で、面白そうである必要がある。
よくあるパターンは、
正義対悪、腐った奴対ダークヒーロー、
競技会(優勝者以外は全員敗北)、
恋する男とその男に興味のない女(ボーイミーツガール)、
仇打ちとその敵、
などだろうか。
ここの目的の対立が激しければ激しいほどストーリーは激しくなり、
勿論書くことが難しくなって行く。
だから初心者は、
まず「ラインを送りたい主人公と、やめとけと忠告する友人」
くらいのしょうもない、書きやすいストーリーを書くことで、
最後まで書けたという自信をつけるべきだ。
一回最後まで書ければしめたもので、
段々ストーリーの規模を大きくしていけばいい。
最初から大規模な話を書けるわけがないので、
少しずつ大きくしていって、
「この規模までなら書ける」と、
試し書きをして自分の実力を理解するとよいだろう。
こういうことをしなければいけないのに、
キャラ設定とかスペックに悩んでいるのは、
馬鹿のすることだ。
たったひとつ。
面白そうな目的を創作せよ。
そしてそれが達成するまでの、
面白いストーリーを思いつけ。
2019年09月19日
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