2019年09月28日

事件の進展

メインプロットは、事件の進展具合によって時計が進む。


事件発生からはじまり、
それらを誰かが知り、
解決に乗り出しすまでが第一幕とて、
あとひとつだけやることで解決だ、
から解決終了までを第三幕とすれば、
その間の第二幕は、
「事件解決の進展」と捉えられる。

これが実に難しい。
多段階で進展するような事件を組むことは、
なかなか難しいからだ。

「一見解決したと思ったらさらに闇は深くなり、
さらなる解決しなければならないことが増える」
というのが作れたとしても、
さらにその先を進展させて、
「一見解決したかに見えたが、
さらに謎は深まる」を連続的多段階的に組むことは、
大変力量がいることだと思う。

「Aを解決するには、Bさんに頼めばOK、
だからBさんを呼んでくる」
だけで解決してしまっていては、
なんら面白くならない。
ただの他力本願が依頼でしかない。

「Aを解決するにはBさんを呼べばOKと思えた。
しかしことはそんな簡単なことでは済まなかったのだ」
になるように、
事件の設定(全貌)を組まないといけないということだ。

これは設定に含まれるのかストーリー設計に含まれるのか、
いつも迷うところだが、
両方だと思えば悩むこともあるまい。

事件全貌の設定を作りながら、
ストーリーの進展も同時に拡張していくのだ。

もちろん、後付け後付けになりがちだからこそ、
初期にプロットで全貌を確認したり、
書き終えてからリライト段階で辻褄があうように、
整え直すのである。

とくに、そんなに細かいこところまで設定してなかったときが厄介で、
設定を作りながら進展を考えていかなければならない、
「嘘つきが嘘を作りながら」
の自転車操業状態になると辛い。

それでも昔の習慣漫画家は、
その場の言い逃れで連載を続けられたが、
コミックスになったときに矛盾が指摘されてしまうというものだ。
(かつては雑誌原稿料がコミックス印税を上回っていたから、
辻褄よりもその場の勢いを重視した人が多かった」

しかしシナリオはこれと違い、
全体での首尾一貫性や無矛盾性が重要になってくる。
嘘に嘘を重ねても、
ほぼロクなことにならない。


じゃあどこまで最初に決めればいいのかがなかなか難しい。
それは書いた経験で決まると思う。
「いつもならこれだけ決めといてあとで考えればOK」
なのか、
「いつもはそんなに準備しなくて良かったが、
今回はちゃんと考えとかないとフワフワになってしまいそう」
などと事前に判断できれば問題ない。

けど大概その目測は外れるんだけどね。


事件解決の進展は、
「解決しそうになる」
「がんばる」
「しかしさらに解決に必要なことが出てくる」
の繰り返しであると思われる。

これをうまく焦点を保ち続けられ、
60分ある中盤を持たせられるほど、
のめり込ませるほど、
面白く進展を組める人はそんなにいない。


大抵は人間関係を広げて、
その人間関係の進展や決着に重心を置いて、
事件解決の進展はお茶を濁すことが多いからだ。

シドフィールドはこれを避けるため、
二幕の1/4と3/4あたりにピンチ(挟む)ポイントを作る、
などと言っていた。
メインプロットでの重要な進展をここに置くと、
中盤がだれない、と考えられたわけだ。

事件解決の進展を放置して、
新キャラや人間関係ばかり書いてしまいがちな二幕は、
事件解決の進展を意識することで、
本線から脱線せずにすむ。

全ては目的を達成させることのためにあるわけで、
その軸足から重心が外れたら、
ストーリーから興味は離れていってしまうわけだ。
posted by おおおかとしひこ at 14:54| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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