2019年09月28日

【あく・たい・くわんさんへの回答箱】夢や妄想の記法

>回想シーン柱の仲間たちに関する質問です。 ○(回想)南町奉行所・全景俯瞰(夕) 手許の参考書籍にもとづいて、自分は回想シーンをこのように書いていますが、夢だったり妄想だったりする場合はどのように書くべきなのでしょうか。 ○(夢)省略 ○(妄想)省略 基本的にはこのように同じ書き方でよいのでしょうか?

基本的にはそれで間違いではないです。

ただ文脈に応じて、もっと読みやすくすることは可能です。


たとえば回想の時でも、
柱が多い時は、

○(ここから回想)南町奉行所・全景俯瞰(夕)
○同、中
○…
○二日後、江戸の町
○同、魚屋(回想ここまで)
 ……
 (回想ここまで)

などのように、わかりやすく「ここからここまで」
を明示するときがありますね。
一々(回想)を柱に書く人もいるけど、
読む側からすると話に入りたいので、
「ここからここまで」の方が気持ちの切り替えがしやすいと考えます。

そうでないと、タイタニックみたいな、
老人の回想からはじまる物語は全部(回想)を柱につけなきゃならなくなるので、
読む側が大変苦痛です。

○現代、屋敷
 過去にあったことを話し出す。
 以下全て、50年前の回想。

○タイタニックが港に着く


などのように書くと、読みやすいと思われます。


また、夢や妄想の場合、
そのシーンの前に、
「これからはじまることは夢や妄想である」
とわかっているなら例の通りでもいいですが、
「実はこれは夢や妄想だったのだ」
とあとで分かるように使われることの方が多いですよね。

となるとネタバレになるので、
たとえば、

○南町奉行所、夕
 …

○現代、Aの部屋
 A、布団から飛び起きる。
A「夢だったか…」

などのように書いても、夕暮れの南町奉行所は夢だったと、
普通は読んでくれますよ。
長い場合は、(南町奉行所から直前まで、夢だった)
などのようにト書きで書いてしまってもいいでしょう。

ただ、夢と分かるように、
現実感がフワフワしてるようにしたい場合は、

○南町奉行所、夕(実はAの夢である)

などのように書いてしまってもいいかもしれません。


Aの主観で全てが現実かのように見えていたが、
実は狂っていて、
いままで観客が見ていたのは全てAの妄想だった、
みたいなものの場合も、
ネタバレにならないよう普通に書いて、
ネタバラシのシーンで、
(実はこれまでのシーンは、全てAから見た世界でしかなかった)
などのようにト書きに書いてもわかりやすいかも知れません。


シナリオ形式の柱は、
「まるで観客が映画を見ているように書く」ことと、
「撮影スタッフが、シーン単位で準備をしやすいように書く」
(今日の撮影は、回想シーン2つと、現実のシーン1つだな、
ということは、ライティングやフィルタを変える必要があるし、
過去に着ていた服装を回想で使うべきか、
いや、途中回想だとバレないためには、
いままで見たことのない服を用意した方がいいぞ、
などなど)
の、両方が求められます。

そのための、(回想)や(夢)という記法にすぎません。
posted by おおおかとしひこ at 21:43| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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