そう考えると、展開を考えやすいかもしれない。
初心者が誤りがちなことは、
設定の量(数ではなくて、空間のボリュームのようなイメージ)と、
尺のバランスが悪いことである。
設定が尺より多ければ、
未消化な部分が多く残り、
解消してない伏線だらけになってしまう。
また、たくさんの設定を詰め込みすぎて、
話そのものの分量が相対的に下がり、
ただの設定集に成り下がるだろう。
さらにいうと、
話に対して冒頭の説明が長すぎるなど、
お話が面白くならない欠点を丸抱えすることになる。
逆に、
設定が尺に対して足りなければ、
「もう十分終わり」のところで終われず、
ダラダラ引き伸ばしたり、
全体的に薄くなったり、
無駄の多いストーリー、中身のないストーリーに見えるだろう。
(初心者は設定>尺、ベテランは設定<尺にになりがち、
とよく言われる)
しかしながら、
適切な設定のボリュームを、
まだ書いてもいない話に対して用意することはたいへん難しい。
そこでオススメなのが、
「最初にある程度作っておいて、
後付けで足していく」方法論だ。
作品の尺に対して設定が多いと、
最初に全部説明してしまいたくなるため、
一幕での説明が多すぎることになる。
これはとても退屈な作品の典型だ。
物語を始めるには適切な設定量がある。
ちょうどよく想像が膨らむくらいの設定量を提示するのが良い。
しかしすぐ想像できるように、
途中で設定量が足りなくなり、
話が続かなくなるのだ。
で、後付けの設定を付け足し、
話を続けていく、
というのがポピュラーだ。
勿論、後付けにも関わらず、
後付けとバレないように、
さも最初から用意されたかのようにできるのが、
うまい後付けのやり方だ。
後付けのせいで以前のものと破綻を来し、
矛盾するようでは後付けの意味がない。
なるほど実はこういうことだったのか、
と世界が広がり、話がその先へ行くように、
後付けはしていくのだ。
で、
最初から設定しすぎずに、
少なめに用意しておいて、
後付けをしながら話を続ける、
というのがちょうどいい話を書くコツなのだ。
その準備量と後付け量の比率は、
何度も試行錯誤して、目分量で測れるまでやった方がいい。
人によって異なるためである。
このため、僕は沢山書くことを推奨しているわけだ。
で、本題。
展開が下手な人がいる。
これを、
「設定が足されることが展開である」
と考えると楽になるよ、という話。
ある設定を一幕で提示して、
それに対する行動を描き、
結果が出たとしても、
それが終わりにならないように、
次へと展開していくのが理想の中盤だ。
ということは、
設定のボリュームという面からこれを見ると、
「設定が次々に足されていく」
状態になっていることに気づかれたい。
新しい場所への移動、
新キャラの登場、
実はこうだったのだとわかること、
このためにはこれをしなければならないとわかること、
終わったと思ったらそうではなく、まだこれがあったとわかること、
などは、
すべて展開の一部でもあり、
新しい設定が足されたことでもあることに気付こう。
どんどん展開していくということは、
どんどん、徐々に、隠された設定が明らかになっていく、
ということでもある。
当然だが、ここはターニングポイントになるわけである。
ターニングポイントは、
ひとつのストーリーの中で10も20も30もある。
こうした「新事実の発覚」「新要素の登場」
などがそれに該当することが大変多い。
ターニングポイントを、
それの前と後では焦点が変わり、
決して後戻りできない点だと定義すると、
設定が足されたことは、
まさにそこなのである。
ということで、
展開の下手な人は、
「徐々に設定を明らかにしていく」
事を意識してはどうだろう。
勿論全てを後付けにしたら矛盾することが多いから、
計画的展開と、後付け的展開を、
うまく混ぜ込むことだ。
で、
書き終えたあとに後付けの矛盾をリストアップして、
矛盾がないようにリライトすれば良いのである。
2019年09月30日
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