2019年10月03日

【薙刀式】3Dキーキャップについて

そもそもなんでこんなものを作ったのか、その経緯を書いておきます。


僕はキーボードが嫌いでした。
多くの自作キーボーダーやタイパーは、
キーボードが好きかもしれませんが、
僕は嫌いでした。

そもそも僕は手書き派で、今でも原稿はデジタルで第一稿を書きません。

思考と手の感触と文章は一致するべきで、
余計な漢字変換やたくさんの指の操作に気を使うのは、
文章のレベルが落ちると考えています。

一日数千字レベルなら、
タイピングだろうが手書きだろうが、そんなに変わらないけど、
5000字を超える作業には、
手書きの方が圧倒的にいいと今でも考えます。

それは、
qwertyローマ字入力が不自然な指遣いを要求したり、
キーボードのキーが重すぎたり、
キーの配置が左に傾いていて左手を変に捻らせたり、
親指のキーが凸になっていて丸い親指と点で接触したり、
エディタ(たとえばword)が重くてクソだったりと、

長文を楽にすらすら書くような仕組みに、
現在のキーボード入力がなっていないことも原因です。


だから僕は、

指の運動が少なく、打鍵範囲の少ない(カナ配列最小)、
アクションがなるべく直感的なカナ配列「薙刀式」を作りました。
(命名の理由は、前身のローマ字配列カタナ式の姉妹版だから。
カタナ式の由来は、子音KTNの位置から)

エディタは、(昔のものゆえに現PCでは高速の)iTextと、
整形印刷はTATEditorを使うようになりました。

hhkbやNiZを愛用したけど重くて捨てて、
自作キーボードに手を出して、
15g押下圧クリーム軸で、フェザータッチのまろやかなキーを使い、
左右分割の格子配列で左右対称にし、
親指は4指に比べて斜めに出ているから、
それに沿うように凹型になっている木製キーキャップを自作し、
それに合わせたプロファイルを持つ、
独自の木ーキャップを作りました。

(ここまで二年半)


これは結局、
「たくさんの、たとえば10万字のデジタル日本語を書くのに、
労力を減らし合理化したい。出来るなら快感にしたい」
という目的に対する、具体的な手段です。


カナ配列薙刀式は、WindowsならDvorakJで無料で使えます。
(MacならKarabiner-Elements版が宗子さんにより、
qmk_firmware版ならeswaiさんにより実装されました)

自作キーボードは、僕はminiAxeを使っていて、
Kailhクリームスイッチのバネをchoc15gに交換しています。

これらは誰でも入手可能ですが、
唯一「木ーキャップ」だけはワンオフでした。
手削りの為、ワンセット一ヶ月くらいかかります。
でもゆるキーや天キーなどのキーボードイベントで触ってもらうと、
「このキーキャップが欲しい」
という声はたくさんありました。

なので、
「親指を斜めに押せる凹キーと、
それに合わせた文字部分のプロファイル」
を、量産可能な3Dプリント版で用意しようと思ったわけです。


試作は7回くらいやって、10万は使ったかな。
ようやく思い通りの曲面になりました。
さすがに木に手触りは劣り、
成型の難しいPBTにも劣りますが、
ナイロン樹脂特有の柔らかさがあり、
これはこれで軽やかで使い勝手が良いです。

正直儲けなど考えてません。
開発費は回収できないでしょう。

でも、この親指キーの感触は、
何物にも代えがたいよさがあります。

ほんとうは触ってもらって「なるほど!」と理解するのが早いのですが、
日本全国届く通販としました。
(対面販売は次の天キーでやるかも)


また、miniAxeは「手のひらに全部収まる」から好きなのですが、
僕の手のひらは小さく、狭ピッチのminiminiAxeが欲しいです。
狭ピッチ自作キーボードは、
キーキャップが標準大きさしかないのがネックでしたが、
同じ曲面の狭ピッチキーキャップがあるので、
もう作れるぞ、と。(だれかやって…)


また、ステムだけのパーツも作りました。
これに木を貼り、DIYで削り出せば、木ーキャップが作れます。
天然石やガラスなど、Artizanで使っていない素材で、
キーキャップが作れる可能性があります。
(いまはお試しセットのみ。現在バラセットアップ中)

とりあえず設計図の公開されているたMX系スイッチ対応版のみですが、
東プレ軸、choc軸版も作れるといいなあと妄想しています。




僕はキーボードが嫌いです。
万年筆に劣るから。

万年筆と同じ方向で競ってもダメで、
「キーボードにはキーボード独自の良さがある」
とならないと勝負できないでしょう。

「斜めの凹型親指キー」は、ここにしかない快感です。
これで、少しはキーボードが好きになったかもです。


題して薙刀式キーキャップ。

ネット決済からお手元に届くまで、3日〜一週間見てください。
佐川のお兄さんが走ってきます。
https://make.dmm.com/shop/235111/
posted by おおおかとしひこ at 10:08| Comment(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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