そもそもなんでこんなものを作ったのか、その経緯を書いておきます。
僕はキーボードが嫌いでした。
多くの自作キーボーダーやタイパーは、
キーボードが好きかもしれませんが、
僕は嫌いでした。
そもそも僕は手書き派で、今でも原稿はデジタルで第一稿を書きません。
思考と手の感触と文章は一致するべきで、
余計な漢字変換やたくさんの指の操作に気を使うのは、
文章のレベルが落ちると考えています。
一日数千字レベルなら、
タイピングだろうが手書きだろうが、そんなに変わらないけど、
5000字を超える作業には、
手書きの方が圧倒的にいいと今でも考えます。
それは、
qwertyローマ字入力が不自然な指遣いを要求したり、
キーボードのキーが重すぎたり、
キーの配置が左に傾いていて左手を変に捻らせたり、
親指のキーが凸になっていて丸い親指と点で接触したり、
エディタ(たとえばword)が重くてクソだったりと、
長文を楽にすらすら書くような仕組みに、
現在のキーボード入力がなっていないことも原因です。
だから僕は、
指の運動が少なく、打鍵範囲の少ない(カナ配列最小)、
アクションがなるべく直感的なカナ配列「薙刀式」を作りました。
(命名の理由は、前身のローマ字配列カタナ式の姉妹版だから。
カタナ式の由来は、子音KTNの位置から)
エディタは、(昔のものゆえに現PCでは高速の)iTextと、
整形印刷はTATEditorを使うようになりました。
hhkbやNiZを愛用したけど重くて捨てて、
自作キーボードに手を出して、
15g押下圧クリーム軸で、フェザータッチのまろやかなキーを使い、
左右分割の格子配列で左右対称にし、
親指は4指に比べて斜めに出ているから、
それに沿うように凹型になっている木製キーキャップを自作し、
それに合わせたプロファイルを持つ、
独自の木ーキャップを作りました。
(ここまで二年半)
これは結局、
「たくさんの、たとえば10万字のデジタル日本語を書くのに、
労力を減らし合理化したい。出来るなら快感にしたい」
という目的に対する、具体的な手段です。
カナ配列薙刀式は、WindowsならDvorakJで無料で使えます。
(MacならKarabiner-Elements版が宗子さんにより、
qmk_firmware版ならeswaiさんにより実装されました)
自作キーボードは、僕はminiAxeを使っていて、
Kailhクリームスイッチのバネをchoc15gに交換しています。
これらは誰でも入手可能ですが、
唯一「木ーキャップ」だけはワンオフでした。
手削りの為、ワンセット一ヶ月くらいかかります。
でもゆるキーや天キーなどのキーボードイベントで触ってもらうと、
「このキーキャップが欲しい」
という声はたくさんありました。
なので、
「親指を斜めに押せる凹キーと、
それに合わせた文字部分のプロファイル」
を、量産可能な3Dプリント版で用意しようと思ったわけです。
試作は7回くらいやって、10万は使ったかな。
ようやく思い通りの曲面になりました。
さすがに木に手触りは劣り、
成型の難しいPBTにも劣りますが、
ナイロン樹脂特有の柔らかさがあり、
これはこれで軽やかで使い勝手が良いです。
正直儲けなど考えてません。
開発費は回収できないでしょう。
でも、この親指キーの感触は、
何物にも代えがたいよさがあります。
ほんとうは触ってもらって「なるほど!」と理解するのが早いのですが、
日本全国届く通販としました。
(対面販売は次の天キーでやるかも)
また、miniAxeは「手のひらに全部収まる」から好きなのですが、
僕の手のひらは小さく、狭ピッチのminiminiAxeが欲しいです。
狭ピッチ自作キーボードは、
キーキャップが標準大きさしかないのがネックでしたが、
同じ曲面の狭ピッチキーキャップがあるので、
もう作れるぞ、と。(だれかやって…)
また、ステムだけのパーツも作りました。
これに木を貼り、DIYで削り出せば、木ーキャップが作れます。
天然石やガラスなど、Artizanで使っていない素材で、
キーキャップが作れる可能性があります。
(いまはお試しセットのみ。現在バラセットアップ中)
とりあえず設計図の公開されているたMX系スイッチ対応版のみですが、
東プレ軸、choc軸版も作れるといいなあと妄想しています。
僕はキーボードが嫌いです。
万年筆に劣るから。
万年筆と同じ方向で競ってもダメで、
「キーボードにはキーボード独自の良さがある」
とならないと勝負できないでしょう。
「斜めの凹型親指キー」は、ここにしかない快感です。
これで、少しはキーボードが好きになったかもです。
題して薙刀式キーキャップ。
ネット決済からお手元に届くまで、3日〜一週間見てください。
佐川のお兄さんが走ってきます。
https://make.dmm.com/shop/235111/
2019年10月03日
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