「目的」と言ったとき、Aを指すのかBを指すのか、
人によって、文脈によって違うのでややこしい。
仮にBが「人を殺す」だとしても、
Aが「世界を平和にするため」だったらどうか?
これは正義である。
(背景の文脈にもよる)
悪は悪を成そうとしているのではない。
正義をしようとしている。
昨今のSNS警察だって、Aは正義だ。
A「世界を平和にするため」に、
B「人を殺す」
人がXだとして、
その逆に、
A「世界を平和にするため」に、
B「人に親切をする」
をしているYがいたらどうか?
この両者はコンフリクトを起こす。
つまり大きな目標Aは同じかもしれないが、
ルートBが全く違い、根本思想も違うわけだ。
二人は敵同士ではなく、ライバル関係になる。
大きな目標Aが同じだからね。
ただ流派が違うというだけのこと。
もちろん、人道上の問題とか、道徳的なこととか、
法律とか、世間の常識とか、気持ちとか、
世論の背景文脈とか、
いろんなことで、XとYは世の中から受け入れられもするし、
排除されもする。
(Xの代表ヒトラーは、ドイツにとって熱狂的正義だった。
小泉純一郎のようにだ)
さて。
Aはセンタークエスチョンと関係する。
これを実現することが最終目的であり、
ストーリー終了条件と言ってもよい。
こうなれば世界は閉じるわけだ。
それに対して、Bという手段で解決しようとするのが、
具体的なプロットラインになる。
最初にあげた例はストーリーを始めるにはまだ弱い。
もっと具体的でないと、
終了条件が見えなくなる。
XのBはたとえば「世界各国の腐った政権を皆殺しにする」
としよう。具体的な終了条件が入ってわかりやすくなる。
さらに具体的にするため、
「自らリストアップした100人を殺すことで、
Aが達成される」と分析した男だとしよう。
一方YのBも具体的にしよう。
「道行く人全員に親切にする」にしたとしよう。
しかし終了条件が曖昧だ。
「1000人に親切にする」にしようか。
さらに限定的にして、
「所属する村全員に親切にする」としてみよう。
YはAの為にはそれが最適解であると信じているわけだ。
(このままではリアリティがないが、
これがいかにもそうだと思わせるように、
Yのキャラクターや世界設定を作ってしまうのが、
フィクションの醍醐味である)
さて。
コンフリクトするかと思われたXとYは交わるか?
交わらないだろう。
Yの親切は村に伝わり、その村が平和になるだけ。
その一方政治家たちをXは殺して、世界は少しだけましになる。
互いに互いの仕事をして終わりになる。
これを交わらせようとするのがストーリーなのだ。
たとえばYが最初に親切にした人が出馬して、
その人をXが暗殺しようとしていることを、Yが知ればよい。
こうすることで、
Xの行動を阻止しようとするYの行動が生まれる。
このとき、Yの目的Bは変わるか?
いくつかのグラデーションがある。
1. 一人の暗殺を阻止さえできれば、あと99人死んでもよい。
2. 暗殺を阻止し、Xを改心させる必要がある。
3. 暗殺を阻止し、Xを殺す必要がある。
4. Xの仲間になり、100人殺すことで、逆にAを達成させる。
どれが一番面白くなりそうか?
また、
Aが達成されたとき、
どれが一番テーマを語るのだろうか?
「人に親切にするのが一番だ」なら2だろうし、
「平和のためならば最小限で犠牲が必要」なら4だろう。
道義的道徳的なことは置いといて、
論理的な構成とはこういうことだ。
いずれにせよ、
Xと出会うことで、Yの目的Bは変わる。
これをCとすれば、C1〜C4のグラデーションがある。
この時、Bを忘れてしまうかどうかだよね。
C4になるならば、Bなど意味がなかったと悟るだけの、
強烈な説得力のあるエピソードがあればいい。
C3だと、Xを殺すことに葛藤がある。
C2だと、Bを保ったまま行動を続けられる。
Yの目的は、
大きくは世界平和であり(A)、
その為には村人全員に親切にする必要があり(B)、
そのうちの一人を殺そうとするXを説得して、
彼にも親切にするべきだ(C2)
のような、入れ子構造になるわけだ。
さて、
これが面白いかどうかは、
ABCあたりの目的に、関心を持ち、感情移入できるかで、
決まってくる。
今のところそれだけのものを思いつかないので、
これ以降は書かないが、あくまで例として作ってみた。
目的は複数あり、
それらはカスケード構造(ファイル構造のような)になっている。
それらはストーリーの進行によって、
変わりうる。(ターニングポイント)
その時、
前の目的と矛盾しないようななにかがない限り、
人は前に進まない。
逆に矛盾しないなにかの線が見えたとき、
人は行動を起こす。
大きくは目的はひとつだ。
しかしその、
具体的終了条件のある小目的を見ると、
ストーリーのそれぞれで千変万化している。
しかも優先順位は時々で変わる。
「爆発!逃げろ!」
とかの緊急事態で、
これまでの目的をすべて棚にあげる箇所すらあるだろう。
「ファイアパンチ」が下手なのは、
この目的BC…が、まるで前のものがあったことを忘れたかのように、
次に進んでいることだ。
同じ人格の中で矛盾を起こさないかチェックしていない。
で、困ったら暗転して誤魔化したり、
時間経過でブッちぎったりしている。
「もう前のは忘れてください。これからこれで行きます」
を何度もするから、誰も信用してくれなくなる。
狼少年のようである。
「目的」を考える時、
あなたはAを考えているのか?
それともBを考えているのか?
その具体的終了条件はなにか?
これを、少なくとも何人ぶんかを考え、
時々でB→C→D→…と変わって行き、
その人の中で矛盾しないようなその人なりの納得を作れたら、
その人は行動をし始める。
そして競合する目的の他人に出会ったときに、
目的を変更するか修正するかを迫られるわけである。
ぼくはセンタークエスチョンと動機を混同していたのですね?
センタークエスチョンAは絶対、不動。
動悸Bは物語の状況によって可変してよい。
という理解でよろしいのでしょうか?
このへんの言葉は専門用語でも混乱してると思います。
ぼくも時々違う意味で書いてたりしますので。
ということで、そのような理解で書くと、
分かりやすいかと思います。
名作を3本くらいピックアップして、
それぞれの表を作ってみると、
勘所がつかみやすいと思います。