あることを調べたくて、検索したり本を調査することがある。
「Aの答えはBだ」とわかった。
それは調べ物、researchではなくて、
単なるreachである。
他人が答えを出しているものを探すのは、
真の調べ物ではない。
あなたが答えを出すべきであり、
他人の答えはどうでもいい。
なぜなら、
芸術とは「新しい答え」を出すことだからだ。
Google検索で「Aとは」などで、
Bが出てくるのは創作ではない。
常識である。
デジタルは、すでにあるものを出すことしかできない。
調べ物をたくさんしたなあ、などと、
Google検索で出たトップページを見て、
リンクを貼るなりメモを取るなりしたことは、
調べ物ではないのだ。
調べ物とは、
「まずその答えは既にあるのか」を調べ、
「どこからは答えが出ていないのか」を調べることである。
あるいは、
「自分の考えている答えは出ているのか、いないのか」
を調べることでもある。
ググってすぐに出てこないことこそが、
本当の調べ物の深みだ。
逆に、出てこないことは、
あなただけが世の中で気づいていることかも知れない。
それは、オリジナリティを生む可能性がある。
脚本とは関係ない例をあげると、
僕は今キーキャップの染色にチャレンジしている。
キーキャップの染色をやってるのはTALPさんくらいで、
濃い色の染色ばかりで、僕はもっと鮮やかな色が欲しい。
またPBT樹脂の染めの話は出てくるが、
僕が染めようとしているのは3Dプリントのナイロン樹脂だ。
ナイロン繊維をどう染めるかのことは出てくるが、
大抵はTシャツの大きさを染める話しかなく、
小さなキーキャップを染める方法については出てこない。
ということはテンプレがないので、
ナイロンを染めることとアクリルを染めることはどう違うのかとか、
そもそも染めるってどういうことなのかとか、
ナイロン染料はどのような製品があるのかとか、
モノによっては塩や酢や粉石鹸(界面活性剤)を投入する必要があり、
それは何の為に必要なのかとか、
色むらはなぜ出来るのかとか、
そうした基本的なことから調べ上げる必要がある。
こうして染めることとナイロンのことと、
糸や服に関して詳しくなってしまう。
そして答え:「3Dプリントキーキャップを、
鮮やかでかわいく染める方法」に漸近している。
これは、少なくとも日本では俺しかやっていない。
(やっててもブログやツイッターに上げてなければ観測できないが。
あと「キーキャップ」だと鍵の保護器具が圧倒的に出てきてしまう)
ということは、これ、俺のオリジナルなのだ。
もちろん、
調べ上げていくうちに、
自分の考えている答えに近い人を探せることがあって、
それがヒントになることはある。
だとしたら、「被らないようにしよう」と考えるだろう。
(パクってしまえ、は、創作とは何かを知らない人だ)
そうしているうちに、
誰も知らない頂に、たどり着くのである。
「ここまでは誰もきていない」と。
(いい感じに染められたので、
秋葉原の遊舎工房さんで11月から販売しますのでよろしく。
また告知します)
あとは、
その答えに説得力があるかどうかだ。
恣意的な論理の捻じ曲げがないか、
認識の誤りや歪みがないか、
ありそうな反論に対して答え得るのか。
他から見て、目立つか目立たないか。
圧倒的かどうか。
耐久性があるか。
これらは調べてもわからない。
他の人の判断、観客の判断、評論家の判断、
後世の人たちの判断だ。
それを、あなたが判断しなければならない。
調べ物はリーチではない。
リーチでは届かないところに、
新しい答えがある。
調べ物は答えを出すまでの、「集め物」でしかない。
新しい答えはGoogleが出すのではなく、
あなたが出すのだ。
2019年10月20日
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