ビジュアルがオシャレとか、光るとか、見た目のこともあるけれど。
「ブラインドタッチをマスターしたとき、
標準キーボードの形がベストとは、とても思えない」
が大きいと思う。
日本人のブラインドタッチ率は、3割から4割程度だという。
つまり6割か7割は、
ブラインドタッチがどのようなものか知らない。
僕はqwertyローマ字では出来なかったが、
自作配列で出来るようになった。
(最近qwertyも出来るようになってきてる)
ブラインドタッチができる人にとって、
キーボードは大きすぎると思う。
ホームポジションに指を構えたとき、
「そこから1キー分くらいまでしか、指を動かしたくない」
感覚がある。
それ以上遠いとき、「よっこいしょ」をしなければならない。
面倒だし、見ないと分からない不安も大きい。
台所や作業場所を想像すればわかるけど、
よく使う道具は近くに置きたいものだ。
そして見ずに取り出し、見ずに戻したい。
ブラインドタッチも同じだ。
こと日本語入力は、
アルファベット26文字と句読点とスペースだけを使えばいいものではない。
最低カーソルとシフトとエンターと、
IMEオンオフが必要な入力体系だ。
(達人はさらに変換キーと無変換キーも使う)
これらが遠くにいて、
よっこいしょしなければならない意味が僕にはわからない。
最低でもこの道具は、すぐそばに置くべきだ。
また、エンジニアが中心となって自作キーボードは進んできたから、
コーディングに必要なキーも近くに置きたいだろう。
Ctrl、Alt、Win。
ESC(Vimで大活躍らしい)
そうそう、BSやDELやHomeやEndやPUやPDもね。
コーディング言語で使う記号類も、
近くに整理されていると便利だろう。
{}や()はペアであると便利だろうし、
演算子は固まった方が楽だろう。
(昔プログラマー用設定で、
数字段を、「単打で記号、シフト押しながらだと数字」
とシフトを逆にする設定を知った。
なるほど、数字より記号の方が優先なのだろう)
これらの必要なキーが、
「合理的に近くに並べられていて、
見ずに取れて見ずに戻せて、
動線が最小化されている」
ことが、
ブラインドタッチの理想であるべきだ。
いま、現状の、109キーボードは、
そうなっていない。
自作キーボードの最大の魅力は、
キー配置を、
論理的配置(ある物理に対して当てるキーの定義)と、
そもそもの物理的配置の、
両方を弄れることじゃないだろうか?
スイッチやケースやキーキャップは、
大事だけど心臓部じゃない。
心臓部は、「配置の変更」だと思う。
手に合わせた物理が恐らくは正解だから、
自作キーボードは、
鍵盤に親指部分をつけたような形から、
どんどん掌に近づいていっている。
平面構造から立体的になりはじめている。
両手を狭めて使うよりは肩幅で使うように、
左右は割れている。
台所に道具を並び替えるように、
作業場の道具箱を入れ替えるように、
キーの物理配置と論理配置を入れ替え続けて、
「自分の作業道具の最適化」を行うのが、
自作キーボードの目的だと僕は思う。
それは「ブラインドタッチの最適化」に他ならないと、
僕は考えている。
ある構えをしたとき(僕はこの構えから考え直してるけど)、
どこにどのキーがあるべきか?
どれはよっこいしょしなくても届くべきで、
よっこいしょのキーはどれにするべきか?
僕のブラインドタッチは精々、
親指は3キーまでで、
ほかの4指は3段までで、人差し指は2列いけて、
ぐらいでいいと思っているから、
必然的に36キー前後が理想だ。
だからminiAxeを使っている。
crnの、小指伸ばしにあと6キーというのも魅力的だが、
ミニマリスト的にこうなった。
(気になっているのはTreadStone32。33だったら即買いしてた)
物理配置にどういうものを選ぶかは、
その人の手の能力に依存する。
めんめんつさんのように、60%配置全部使ってブラインドタッチできる人もいる。
(いろは坂打鍵動画参照)
僕みたいに36しか無理みたいな人もいる。
その物理を知ることや、
その物理内でどういう論理配置にするかを考えることが、
自作キーボードの心臓部の魅力だと、
僕は考えている。
(もっとも僕個人は、
スイッチの押下圧を15gにするために、
自作キーボードに転んだし、
3D構造のキーキャップを作りたかったのもある)
僕のキーボードの用途は、
脚本や小説の原稿書きが60%、
ブログが30%と日本語オンリーに偏り、
コーディングは10%を割るだろう。
だから、
「日本語を最適に書くためのペン」として、
自作キーボードをずっと弄っている。
自キ勢の中でもあんまりいないタイプだとは思うけど、
自作の楽しさを伝えられるといいかな、
などと思っている。
なぜ自作キーボードが流行るのか?
ブラインドタッチをマスターしたら、
「これじゃない」と、みんな思うからじゃない?
「もっと良いブラインドタッチがあるだろ」
と、みんな思うからじゃないかな?
自作キーボードをやる人の、
hhkbやリアルフォースやマジェスタッチの保有率は、
有意に高いと予想する。
それでも満足できなかった人が手を出すと僕は予想している。
「これ、最高のキーボードと言われてるけど、
ほんとに最高?」と。
この世界は、
サイトメソッド(見ながら打つ)の世界にいる人には、
ひょっとしたら伝わらない。
配色やフォントがオシャレとか、
キーの印字を見て「○○キーがない」とか(印字なんて飾りです)、
光ってるのがいいとか、
形が異形とかは、
「見た目」でキーボードを使う人の話だ。
ブラインドタッチ前提だと、
この位置が近いとか遠いとか、
ここが柔らかくて硬いとか、
角度がいいとか、
ここにもう一個欲しいとか、
手触りがいいとか、
「触覚」の話をするんだよね。
盲人の芸術のほうが、近いのかもしれない。
2019年10月24日
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