僕が原稿を一気読みする前に必ずすることは、
構成表を書いておくことだ。
一番大きな枠組みの構成表は、
一幕、二幕前半、二幕後半、三幕の、
4行構成だろう。
間を線で区切って、これらを書く。
各要素は、
そのブロックの尺(ページ数)と、
ざっくりした内容(一言や一行レベル)だ。
4行の一番大きな枠組みは、8つの要素で記述されるということだ。
これだけだとなんともわからないので、
この1ブロックを、6〜10程度に分割して、
僕は全体を一枚に収まるように書く。
一枚に収めるのは俯瞰するためである。
また、最小の1ブロックは、
内容的な1ブロックのことで、
作者が決めて良い。
場所が移動してガラリと変わっていたら、
そこがブロックの境目になることもあるし、
しかし前後が強く意味的に繋がっていれば、
それは境目とせず前後込みで1ブロックにするべき。
正解はないけど、
大抵ブロックの境目とは、
「集中力が切れたところ」であることが多い。
これで、
全ストーリーがブロック分けされて、
しかも尺が分かる状態になる。
これを俯瞰する。
この内容で長くない?
この内容で短くない?
この内容をしたいのなら、
もう少し○○にするべきじゃない?
などと俯瞰してみるのだ。
あれが○○ページも使っているのだから、
これは△△ページぐらいにするべきじゃない?
などのように妄想すると良い。
そうか、もっと長くするべきだ、
もっと短くするべきだ、
などと全体からのバランスを見るためにこれはある。
だらだら長いなあと思ったところは切るべきだし、
もっとじっくり見せるべきところは伸ばすべき。
あるいは、
あるブロックでやっている内容を別のブロックへ移動するべきだな、
なども、
俯瞰することで自動的に見えてくる。
逆にこうしたバランス感覚は、
俯瞰しないと見えてこない。
全体の流れを何度も頭の中で流したり、
流れを変えてみたり、
バランスを変えてみたりすることは、
この俯瞰の状態でやったほうがいい。
これはまだ1ページも読まない状態でつくること。
なぜなら、内容を読んでしまうとディテールを直したくなるからだ。
それよりも、
「全体のバランス」を先に理想形を作っておく。
設定を直すなら1ページも読まないうちにやる。
動機や目的や展開を変えることも同様。
そうすることで、
「変えたら全体的にどういう風になるか」
が見えてくる。
執筆時は思いつかなくて、
後の俺が思いつくはずだと託したことも、
この時点で考えるといいだろう。
もう少しいいやり方はないか、
もう少しドラマチックにする方法はないか、
もっと驚いたり泣いたり笑える何かはないか。
全体を見ながら、
全体はこうあるべきだ、
こういうページ数のバランスであるべきだ、
などと考えるには、
ペラ一枚にまとめた、
このような全体構成表を眺めるのが良い。
ディテールにとらわれる前に、
全体を俯瞰しておくのだ。
ありうべきバランスが見通せたら、
ようやく何週間か何ヶ月か寝かせたそれを、
1ページ目から読み直すと良い。
大抵は絶望的につまらない。
可能性は見いだせても、全く完璧じゃない。
どうしたら完璧になる?
その為のバランスは、すでに見えているはず。
肉付けするべきところと、
スリムにするべきところは、
すでに見えているはず。
2019年10月25日
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