2019年10月26日

流れてる話と流れてない話の違い

とかくシナリオはブツブツ切れがち。
すべては一連の流れになるべきなのに、
どうして流れないのか。


それは、人の意識がずっと持たないからだ。

私たちの意識は適当に切り替わる。
気分屋はとくに。
あるいは、寝て起きたら気分が変わる。
なにかの事件でテンションが上がったり下がったりする。

書き手のムラが、作品に直結しがち。
でもそれはある程度はしょうがないと割り切るしかない。
影響を0には出来ないが、
100にダダ漏れする必要もないということ。

何度も書くべきだ、
リライトこそがライティングなのだ、
という経験者の知恵は、
「なんども書くことでムラを消せ」
ということを言っている。


しかしながら、
ストーリーがブツ切れになってしまうことは、
とてもとても良くある。

どうすればいいのだろう?

AのシーンゆえにBのシーンがある、
BのシーンゆえにCのシーンがある、
などと、
「直結」しているときは話が進み、流れる。
とくに主人公の行動があり、リアクションに対してまた行動しているときは、
話が流れることが多い。

しかしそれが途切れ、ストーリーに停滞がもたらされるとき、
ブツ切れの隙間がやってくるわけだ。

ABCDと進んだ話が停滞すると、
次は別のプロットラインを始めて、
接続することはよくある。
PQRをこれで示すと、
ABCD→PQR
と話が接続する。

D→Pの部分に、我々はブツ切れを感じる。

しかし、Pのシーン、遅くともRのシーンに、
ABCDと関連する何かが出てきたらどうだろう?
ABCDゆえにPQRがあると、
我々は感じる。
つまり、接続時に一回ぎくしゃくしたが、
本線は流れているのだと、
感じることができるわけだ。
(あとはリライトでD→Pを滑らかにするとよい)

もしABCDの要素がPQRになければ、
ABCDの流れは終わったように感じてしまい、
「別の流れ」が来たように思う。
だから、バラバラの話に思える。

PQRの中にABCDの要素や続きや影響があると、
ABCDはまだ続いていて、しかもPQRの流れが加わり、
ストーリーは複雑に勢いを増した、
ように思えるわけだ。

Pではよく新しい登場人物が出たり、
別の場所で起こっている事件に視点が移ったり、
全く別次元のなにかを投入することが多い。
それまでの勢いが尽きたので、
燃料を足そうとしているわけだ。

しかし前のが燃え尽きて、次の燃料がそれを継ぐのではなく、
前のがいい感じで安定した時に、
次の燃料と混ざり、
さらに炎が大きくなるようにすればよいだけだ。

つまりPの投入タイミングはCのあとかも知れない。

そうすればDを受けて、C前提のPが、QRと展開して、
ABCDのなにかの要素を続けられる可能性がある。


もちろん、DPの順番だとしても、
似たようなことは可能で、必ずしもPを上げる必要はない。


流れは確実に数シーンで尽きる。
それを新展開させるときは、
新しい要素を新しい燃料にして、
燃料を混ぜながら燃やしていくべきだ。

前のものが燃え尽きてからしばらくして次のを投入するから、
ブツ切れ感が強くなるのだ。

これはシナリオ時だけでなく、
編集時にも使えるテクニックだ。
Pをどこかで先行させるようにインサートすれば、
QRで流れているように見せかけることもできる。

しかしそれは見せかけなので、
QRにABCDの要素を接続できてないと、
「別の流れになり、前のは自然消滅」にしか感じなく、
「あれはどうなったんだ、を解決しない話」となり、
観客の不信感は高まるだろう。

一連で淀みなく流れる様を、
グルーヴなどというときもある。
ストーリーのグルーヴは、
リズムに上手に乗っているとき。

つまり、ストーリーのリズムと観客のリズムが溶け合い、
セッション的になったときだ。
観客が予想して、それが当たると、
観客はさらに次を予想するようになる。
それがリズムを刻み始めたとき、
グルーヴが生まれているといえる。

それが途切れると、ブツ切れ感を感じると思われる。

新しい流れをつくるときは、
前の流れを踏まえた上で、
上手に勢いを殺さずに、
しかも融合していくべき。
流れを止めない流れとは、そういうことだ。
しかし流れの勢いが早すぎてもついてこれない。
適度に間をおくと、観客は落ち着き、
リズムにまた乗ってくる。

架空の観客とのアイコンタクトを、忘れないようにしよう。
posted by おおおかとしひこ at 15:14| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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