2019年10月28日

何故オリジナルストーリーが減り、原作ものばかりになったのか

と考えてしまうが、答えは逆だ。
「オリジナルストーリーを作っていたプロダクションは、つぶれた」
が正解。


適者生存は、生き残ったものを「適応した」と定義する。
最適かどうかは分からない。surviveがあっただけ。


オリジナルストーリーをたくさん集めれば集めるほど、
ゴミの山になることは、ネットを見ればよくわかる。
そこから誰かが拾い上げてバズれば生き残る。
しかし拾い上げなかったものに名作がないとは言い切れない。
質ではなく、拾われたかどうかがsurviveである。

少年ジャンプの生き残り策はシビアだ。
読者の思う方向へある程度誘導されるし、
終わらせたくても終われない。
そういうsurviveの仕方の一方、
ゴミのように新連載オリジナルストーリーが生産されては消えてゆく。

全てのジャンプコミックスを集めると、
おそらく名作を探すことは砂漠から金を探すような感覚になると思う。
(ある程度長いやつで目星をつけられてしまうから、
タイトルリストだけで探すと仮定しよう)


映画は、とてつもない大金が必要だ。
日本映画の小さな映画で数千万。
日本映画の大作で10億以上。
ハリウッドの小さな映画で5〜6億。
ハリウッドの大作なら100億以上。
(よく「低予算映画」とかいうけど、
ハリウッドの低予算は日本の大作クラスの予算です)

それを銀行や投資家から資金を募る時、
「既にヒットした原作がある」のと、
「ゴミかもしれないオリジナルストーリー」の、
どちらが資金が集まりやすいか、
というだけの話だ。
前提は、「投資家は脚本が読めない」である。


映画会社がある程度資金を保有して、
「原作ものは融資で作って金を回して、
自社投資は自社でゴミ覚悟でやる」
が理想だろう。
(東宝は本体は不動産で儲けてるし、
出版社は小説ではなく漫画で生き残ったし、
富士フィルムはフィルムではなく化粧品で生き残った。
本業と金稼ぎは乖離を始めている)

会社のリソースが金稼ぎ系の回転に割かれて、
本来の志、オリジナルを作るだけの、
プロデューサーの実力を磨く時間がスポイルされてゆくのは確かだ。
(ほとんどの才能は、磨く時間が年単位で必要で、
磨いた結果ダメだということもある)

そして、ゴミの分量があるパーセンテージを超えたら、
その会社は倒産して消えてゆく。



僕はオリジナルシナリオだけを集めて、
格付け評価をするような組織を作りたい。
会社という仕組みだと売り上げを出さないと行けないので、
ボランティアでやりたい。

ここが格付けをした脚本は売れるぞ、
みたいに権威がつけられれば、
それを錦の御旗に資金を集められるかもしれない。
自称評論家は沢山いるだろうから、
複数人の評価を見れるとおもしろいと思う。
(忖度なしにしないとファミ通クロスレビューになってしまうな)

「今年公開される映画たちの脚本」
が手に入れば、それらを格付けして、
売り上げとの相関を見ることができるのになあ。
ひとつの映画会社だけでなく、全部手に入ったらいいのに。
そうしたら、予言者としての格付けになるだろうし。

AIが学習できるビッグデータは、
全て過去の状況にすぎない。
「この過去の状況が未来も続くとしたら」という仮定での評価だ。

刻々と変わる現在と未来の波を考えて、
評価できるのは、人間だけだと思う。
posted by おおおかとしひこ at 12:46| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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