初めてナイロン染めというものをやってみた。
つまり、白いキーキャップを鍋で煮るやつ。
「PBTキーキャップはポリエステル染料で染まる」
などという情報は聞いていたので、
DMM製のナイロン樹脂はナイロン染料で染まるだろうと。
夏頃、PBTキーキャップを染めてみたのだが、
思ったような色には染まらない。
染料の関係か、材料の関係か、
因果関係が分からない。
鮮やかでポップなのが欲しいが、
どうにもくすんだ感じになってしまう。
タイハオみたいな可愛い奴が欲しい。
ナイロン染料の有名どころは、
ダイロンのマルチ、
RIT、
染め染めキットあたりかな。
公式以外にあんまり情報が出てこない。
「はじめて染めてみました!うまくいった!」的なブログばかりで、
「こういうのにはこうするといいんですよ」
みたいなのは出てこない。
失敗談も含めて記録しておく。
用意したのは鍋と金属のザル。
鍋の中でキーキャップを見失うだろうと思ったので。
あと融点的には大丈夫だろうけど、
鍋の金属面に触れたら溶けるんじゃないかと、
ちょっと心配になったので。
かき混ぜやつかみ取りは割り箸を使うことに。
一応ゴム手袋も用意したけど、
手先の感覚が狂うのですぐに外した。
手慣れて作業的になるなら使った方がいいかもだが。
まずは有名どころのダイロンを試す。
パゴダレッドという明るめの赤。
ナイロン染めは大抵ナイロン繊維の服を染めるので、
大量の水と寸胴鍋を用意するが、
キーキャップは容積的に知れてるので、
雪平鍋レベルのシステムだ。
染料も体積的に1/3程度を使用。
失敗したのは温度計がないこと。
湯気の具合や温度感で目分量しかない。
まずはテストピース2個を染める。
取説どおり20分煮て20分放置。
PBT染めの経験でいうと、
1分おきに色がどんどん染まっていったが、
ナイロン樹脂は浅くしか染まらない。
1時間煮てみたがほぼ変わらず。
困ったなと思い、
「ヅケにしよう」と思いつく。
マグロのヅケのように、一晩寝かせてみる。
…まだ変わらない。
一昼夜、24時間寝かせたら、だいぶ染まった。
まるで新生姜みたいで感動するが、
鍋から出して水洗すると、
うーんなんだか鈍い発色。
フェラーリの赤にはほど遠い。
印刷の赤は出ないんだなあ、などと理解する。
で、48時間寝かせてみた。
ひとつは24時間、ひとつは48時間で、
比較してみる。
不思議なことに、
鍋から出した濡れている状態→水洗直後
→乾いた状態で、
色がだいぶ違う。
鮮やか→白ちゃけている→落ち着く
のように変化する。
パゴダレッドに関しては、48時間つけ置きが良かった。
でもまだ思った色にはならないので、
「鮮やかな赤」とはせず、「バーミリオンレッド」
の名称にとどめた。
また、青のテストピースを投入して、
紫に染まるかもテスト。なかなか良い。
これは親指キーのみで、ワンセットだけ出品してます。
あとは白い薙刀式ワンセット36個を放り込み、
煮て、漬け込む。
魔法鍋をぐるぐる回す、なにかの料理研究家のようだ。
ピンクを似たように染めてみたがこれも思い通りにいかなかったので、
この赤と二度染めして「ストロベリーピンク」とした。
ここまで一週間以上かかる。染めって難しい。
テストピースを大目にやって、
煮る時間やつけ置きの時間を記録してからやった方が良いです。
次は染め染めキットのターコイズ。
今年の夏からずっとターコイズカラーがやりたくて、
遊舎工房のDSAのターコイズ色みたいなのが欲しかったのだが、
そこまで上手には染まらず。
この色はムラがひどいので、
60分煮る→24時間つけ置きを2回やってます。
それでも完全にはならせなかった。
まあ手染めの味ということで。
界面活性剤が足りないのか。
しかしあとでグリーンを見るとそうでもないかも。
染め染めキットのグリーンアップルは、
染料との相性か、
レモンイエローにしか染まらないのが困った。
これはこれでいい色だけど。
なのでターコイズ色をこれで二度染め(計三度染め)して、
グリーンを作ってみた。
ついでに赤キーキャップを投入してオレンジも作ってみた。
(ピンクとイエローでサーモンも作れたな。今気づいた)
基本絵の具の混色なので、
混ぜるほどに鮮やかさは減って行くので、
2回までと決める。
テストピースをこの辺で使い切ったので、
量産はカンでやるしかない。
煮る時間もつけ置き時間も、
ちょいちょい見ながら判断。
これまた乾かしたら色が変わるので、
なかなか見極めが難しい。
ワンセット内では時間は同じにしないとね。
あと、染め染めキットの場合、
温度を80度以上で煮ないといけないが、
鍋レベルだと蒸発が激しいので、
10分おきくらいに水を足さないと煮詰まるので注意!
一回やってしまいました。
焦がさずには済んだけど、色はムラムラに。
何故塩を足さないといけないのか、
何故界面活性剤を足さないといけないのか、
僕は化学より物理の方が得意だったので、
よくわかっていない。
材料の極性の問題だろうと納得しているが、
ナイロンの構造式を見ただけでは電荷的な偏りまではわからぬ。
(塩入れるとNH基がClで置換されるのかな。
だからどうなるのかもわからぬ)
とりあえずテストピースで様子見。
経験者としてこれを勧めます。
ムラは、鮮やかさを諦めればつけおきを長くすることで防げます。
まだいくつかの染料は買ったし、
余ったのはペットボトルに移して保存してあるので、
売れたらやってみようかな、
などと思ってたらもう2セット売れたのかよ。
増産するかどうかの判断に迷う。
三連休で様子見します。
2019年11月01日
この記事へのコメント
コメントを書く