2019年11月02日

場所とイコン2

その場所がどういう場所かを利用して、
イコンを作ることができる。


階段やエスカレーター、エレベーター、上下階など、
上下の移動を含む場所
…上下関係の事を描くときに。逆転、転落、昇進なども。

たとえばこれを「一つのはしご」に捕まらなきゃならない状態、
に転換することもできる。
会社の社長から平社員までが一つのはしごに捕まっていて、
上が詰まってることや、
下支えが足りてないことなどを描けるわけだ。


一部つく電気や電飾、光の当たるところと闇
…人生の明暗、絶頂と転落など

武蔵小杉のタワマンで、電気がついてる部屋とついてない部屋がある、
などで示せる。


トラック(陸上競技場など)
…延々回っても同じ風景、他人との競争、競争を見られている

同じ風景を使うにしても、
使う意味によって違う象徴に使える例。


刑務所
…結婚生活

昔からあるたとえだ。
サラリーマンが家に帰ったら囚人服に着替えて、
迎えた妻が看守の格好をしててもいいんだぜ。


本屋…うんこしたくなる場所
葬式…笑っちゃいけない場所

こういうイコンに使ったって構わない。
本来ある「知識との出会い」「知の倉庫」、「悲しみの集い」
じゃない文脈に使ったっていいのだ。


その場所にある文脈を利用しよう。
逆に、
「こういう文脈を示すのに、
一番象徴的な場所に立たせる(アクションさせる)としたら?」
を考えることで、
余計な説明台詞をまるごと省き、
しかも記憶に残りやすい絵になる。
なんなら、その作品の象徴になる絵になるかもだ。

いいことだらけなのに、
何故か誰も使っていない。
下手なんだと思う。

その作品を象徴するためならば、
1000万かけてセットを組むべき、という時もある。
ロケ地が見つからないから代わりにここでやってくれ、
なんて日本映画に、ストーリーを語る資格はないと、
最近思う。
それだけの強いイコンを生み出せない、
脚本家にも問題があるけど。

おそらく、
「その文脈といえばその場所」
「その場所といえばその文脈」
の、新しい組み合わせを作ったやつが、
「新しい絵」と言われる。
posted by おおおかとしひこ at 11:09| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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