飯塚容疑者の世論を考えない発言に怒りしか覚えないが、
それでも理があるのは飯塚容疑者だ。
「アクセルとブレーキを間違えない車を作るべき」
だというのは僕は激しく同意する。
車の運転方式も、qwerty配列同様、
「初期に設定された、
あとあとの頻繁な利用を熟慮されていない暫定方式が普及してしまい、
のちに改良しようとしても『普及しているがゆえに変えづらい』
が理由で変わらないもの」
(デファクトスタンダード)だからである。
僕がタイピングに深く関わるようになって知った現象で、
自分も何度も体験したものに、
「ミラー現象」がある。
配列のマスターが不十分な時、
あるいは非常にプレッシャーがかかったとき、
「左右を間違える現象」のことだ。
これは、上段中段下段も、使う指も間違えないのに、
左右だけ間違う、鏡像のみの間違いである。
人間の咄嗟の間違いにそうしたことがあることを、
車メーカーは承知だろうか?
マニュアル車時代なら、
ペダルは三つあったから、
これを自在にコントロールしていた人なら、
アクセルとブレーキを間違えることはないと思う。
ペダルの形も違ってたし、
クラッチも繋がずにアクセル踏んでも動かないシステムだったし。
オートマになって、
「すすむ」と「とまる」というまるで反対の機能を、
左右対称に設計したことは、
オートマ車最大のミスではないか?
「やばい事故った」と最大にプレッシャーがかかったことで、
ミラー現象が起こり、
左の足が出たつもりで右の足が出ていたのではないかと、
僕は推測している。
そんなことある?
ある。
飛鳥配列や新下駄配列や、
薙刀式をマスターしようとしていた時は、
10分に一回は、このミラー現象に遭遇していたからだ。
薙刀式は半年安定しているからもう間違わないかと思いきや、
まだ間違うことが、一週間に一度程度ある。
一週間で数万字書く、その一回のミス。
何十年もの運転の、その一回のミス。
頻度は少ないにせよ、十分あり得る。
左右対称に設計したのは、
「3つのペダルの真ん中を廃止したから」だろう。
しかしオートマ車しか知らないなら、
「最初から左右対称にペダルがある」
という脳内モデルで学習している。
これは、
設計当初の意図とは異なって受け入れられていることであり、
ここが設計者とユーザーの齟齬なわけだ。
キーボードのqwerty配列では、
なぜIOが隣り合ってるか?
数字の1と0と共用するためだったんだって。
その設計者の意図は、まったく現代のユーザーには伝わっていない。
これと同じことだと思う。
じゃあ変えればいいじゃない、
と言うのは簡単だが、
メーカーはそれをしない。
「変えると売れなくなる(という強迫観念がある)」
からである。
qwerty配列にノーを言う人たちは、
もう勝手に物理配列の異なる自作キーボードを作ったり、
Eucalynや DvorakやColemanや、
新下駄や飛鳥や親指シフトや薙刀式に変えている。
売れないとは思えない。
むしろ「よくやった」と歓迎されるべきで、
その潜在需要について早々に調査するべきだ。
(「このような、間違いにくい運転方式があります。
試乗してみたいですか?よければ購入を検討しますか?
あるいは、自分は今のままで良いと考えますか?
世の中の車の運転方式はこうなるべきと思いますか?」
などの複数選択肢を選ばせれば、
誘導尋問なしに潜在需要を測れるだろう)
もう潰れそうなメーカーは、
えいやでやって仕舞えばいいのに。
僕は車の運転は素人だけど、
たとえば足で後方ペダルを踏めば前進、
横向きの前方ペダルを足を横にして踏めばブレーキ、
などのように、「身体に近い操作」にすれば、
咄嗟の時に間違うことはないと思う。
「ほかに出来ている人がいるんだから、
一部の人のために全部をリニューアルするのは効率が悪い」
という論では、
デファクトスタンダードを変えない方向にしか働かない。
まとめサイトに反論があるけれど、
これは無意識に「自分ができるんだから、出来ない方がおかしい」
というものばかりだ。
http://www.akb48matomemory.com/archives/1076271161.html?ref=category1_article_footer6&id=5929610
qwerty配列でも全く同じことが成り立ってしまうことがわかるだろう。
僕は、
「全員が間違わないようにする」
「誰一人ミスしないようにする」
「ミスしてもリカバリしやすいものにする」
「ミスしたら正しく動かないように作っておく」
「マニュアルを見なくても間違えずに使えるように、
その物体が使い方のアフォーダンスを持つべき」
が、正しい「方式の設計」だと考える。
qwerty配列という、
不合理で効率が悪くて、たくさん打つ人の手を壊す、
劣悪なキーボードを生産し続けるメーカーと、
同じ愚だと思う。
ところで、デファクトスタンダードはどう覆るのか?
「すみませんでした、こちらの方が良いので、
今日からこれに切り替えます」では、
全く覆らない。
「両方式並存のまま、新方式の利便性を、
常に訴え続ける」ことでしか浸透しない。
そこには莫大なコストがかかるので、それがメーカーを尻込みさせるのだろう。
また、
qwerty配列のブラインドタッチが出来ない若い人が増えて、
フリックしか出来ない人ばかりがふえているように、
「全く違う原理の何かに置き換えられることで、滅びる」
ということはあるかもだ。
自動運転がそれになるかは分からないが。
操作方式では、ミラー現象が起こる。
左右対称で機能の違う操作は、
処罰の対象にしてもいいくらいだ。
キー配列ならBSで消せばいいが、
車にはアンドゥもBSもない。
問題の根っこは、まったくおなじ。
車のペダルについてですが確かに「ナルセペダル」のような、踏み込むと必ずブレーキ操作で、アクセルは別の方式(ナルセペダルの場合は、足を捻る操作のようです)のものがあるようです。ただこれもかなり昔に発明されたにもかかわらず定着してなくて、ナルセペダルにも特有の問題があるかもしれないですが、定着していない最大の理由はやはりアクセルとブレーキペダルがすでに定着してるから、大手メーカーが変更しないことがあるようですね。そういう意味ではQWERTYキーボードと確かに同じかもしれませんね。
はあそんなものもあるんですねえ。
とりあえず普及してるやつなら、バイクの操作法ならアクセルとブレーキは間違えないかなあと思いました。
「qwertyは問題だ変えるべき」といってももう変わらないどころか、
日本の家電メーカーが先に沈むかも知れないので、
さっさと自作キーボードで理想の日本語システムを作ってしまおう、
などと僕は思っています。
ほんとはIME開発もやりたいけど、そこまでやってると暇がなくなるので…