主人公を含め、
キャラクターの第一印象を決めるのは初登場シーンであるが、
出落ちになってはいけない。
挫折する多くの人は、第一印象だけ設定しておいて、
その後何にも活用できないことにあると言って過言ではない。
今回はとくにサブキャラについてこれを考えよう。
僕のオススメは、
まずそのキャラクターの設定をつくり、
そのうち最も大事な「目的」をつくり、
ストーリーラインを考え、
そのサブキャラの落ちまで考えてから、
改めて最後に第一印象を決めるエピソードを創作することだ。
仮に、
「空中から落ちてきた姫君」というのをファーストエピソードで思いついたとする。
これはラピュタのシータだ。
ここから性格などをある程度後付けで考えることは可能だが、
彼女の過去や目的を、
この時点から創作することはとても難しい。
飛行石を持つ王族の末裔、
ぐらいは考えついたとしても、
結局「悪の王にアイテムを狙われ、
あまつさえ結婚を迫られている」
という、カリオストロのクラリスと、
大差ないキャラクターになってしまっている。
シータとクラリスの何がキャラクター的に違うか、
という議論をしても答えはほぼない。
つまりシータはクラリスの使い回しだ。
もちろん、あなたが意図した使い回しをしたいのであれば別だが、
オリジナルのストーリーはオリジナルのキャラクターたちで勝負すべきだ。
つまり、
シータはサブキャラとして、
キャラクターメイキングに失敗しているといえる。
もしシータのサブキャラとしてのサブプロットを考えるならば、
ラナ(未来少年コナン)の、
海中キスに匹敵するような、
クラリスの屋根の上でルパンを抱きとめて落下を防ぐような、
中盤の活躍エピソードを創作できただろう。
「そうでなくては、
そのキャラの存在する意味がない」
と、本能でわかるからだ。
ところが初登場シーンをいい感じに作ってしまうと、
そこで創作した気になってしまう。
これが厄介なのだ。
だから、
「どう登場したかは置いといて、
中盤どういう活躍をして、
どういう行動をして、
なにが目的で、
最終的にその人の目的は達成されるのか?」
を、
先に考えるべきなのだ。
そのキャラクターの本編はその部分であり、
初登場シーンにないことは明白だからである。
この、サブキャラのプロットライン、
すなわちサブプロットを作れたとき、
初めて印象的な初登場シーンを考えれば良い。
そうすれば、
その初登場シーンで、その後使うべき伏線を逆算で仕込むべきだな、
ということを思いつけるからである。
シータの登場シーン、
「空中からゆっくり降りてくる」は、
とても絵になるしイコンになるほどの素晴らしい絵だけど、
それは伏線にもなんにもなっていない。
(たとえばシータはラピュタに残るから、
形見の飛行石をパズーの首にかけて別れるとしよう。
パズーはまるで最初にシータが降りてきたように、
ゆっくりと地上に降りてくる、
などのシーンをつくれば(地上に降りたら飛行石はバルスの影響で割れる)、
シータの登場シーンは伏線となったわけだ)
仮に頭と尻を上のように円環を閉じるように作っても、
間に「独自の活躍」がない時点で、
シータはクラリスやラナより出来は悪いと僕は思う。
(その代わり空賊ババアが活躍してしまっている)
もっとも、
大抵は初登場シーンを思いついてしまい、
その後書きたくなる原動力になることはままある。
だからそのやり方を否定するものではない。
だが、初登場シーンだけで終わってるキャラクターは、
いる意味がほとんどないことに気づかれたい。
その人は、どう登場したかではなく、
どのような行動をしたかで描かれるべきで、
それは独自の活躍の場面があるということだ。
で、それと初登場シーンがリンクしていれば、
伏線を綺麗に回収できるわけである。
初登場シーンから、中盤や落ちをひねり出しても良い。(難易度大)
初登場シーンを仮につくり、
中盤や落ちをつくり、
初登場シーンをそれに合うように書き換えても良い。(難易度中)
書き換えるのではなく、
映画史に残る印象的な初登場シーンを、
全部作り終えたあとで創作しても良い。(難易度大)
どんなやり方にせよ、
うまくいくのは、後者ふたつだ。
2019年11月29日
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