前のバージョンは原価で1万4000円したのですが、
このコンパクトバージョンなら、8800円(予価)で販売可能なので発表します。
「手首を浮かすべきか? つけてもOKか?」
という二択に、ようやく答えが出ました。
手首を浮かすべきなのは、
キーボードを打つ最良の条件です。
キーボードの前身、ピアノの鍵盤は、
前腕を水平にした状態で、手首を浮かして打つ、
というのが長年の経験でした。
こうしないと腱鞘炎になると。
英国のタイピスト専用の机は、
これを鑑みて、少し低い事務机を採用しています。
自然に座って腕を垂らし、
その肘の位置にキーボードのキートップ面があるのが理想とされています。
しかるに、
日本の事務机やカフェの机は、
これよりかなり高い高さに設定されています。
これにより、
キートップの高さは、
理想に対して高すぎました。
肘は高くなり、前腕は斜めに上がることになる。
これが、そもそも無理な姿勢だったのです。
古き良き入力専門業があったころ、
ワープロを制したのは親指シフトで、
その理想は手首を浮かすことでした。
しかし、おそらく事務机の高さは今と相違ないでしょう。
上背の高いキーボードに対して、手首を浮かし続けることは、
一時間も出来ない所業だと思います。
ということで、現実的には、
手首をつけて打つことが基本になるでしょう。
一時間も二時間も書き物をする(僕は連続四時間くらいやります)なら、
尚更です。
これが無理があったわけです。
勿論、押下圧を下げたキーボードを使う、
押下圧を下げる改造をする、
パームレストを用いてキートップ面に近い指の高さにする、
などの工夫はあったものの、
手首を付けることによる、根本的問題を解決してはいなかったのです。
それは、
「手首と肩が固定されることで、
肘周りの筋を無理に用いる」ということです。
指の筋肉は、掌や手の甲を通じ、肘に繋がり、
肩に繋がっています。
指を動かすには、これらが一連で動いていて、
指まわりの筋肉だけが動いている訳ではありません。
(腕を触りながらタイピングしてみるとわかります。
タイピング姿勢を取ったときの、
前腕の上下、上腕の下あたりが、
とくに動いていることが分ります)
手首と肩が動かないことで、
とくに手首と肘を繋ぐ部分、
肘と肩を繋ぐ部分が、自然でないねじれを生じます。
長文を書くと、とくにこの辺りに疲労がたまるのです。
またここらあたりは痛覚が鈍く、
蓄積した疲労に気付かないことも、
腱鞘炎になるまで発覚しない原因です。
手首を浮かして打てば、
これらの筋は無理なねじれを生じず、
自然に打って行くことが可能です。
ねじれる前に手首や肩が動き、
無理を吸収するように人間の腕は出来ています。
それが手首の固定で死んでいたのです。
しかし、手首を浮かし続ける体勢は事務机の上では疲れる。
このジレンマを解消するには、
ピアノの体勢に戻るしかありません。
つまり、
「座って腕を垂らした肘の高さに、
キーボードがあること」です。
キーボード空中庭園「バビロン」は、
それを実現するためのギアです。
これまで自宅机に取り付ける用の、
キーボードスライダーなる商品がありましたが、
バビロンはそれよりもずっとモビリティに特化しています。
つまり、どこでも空中庭園です。
打鍵姿勢において、肘の高さに近い、
机面から−5.5センチに、
トレイ面があるようにしました。
個人差はあるでしょうが、座り姿勢や椅子の高さなどである程度調整出来ると踏みました。
机には、万力の原理で固定します。
3Dプリント(ナイロン樹脂)で出力しているため、
机に接している面には、
このように100円ショップなどで打っているすべり止めを両面テープで貼るのがおすすめです。
トレイ部分は円柱で差し込むので、
回転が効き、テンティングに対応しています。
左右分割で肩幅に開き、
テンティングで自然な腕の内旋に合わせることが出来ます。
(上写真はわかりやすく大げさに回しています)
トレイ部はminiAxeより一回り大きいサイズなので、
ハノ字にすることが可能です。
今後、コルネなどの左右分割型に対応していく予定です。
(Mint60などの大型キーボードは、強度を増す為に筐体を大型に作り直す必要があり、
2万円をこえそうになるので、
今のところ小型キーボードに限定します)
また当然ですが左右分割なので、いくらでも自由に左右距離を設定できます。
左右分割自作キーボードの利点「肩を開いて打てる」はそのまま。
チルトには対応していません。
もう一個関節が必要となり、強度に影響があるからです。
チルトスタンドやゴム足などで対応してくだい。
細かいことですが、
筐体部分には返しがついていて、
タブレットをぎりぎりまで前に出せるようになっているので、
画面への没入感が高まります。結構重要ポイント。
スタバなどのノマドライティングにも、
ぴったりではないでしょうか。
(そもそも自分がそうする目的でつくったんだけど)
明日、天キーで展示します。
強度的にやや問題があり、
それを改良したのち、年内には薙刀式ショップで頒布します。
予価8800円。
けっして安い値段ではないですが、
疲労回復ケアをする値段(マッサージや温泉や焼き肉代)だと考えれば、
かなり割安ではないでしょうか。
ヘビーライターにおすすめです。
僕はこれで、肘裏の痛み、手首の小指側の痛みがほぼなくなりました。
2019年11月29日
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