2019年12月01日

「皆に受ける作品」という発想は間違い

「皆を変える作品」を作りなさい。


皆に受ける/自分が面白いものをつくる、
という二項対立がある。

この二項対立に巻き込まれてはいけない。

みんなは面白いと思い、俺は面白くないものがあって良いし、
みんなは面白くないと思い、俺は面白いものが編むっても良い。
それは主観的好みだ。
勿論、みんなと自分がシンクロするものがあっても良い。

面白いは主観である。
そして、実は客観でもある。

なぜなら、人は似た構造を持つからだ。

手足は二本あるし、
生まれて死ぬし、
オスメスいるし、セックスするし、モテ非モテがあるし、
家族に生まれて家族を作るし、
学校に行くし社会に出るし、
同じ日本社会(地球)に生きている。

これらの共通部分に訴える作品は、
身に迫る。
「原始的」だと言われる。
この身の迫り方を上手に利用すると、
大抵面白くなる。

「負け犬が勝つ話」は、
うまくできれば面白くなる。
あとは出来次第だ。


面白さが客観的である二つ目の理由は、
「これまでの歴史から面白さが決まっている」
ということがあることだ。

パクリは面白くない。
上手にパクって消化していれば面白くなることがある。
流行りのガワだけじゃ面白くないが、
一定期間命を永らえることがある。

これまでにないことをすると、
恐る恐る触る期間があるが、
一旦理解されると、オリジナルだと言われて評価される。
勿論、出来次第だ。

これまで面白かったものを超えないと面白いとは言われない。
面白さは、歴史の更新でもある。

我々は、北斗の拳やキン肉マンを超えなければならない。



皆に受けるものをつくることは、
「今面白いものをつくる」ことに視野を狭めてしまう。
歴史上面白いことや、
パッと理解されないが、分かると面白いものへの、
視野を狭めてしまう。

受けることやっときゃええんや、しょうもなくても、
と心が死ぬ選択肢をしてしまう。

「だってお前の面白いものだけやってても受けないから」
と、作者に責任を被せれば、
どんな作者だって萎縮してしまう。
多くの人を食わせなければならないと思ったら、
「自分は引いて皆の幸せを追求しよう」
などと、余計な責任感が顔を出す。

それはクリエイターの責任感ではない。

クリエイターの責任感とは、
皆に受けるものをつくることでもなく、
自分の面白いと思うものだけをつくることでもない。

皆を変えるものをつくることだ。


皆に受けるものは過去のものだ。
要するにパクリや同工異曲だ。
それはクリエイトではなく、
コピペやダビングや並べ替えや編集やキュレートだ。

自分の面白いものは、
動物的勘(主観)と、
人間や社会の共通点(客観)や歴史(客観)とが、
すべて考慮されたもののはずである。

これらは対立するのではなく、
同じ層に存在するだけだ。

そうではない。
今みんなが考えていることがあったとしたら、
それをどう変えるものになるのか、
がまだ見ぬ作品をつくる動機になるべきだ。

「これは世界を変える作品になる」で評価するべきだ。


世界を変えるには、
現状の世界を振り向かせなくてはならない。
振り向かせるにはどうすればいいかを考えれば良い。

陳腐なアイデアを使って振り向かせることもある。
ラノベっぽい枠組みならみんな見るから、
その中で本当にしたいことをやる、
というシステムもある。
(まどマギはそういうことだ)
「てんぐ探偵」の連載を女子高生主人公にしたら、
出版と話が出来ると言ったプロデューサーもいた。
(話を理解してないとしか思えなかった)

流行りの波に乗れば、流行る事もある。
タピオカなんて完全に波に乗った波でしかない。
あなたはn番目に出店するタピオカ屋になりたいのか?


あなたのするべきことは、
今のこの世界を、新しい方向に変えることだ。
じゃあ今のこの世界はどういうもので、
変えたあとはどういうものになるのか?
そのビジョンを文字にすること。

そして、それを実現するストーリーを書きなさい。
出来が良ければそうなるし、
出来が悪ければ詰まらないと言われるだろう。

僕はそれだけのことだと思う。


皆に受けるかどうか心配してるのは、
ただのキョロ充だ。
そんなやつが世界を変えられるわけがない。
世界を変える奴は、とんでもなく変なことを考えて、
それでも世間にうまくプレゼンした奴だ。

上手なプレゼンをする為に世界を知らなければならないし、
その世界にどうハンマーを振り下ろせばインパクトがあり、
その先どう誘導していき、興奮させ、
感動させれば世界が変わるかを、
あなたは語らなくてはならない。
posted by おおおかとしひこ at 10:17| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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