わざとやるテクニックのひとつ。
ある情報をわざと伏せておいて、
話を続けると、「あれはどうなったんだ?」
と集中をしながらも気になっている状態を作ることが出来る。
分りやすい例は、
たとえば野球中継で、
「捕ったか? 捕ってないか?」
を引っ張ることを想像するとよい。
これだと引っ張ることが数秒だろうが、
これを見た人がホームスチールを先にしてしまい、
一点取ったかどうかを、
グローブの中を見せることで、
どっちか分かる、というふうにすれば、
即ち、
「伏せたこと前提で話を先に進めたうえで、
その伏せたことを明かせば」、
それは劇的に見せることが可能になる。
あの時言ったこと、
秘密を知ったこと、
待ったのか待っていないのか、
どういうつもりだったのか、
などを伏せたまま、しばらく引っ張ることで、
「どっちでもあり得るが、どっちなんだろう?」
と観客が想像を逞しくする間を、
取ってもいいということだ。
意図的な引っ張りは、
このように情報の決定を遅らせることで作ることが出来る。
その間観客は想像を楽しむわけで、
言葉を変えると、夢中になっているということだ。
ストーリーに引き付けられるというのは、
単なる話題や結果に興味がある、
というだけではなく、
このような、ちょっとしたテクニックで、
変わることもあり得るわけだ。
ある行動の結果を伏せておく。
そこに主人公が現れる。
どっちだ?と観客は想像しながら見ることになる。
主人公だけでなく、
サブキャラや、敵役でも、
同じことが可能になる。
ある手紙を受け取る、
その中身を伏せたままで、それを読んだ人の行動を追う、
その行動の結果が出る、
そのときにはじめて手紙の内容がわかり、
「だからそんな行動に出たのか」
などとあとで納得する、
などは良く使われるパターンだろうね。
劇的アイロニーの逆の例だ。
登場人物(の一部)は知っているが、
観客には知らされないことがあっても、よい。
面白くなる方向へ、コントロールしよう。
2019年12月04日
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