2019年12月04日

ある情報を伏せたまま続ける

わざとやるテクニックのひとつ。


ある情報をわざと伏せておいて、
話を続けると、「あれはどうなったんだ?」
と集中をしながらも気になっている状態を作ることが出来る。

分りやすい例は、
たとえば野球中継で、
「捕ったか? 捕ってないか?」
を引っ張ることを想像するとよい。
これだと引っ張ることが数秒だろうが、
これを見た人がホームスチールを先にしてしまい、
一点取ったかどうかを、
グローブの中を見せることで、
どっちか分かる、というふうにすれば、
即ち、
「伏せたこと前提で話を先に進めたうえで、
その伏せたことを明かせば」、
それは劇的に見せることが可能になる。


あの時言ったこと、
秘密を知ったこと、
待ったのか待っていないのか、
どういうつもりだったのか、
などを伏せたまま、しばらく引っ張ることで、
「どっちでもあり得るが、どっちなんだろう?」
と観客が想像を逞しくする間を、
取ってもいいということだ。

意図的な引っ張りは、
このように情報の決定を遅らせることで作ることが出来る。

その間観客は想像を楽しむわけで、
言葉を変えると、夢中になっているということだ。


ストーリーに引き付けられるというのは、
単なる話題や結果に興味がある、
というだけではなく、
このような、ちょっとしたテクニックで、
変わることもあり得るわけだ。

ある行動の結果を伏せておく。
そこに主人公が現れる。
どっちだ?と観客は想像しながら見ることになる。

主人公だけでなく、
サブキャラや、敵役でも、
同じことが可能になる。

ある手紙を受け取る、
その中身を伏せたままで、それを読んだ人の行動を追う、
その行動の結果が出る、
そのときにはじめて手紙の内容がわかり、
「だからそんな行動に出たのか」
などとあとで納得する、
などは良く使われるパターンだろうね。

劇的アイロニーの逆の例だ。
登場人物(の一部)は知っているが、
観客には知らされないことがあっても、よい。

面白くなる方向へ、コントロールしよう。
posted by おおおかとしひこ at 09:34| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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