2019年12月10日

ストーリーと設定の違い

時間軸があるのがストーリー、
ないのが設定。
設定は、「これまでこうで、いまはこう」だ。

ストーリーとは、その設定のもとに、
「何をしたか」「その反響は何か」
で記述される。


世界A(設定)に対して、
オペレーションPを実行したとする。
世界Aにある何か(モノ、人)が反応して、
微妙に変化してBになる。
次にまたオペレーションQをする。
そうするとまたBの何かが反応して、
世界Cになる。

この繰り返し。

つまりストーリーとは、

AにPを「した」ら、Bに「なり」、
BにQを「した」ら、Cに「なり」、

最終的に、
Sを「した」ら、Zになってしまい、
それ以上変化がなくなった。

という形式で記述される。

世界を変えようというオペレーションと、
その反応による変化の遷移の記録が、
ストーリーである。


世界を変化するオペレーションとはなんだろう。

「誰かを殴る」はある。
「誰かの悪口を言う」は変化のレベルは小さい。

ほとぼりが冷めたらもとに戻るものは、
世界の変化へのオペレーションではない。

「掃除する」は世界の維持のオペレーションだが、
それをずっと見ていた誰かが、
黙って掃除に協力してくれるようになったら、
世界を変化させたオペレーションに昇格する。


設定は変化を含まない。
「これはこうである」と言う現在形か、
「これはこうであった」という過去形で記述されるので、
状態変移を含まない。

静的というのはそうした意味だ。


つまり、
基本、ストーリーというものは、
世界を台無しにすることの連続だ。

もとに戻らないなにかをすることがストーリーだ。

相手を怒らせて台無しにして、
謝って元に戻るのではなく、
相手に欠点を気づかせて変化があり、
自分も欠点に気づいて克服する、
などの、初期状態Aに戻らない状態変移を、
ストーリーという。

それが、最初より良くなっているものをハッピーエンド、
悪くなっているものをバッドエンドという。

僕は、ストーリーがあるからには、
最初のAより良くなるべきだと考えている。

悪くなって終わる世界にいるのは不快だからだ。

僕は世界を良くしたいから、
良くする具体例を沢山知りたい。
物語とはつまり、世界を良くするシミュレーションとして、
楽しめなければならない。

最終的に良くなるが、
途中で最悪の状態になることもあり、
それを起伏という。

単調増加して幸福になることは現実にはない。
良くなることと悪くなることを繰り返して、
徐々に結論へ近づいて行くのがふつうだ。


ということで、
「事態はちっとも進んでいない」のはストーリーではない。
どんな発言があろうと、元に戻るのはストーリーではない。
ストーリーとは、
「現状を台無しにする」「行為」で進む。

posted by おおおかとしひこ at 14:24| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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