2019年12月14日

自分軸/他人軸

星占いや四柱推命の性格分類では、
自分軸と他人軸で大きく人を二つに分ける。

自分軸が自分から発した理由で行動する人、
他人軸が他人から発した理由で行動する人。


星座では、
火と地、つまり、牡羊座、牡牛座、獅子座、乙女座、射手座、山羊座が、
自分軸。
風と水、つまり、双子座、蟹座、天秤座、蠍座、水瓶座、魚座が、
他人軸。

これらは基本性格は真逆だ。

真逆だから理解できないとか、
真逆だから気をつけて理解してあげようとかは、
まだ日常のTIPSに過ぎない。

作家は、これを物語に利用する。


自分軸は、自分の理由で行動するキャラクター、
他人軸は、他人の理由で行動するキャラクターだとすれば、
そこにはコンフリクトが生まれる。

単純な正義と悪の対決だとしても、
「自らの理由で悪事をする悪vs被害者のために闘う正義」
と、
「自らの理由で正義を貫く正義vs誰かのためにあえて悪を行う悪」
と、
「自らの理由で正義を貫く正義vs自らの理由で悪事をする悪」
と、
「被害者の為に闘う正義vs誰かのために悪事をした悪」
では、
ストーリーの質が全く違うわけである。

自分軸同士の喧嘩は死ぬまで引かないだろう。
他人軸同士の喧嘩は、他人からの批評や依頼で変質するかもしれない。
変化せずに貫くのか、変化して変質するのかは、
展開や構成に影響する。


物語は他人を描くべきだ、
と僕は常に言っている。

あなたが自分軸の人ならば、他人軸の人を主人公にしてはどうだろう。

依頼された仕事をこなす、告白される、
他人の評価ばかり求めて自分を失う、
成功しても他人から評価されない、
などの話を書くことができる。

あなたが他人軸の人ならば、自分軸の人を主人公にしてはどうだろう。

自らやりたいことを仕事に変える、告白する、
自ら突き進んで味方を失う、
成功しても自己満足できない、
などの話を書くことができる。


自分軸と他人軸は、どちらが正しいとかはない。
外面の結果が同じで行動が同じでも、
内面の動機が違うだけの話である。

誰かのために何かをしたのか、
自分のために何かをしたのか、
その違いだ。

で、
誰かのために何かをしたが、それは自分のためでもあった、
自分のために何かをしたが、それは他人のためでもあった、
ようにすれば、
どちらも自他幸福のハッピーエンドになるわけで、
入り口と途中が違ったとしても、
結末は同じになる。

ルートは沢山あるが、頂上は同じなわけで、
そのルートの違いこそが、
人生の違いになるわけで、
「他人の人生を経験する」ことこそ、
物語であるわけだ。


つまり、あなたは誰か他人の人生を疑似体験させるために、
物語を書くはずである。


カップルやコンビはどうだろう。
自分軸同士のワガママカップル、
他人軸同士の決められないカップル、
自分軸がリードし他人軸がフォローするカップル。

恋愛相性的には最後のものがよいとされるが、
よい相性だけが物語ではない。
最悪だけど離れられない、そんな組み合わせの方が面白かったりするよね。

男女を逆にするだけでも味わいは変わる。
上司と部下、親友、同僚、前線と軍師、
などなどでいくらでも変わり得る。

よくあるパターンの逆張りだけではなく、
こうしたことを考えた上で作ってみると、
新しいパターンの物語になるだろう。

二人ではなく三人なら?
四人や五人なら?
もうこうなると組み合わせは無限になってくる。
こうして豊かな人間群像劇になるわけなのだ。


性格の描き分けに星座を使うのは、
よく知られた方法論だが、
12を使いこなすのが難しい。

ということで、
大雑把に2で分ければ、
2のn乗個の物語を考え出すことができるわけ。
分類をざっくりやっても、パターンが多ければ有効だ。

これにシチュエーションや事件を変えるだけで、
全く別のストーリーに見えてしまうだろう。


あなたに似た登場人物はついつい肩入れしてしまうか?
あなたにない部分を持った登場人物に、
ついつい肩入れしまうだろうか?

どちらも自分にあり得ることを自覚するだけで、
感情や無意識のコントロールに役に立つ。
posted by おおおかとしひこ at 10:00| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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