2019年12月16日

セットアップは解決のヒント2

分かり易すぎるヒントは、ラストのネタバレになってしまう。
逆に分かりにくいヒントは、伏線にもなりゃしない。
地味でキャッチーでなくなるし。

こういう時は、多段で仕込むといい。


まずヒントAにキャッチーなものを仕込む。
主人公はAという何かがあるキャラであると。

これでキャラが立ち、印象に残る。

で、話を進めていくうちに、
Aになった元々の原因は、Bであったのだ、
とわかるように組むと良い。

で、このBと全体の解決が強く関係するようにすると良い。

そうすると、
「A(の原因B)が、解決の鍵だったのだ」
のような印象になるわけだ。

Aと解決を即決させず、
間にBをかましているわけ。


多段で仕込みたいなら、
BはさらにCで…
などとやればよい。
(過去ばかりが強調されて、
現在や未来が詰まらなくなることは注意しよう)



仮に例を。

Aに「高所恐怖症」を代入してみる。
キャッチーとは言い難いが、
まあ目立つ特徴で記憶に残りやすいことはたしかだ。

それと前後して全体を通す事件が起こり、
センタークエスチョンが定まり、
高所恐怖症というキャラの立った主人公は、
解決に乗り出すだろう。

で、実はこれはB「父との関係がうまくいかなかった」
が原因だったとしよう。
それがどう高所恐怖症に繋がったのかは創作しないといけない。
単なる説明やこじつけではなく、
我々観客が心からそうだと思い、
高所が怖くなるような、
心に来るエピソードを用意するべきだ。
つまりそれは「説明ではなく、感情移入」であるべきだ。

で、それに成功したら、
実は、事件解決はBが鍵だとわかればよいのだ。

つまり、
「その事件は実は行方不明の父が関連していた」とか、
「その事件のラスボスが父」とか、
「父は死んだが、浮気相手と作った子供がラスボス」
などだ。
こうすると、Aであるところの「高所恐怖症」と繋がって来る。

勿論、クライマックスは、断崖絶壁や塔の上、
ジェットコースターの上などで行われるに違いない。


この「繋がってきたぞ」という感覚そのものが、
「ストーリーを見ている感覚」ではないかと、
僕は考えている。
ストーリーの創作とは、
構成の中にいかにこのような「繋がってきたぞ」
を入れ込むことではないかと。


また、Aは大してキャッチーじゃないから、
Bに関連した何かに変えることが可能かもしれない。

仮にキャッチーなA2「生理前の女の気配がわかる能力」
を創作したとすると、
A2とBを繋ぐ何かを創作できれば、
これは強力な推進力になるだろう。
そしてそれが全体の事件とうまく関われば、
出来たようなものだ。
クライマックスは女子大とか女子刑務所とか女子マラソンだろうか。


このように、Aを変えることで、
セットアップは変わり、ストーリーはがらりとかわる。
それを試せるのは構想時だけだということはよく分かるだろう。
で、次はどうAを印象付けるファーストエピソードを作ろうか、
などと逆算で考えれば、
全体が整ったことになると思う。
posted by おおおかとしひこ at 14:42| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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