「日本語配列の最適はなんだ?」には、
色んな歴史があると思う。
それを世代別に分けてみようという試み。
【第一世代】ワープロ期
(ローマ字)
qwertyローマ字、M式
(カナ)
JISカナ、親指シフト(NICOLA配列)、TRONかな配列、50音順配列
(漢直)
漢直タブレット
パソコン以前、まだキーボードの形がひとつに決まる前。
M式、親指シフト、TRON、漢直タブレットは専用キーボード。
(のちにエミュレータで再現)
50音順は、銀行や公共の検索機などではまだ存在する。
入力が数文字で良ければ誰でも探せるが、
じゃあ数万字をそれで書くのに効率は良いとは言えない。
文字同士にはよく繋がる連接があり、それが指の繋がりやすい連接になっている方が、
効率が良いからだ。
その配列および最適な入力方法は、キーボードが生まれてから、
現在に至るまでまだ定まっていない。
【第二世代】ワークステーション〜Windows〜ネット黎明期
カンブリア紀爆発のように様々な配列が誕生。
その中でも飛鳥と月が両横綱だったように思う。
そこに新下駄が登場して戦国時代を終わらせたイメージ。
(リアタイじゃないので違ってたらごめんなさい)
実装は、IME(MS-IME、EgBridgeなど多数のIME)のローマ字テーブル、
窓使いの憂鬱、のどか、やまぶきR、DvorakJ、Karabiner、Lacailleなど。
(12/18追記: kouyさんが実装についてさらに詳しく書かれている。
https://mobile.twitter.com/y_koutarou/status/1206927488720367616
当時を生きた人の証言はつよい)
(ローマ字)
SKY、SKY#、SKY++
Azik、チーズタイピング、Dvorakローマ字、DvorakY、DvorakJP、
ACT、JLOD、OEAローマ字、mykey、phoenixかな配列
和ならべ、Km式、さくら配列、やつがしら、きゅうり改、いぬふぐり配列、
luia配列、蒼星、つばめ配列、海配列、ローナ、色波2、宙配列
けいならべ、myst配列、鷲配列、AOUR配列、
gACT10配列、KKGon配列、AKonD配列
市式仮配列、ひばり配列、すずめ配列、カナガワ配列、ロマかな、
こまどり配列、つぐみ配列
(カナ)
新JIS配列、花配列、
月配列(2-263)、月U、月Y、
月3-285改、幸花配列(月4-698)、叢雲配列、
ぶな配列(5-315、5-532、5-680)、ミズナラ配列、朧月配列
月E、月K、月T、月見草配列、星配列、弓配列
龍配列、姫踊り子草かな配列、MiLOQ配列
飛鳥配列、かえであすか配列、あまのあすか配列
Nicola拗音拡張、中指Nicola、
小梅配列、蜂蜜小梅配列
稲配列、さら配列、翡翠配列、蜂鳥配列
蜩配列、New Stickny
Azik_hybrid配列、qwerty_hybrid配列
下駄配列、塗り下駄配列、黒塗り下駄配列、桐下駄配列、日和下駄配列
新下駄配列
(漢直)
SKK(漢直でもないし配列でもないが便宜上ここに)
風、超絶技巧入力、T-code、TUT-code、G-code、phoenix
(ケータイ)
ベル打ち
【第三世代】SNS普及期〜自作キーボード黎明期
前世代とは違うパラダイムから作られたものが多いと思う。
ブロガーを中心に突如親指シフトが復興。
Macbookのorzと相性が良かったことも影響か。
連文節変換、予測変換、ライブ変換、google日本語入力など、IMEの変化も。
実装はOSのアップデートによってほぼ壊滅、
DvorakJ、紅皿、Karabiner-Elementsが三強か。
アダプタ型のかえうち、
自作キーボードのファームウェアQMK_firmwareによる実装のものも。
(ローマ字)
カタナ式、Harmony配列、Harmonix配列、Eucalyn配列、tomisuke配列、
大西配列、とかげ配列、6ppng配列、Astarte、Concordia、Cuyz、ツナ恋配列、サーモン配列
mato式、ヤウ配列
(カナ)
薙刀式、中指シフト月光、英月配列、
よだか配列、かわせみ配列、
蛇配列、いろは坂配列、シン蜂蜜小梅配列
ブリ中トロ配列、れんか
(漢直)
葦手入力、川月配列、和音漢直、のにいると、雪華
(スマホ)
フリック、フラワーフリック、カーブフリック
アルテ入力、Godan
(タブレット)
iPerky
(音声入力)
いくつかの方式(詳しくないので加筆たのむ)
主だったものを取り上げたつもりだが、
漏れもあるかもしれない。
複数人による言及配列、つまり作者一人の主観でないものを選んだつもりだが、
そうでないものも混じるかも知れない。
現在は、
事実上のデファクトスタンダードが、
フリックとqwertyローマ字(ブラインドタッチ率30%)の両横綱で、
次いで僅かに音声入力と親指シフトとJISカナ、
さらにごく僅かに新配列勢、と思われる。
自作キーボードの火がついたこともあるし、
国産キーボードがリアフォとhhkbを除いてほぼ壊滅と考えると、
今後は一つの配列が普及というよりも、
情弱は押し付けられたデファクト、
情強はそれぞれがそれぞれを勝手に使う(改造も含めて)時代になるのでは。
それらがそのうち収斂進化を遂げることもあるかもしれない。
そもそも日本語を最適にデジタル化する方法は、確立していない。
それは、
「26アルファベットをqwertyで(変換なしに)直接入力する」
をほぼ唯一の方法とする英語ネイティブに比べて、
最も劣り、逆に最も面白い部分ではないか?
我々日本人は変態性を言葉にも入力方法にも持っている、
と言うのは言い過ぎだろうか。
もっと沢山の配列や、もっと深い練度や、もっと広い使い手が出てきて、
もっと切磋琢磨するといいと思うよ。
(追記)
2022.9.8 シン蜂蜜小梅配列、tomisuke配列を追加。
実装の部分に紅皿を追加。
azooKeyというiPadでフリックありのキー配列を自作できるアプリができたため、
新しいフリック系新配列ができるかも知れない。
2024.4.19 6ppng配列、ブリ中トロ配列、れんか、
和音漢直、アルテ入力、Godanを追加。
2019年12月17日
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