2019年12月28日

短編には起承転結法は有効

原稿用紙4枚程度なら、起承転結法で書くのはとてもよい。
練習してみよう。


起: 1ページ(約1分)
事件が起こる。
主要登場人物が出てきて、それを解決しようとする。
事件といっても殺人とか戦争とか、
長編でないと解決できないのは避けよう。
これは4ページで解決する事件だ。
遅刻しそうとか、勘違いするとか、それくらいの浅さだ。
「尺に応じた事件と解決のペアを選ぶ」ことは、
実は最初の難関である。


承: 1ページ(約1分)
事件は発生後の次のステージへ。
新しい登場人物が出るとしたらここか。
解決しようとしてなにかをして、
その途中があるだろう。


転: 1ページ(約1分)
一見順調に見えた流れが、大きく変わる。
順目が逆目になる。
思っていたことと違うことが起きて、意外性がある。
どんでん返しをしてもよい。

結: 1ページ(約1分)
事件は無事解決。
落ちとなる。
落ちた感じがしないなら、冒頭のなにかを使って落ちにふるとよい。
そうすると「伏線が回収された」気持ち良さになる。
ないなら戻って伏線化すれば落とせるよ。


たったこれだけなのだ。
これだけが出来れば、
シナリオなんて誰でも書ける。
しかしこれが難しいから、
みんな苦労してるし、面白い話は量産されない。
じゃあお前書いてみろよと言われても、
今パッと出来ないから、そもそも難しいのだ。

武道では最初に奥義ありという。
最初に拳の握り方や立ち方や構えを教えるが、
それが一番難しく、そして最も大事なことだから、
第一印象を与えておき、
最も長い時間稽古出来るようにしておく。

起承転結はそれに近い。
言ってみれば簡単な構造だが、
万人が毎回できるものではないのだ。

4枚のシナリオを10本書いてみよう。
100本書いてもいいぞ。
シーンはずっと同じ場所でもいいし、
河岸を変えても構わない。
起承転結を1枚ちょうどずつにまとめるのも技量がいる。

落ちをつける練習にもなるし、
展開を順目と逆目を作る練習にもなる。

多少は総文字数は変わってもいいが、
総ページ3はショートだし5はロングだ。
それ以内にまとめてみたまえ。

やってみれば分かるが、
1ページ400文字は意外と短い。
どう凝縮するのか、
必要なところだけをどう取り出すのかの訓練になる。


これより長いものに関しては、
起承転結法は有効ではないが、
「全体を俯瞰して落ちまで見えた状態で書く」
ことの経験値は、これでたくさん積めると思う。

正月休みにどうぞ。

プロットを考えてから書いてもいいし、
アドリブで落ちまで書いてもいい。
何本も書けば、
じっくりプロットを組んだ方が有効だと気づく。
それだけでもこれを経験する価値はある。
posted by おおおかとしひこ at 13:41| Comment(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。