妄想が現実になると、
そのリアリティの無さに恥ずかしくなる場合がある。
僕はいつも、
「エアセックス童貞部門において、
童貞たちはありえない位置におっぱいがあるていになる」
という笑い話でそれを説明する。
そういえばSW9にもそんな場面があった。
以下ネタバレで。
気になった点はふたつ。
・「ファイナルオーダー」の宇宙船と人員はどこから来たの?
・島に沈んでいたXウィングのウェザリングが不自然
「ワーハハハー時すでに遅しー
ファイナルオーダーの艦隊が集結したのだー」
という絵のために、
スターデストロイヤーの艦隊集結の絵を見せたかったのはわかる。
一隻ですらあの星を破壊した、
恐るべきスターデストロイヤーが、
天空を覆うほど集結している!
なんたる絶望!
というのは分かる。
でもおかしいよな。
なぜ平面上にならぶ?
その隊列にどんな意味が?
渡り鳥たちは、
先頭の起こした気流の後ろにつくことで楽をすることが、
知られている(スリップストリーム)。
ある船の後ろにはそういうものが発生するのだろうか?
渡り鳥がV字編隊を組むのは、
左右に羽がついてて、気流が左右に分かれるからである。
しかるに、スターデストロイヤーたちは、
格子型に並んでいた。
その空中浮上の仕組みは不明だが、
格子隊列が合理的とは思えない。
(やってきた正義の仲間たちは三次元上にならんだのに)
これは、童貞のおっぱいである。
また、一隻動かすには、
相当量の訓練された人員と、燃料と、建造の材料と、
建造の期間が必要だ。
それが何も知られず、
いつのまにか建造が終わり、訓練され、
集結できたことの理由がわからない。
ワープはその前に検知できる筈だから、
相当量の艦隊の出現を、
なぜ誰も(レイア達以外に反帝国軍がいたことが、
のちの展開から分かる。銀河には、
レイア達と帝国軍以外もいるはずで)
検知していなかったのか不明。
だとすると、パルパティーンの凄い力で隠したのだ?
そりゃ童貞のおっぱいだ。
第二次大戦におけるアメリカの空母建造量のハイペースはよく知られているが、
それもこれも国力の差である。
その国力はどこから来たのか?
アメリカは自国民に対して、
様々な広告キャンペーンを打つことで、
戦争へ行こうと促した。
帝国の領地内で、そのようなことがあったか?
帝国だから帝王がいるはずで、
パルパティーンの存在は伏せられていたとして、
傀儡の帝王はそんなに国民に対して魅力があったのか?
北朝鮮のように恐怖で縛っていたのか?
小国なら可能だろうが、そんな大国で可能かな?
こういったスペースオペラの敵国は、
大元を辿ればナチスだろうけど、
ドイツだって財政破綻しそうな事情があって、
戦争を選んだはずだ。
悪だから戦争を仕掛けたわけではない。
21世紀も始まって20年も経つというのに、
この「悪の帝国」への考察のなさはなんだろう。
「ワーハハハー絶望しろー
俺たちは凄い数の悪だー」
こそが、僕は童貞のおっぱいだと思う。
ナチスは貧乏人を救うヒーローとして、
ドイツ国民から熱狂的に迎えられたはずだ。
フィンたちは貧乏だったからストームトルーパーになったんだっけ。
ストームトルーパーってクローンなんだっけ。
その辺の帝国の事情、正義、目的、
実在感のなさが、
もう童貞のおっぱいだ。
Xウィングが島の海底から浮上するシーンは、
一瞬うおおおってなるけど、
そのディテールに童貞のおっぱいがある。
あのウェザリングは、戦車兵器のそれだ。
油でメンテナンスして、
風雨にさらされたタイプのそれ。
何かが垂れた跡が金属表面に見えた。
地上に長い間放置したり、
ずっと地上で使っていたりすると、
ああいう汚れになるのはわかる。
角が剥げていたり、
砂で煤けているような感じもあった。
そして、「メカが汚れている」というリアリティを、
映画に持ち込んだのはスターウォーズが最初だった。
だが、あのXウィングは、
海中に長いことあったんでしょ?
錆び方が違うでしょ。
ちなみにこの話を後輩のSW信者にしたら、
「あの海は錆を生まない海である可能性がある」
と言われ、そのご都合ぶりに、
SFとはそのような都合の良い妄想ではない、
と喧嘩する気すら失せた。
ウェザリングとは、
「長い間現実の空間で置いてあったような表現」
だと思う。リアリティを足すのだと。
長い間海中に沈めてあるのであれば、
たとえばタイタニックのように錆びていて、
サンゴが付いていて、貝類が付いていても良いではないか。
それが申し訳程度に海藻が絡まる程度で、
「前作のウェザリングをテクスチャとして貼り付けた」
Xウィングが出て来たに過ぎなかった。
ただのオモチャやないか。
こういうところに、
童貞のおっぱいを僕は見る。
毎度毎度スターデストロイヤーが、
新品同様の部品構成なのも、
毎度おかしいと思う。
あの部品類はどこの工場で生産してるのだろう?
あんなにちゃんと部品を新品で揃えるのは、
相当大規模工場が必要で、
そこでの雇用問題や環境破壊もあるはずで。
材料の輸送の問題もあるだろうに。
マンション一つ作るのにどれだけかかるか考えれば、
スターデストロイヤー建造の手間が想像できるかもだ。
だからあれは、巨大建造物には見えず、
テクスチャを貼り付けたBlender上のモデルに見える。
妄想は良し。
それこそが物語だ。
しかしそれが「本当にある感じ」だから、
物語は、途中で嘘だと冷めない。
SWに熱狂できる人は、
現実認識のレベルが低いのではないか。
2019年12月30日
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