宇宙は真空なので、爆発音やビームの音が鳴るのは、
非科学的ではないか、と記者が質問したときに、
ルーカスはこう答えたという。
これはフィクションに関して重要な考え方だ。
物語は事実と異なっていい。
科学法則すら違っていていい。
問題は、それが一旦設定されたら、
その世界の中で矛盾しないことだ。
ルーカスの宇宙では、
つまりスピーカーを使って宇宙に音を鳴らすことができる。
ドップラー効果が起こる。
ソニックブームが起こり得る。
媒体(エーテルとしよう)があるから、
その粘土の差によって光や重力の干渉がある。
粘土の差が均等になろうとする力が働くから、
エーテル風が起こる。
惑星の運動に対して抵抗が起きるから、
惑星や恒星は早くに静止してしまう。
空気砲のように、エーテル砲が物理攻撃になる。
もしこれらのことを使った何かを、
ストーリーに利用していれば、
「音の鳴る宇宙」を、
十分に活用していることになる。
ところがそうではない。
だから、音の鳴る宇宙は、
子供じみた言い訳だ。
ある嘘をつくからには、
その嘘で世界を統一しよう。
その嘘の届くところ全てを考察しておこう。
それがフィクションを、
現実たらしめる。
もし音の鳴る宇宙が存在したら?
そこでは通信、兵器、文化、効率化が、
どのようになるだろう?
そこまで考えて、
しかもそれがストーリーにとって有用な効果を出したとき、
はじめて「僕の宇宙では音が鳴る」
と宣言していいと思う。
キューブリックは逆に、
無音の宇宙、等速直線運動しかない宇宙、
あまりにも何もない宇宙という、
リアルな宇宙の恐怖を描いた。
その恐怖は、逆に宇宙船内を濃密な密室に変え、
人工知能の進化という恐怖に重なることになった。
ファンタジーは良し。
それを利用してないのは、ファンタジーではない。
子供じみた妄想どまりである。
逆に、妄想をそこまで突き抜けさせれば、
作品になる。
SWとはまた違う問題ですが。
https://twitter.com/AraiHunter/status/1214423362472034304
リアリティは大切ですが、それに縛られすぎても
面白いキャラクターを考えられなくなってしまいそうで
そこらへんが難しそうな〜だと思いました。
どこまでやっちゃって良いのだろう?…と。
それを扱う人間が「その文脈でおかしい」と思わなければOKだと思います。
ピアノとかで考えれば分かるかと。
仮に「足でピアノを弾く」場面を描きたかったら、
足でピアノを弾くにはどういう苦労があるのか、
調べた上で書けば問題ないでしょう。
「知った上で嘘の範囲を決めて、それを約束事として早めに提示し、その範囲内で何かを語る」という責任が果たされていれば、
信用されると思います。
件のドラマは見てないですが、
ロスの射撃場でも、空砲だとしても銃を人に向けるなと言われましたね。
問題はそういうことを知っているか知らないかで、
知らない人が知らないまま書くことは、腹が立つものです。