実感として評価するには、
「複数の配列をマスターして比較しなければならない」
という困難さに尽きると思う。
薙刀式と親指シフトは、どちらがどう優れているか?
新下駄と飛鳥は、どちらがどう?
新下駄と薙刀式は?
じゃあ月といろは坂は?
配列の数だけ組み合わせがあり、
自分内トーナメントを開かない限り、
同じ基準で評価することができない。
しかも、個人個人の能力(物理も含めて)にはばらつきがあることが、
評価にとても影響する。
僕は指が短いので、TYを使う配列や、広範囲配列を評価しない傾向にある。
あと左薬指が苦手なので、多用する配列は落としがち。
同程度の熟練も難しい。
年季の入ったqwertyには、数ヶ月程度の新配列では勝てない。
新配列同士だって練度の差はあるだろう。
また、「マスターが早い」配列の評価がおざなりになる。
あるいは、
「一度配列をマスターすると、
『配列をマスターするスキル』がつくため、
二度目以降の配列マスターがとても早くなる」
現象があって、
「あの配列はマスターするのが難しかった」
という主観を大きく曲げる。
難易度は、
客観的には単打率、範囲の広さ、
清濁が別か同置か、拗音をどう打つか、
などを挙げることが出来るが、
数値化できるものでもない。
運指の滑らかさも客観指標は必ずある筈だが、
定式化できていない。
(qwertyは運指が最悪な配列のひとつだが、
運指最適化である程度対応できる配列でもある)
また、10指の能力自体が、人によってばらつきがありすぎると感じる。
また、物理キーボードや打鍵法のファクターも意外とデカイ。
とくに親指シフト系列。
新下駄や月はその影響を受けない優れた点があるが、
それをどう評価に結びつけるかも難しい。
薙刀式は使う分にはシンプルだが、
実装は恐ろしく面倒だ。
(月の簡単さに比べれば異常とも言えるだろう)
飛鳥の同時連続シフトの実装は、やまぶきRとかえうちとQMKしか対応していない。
そしてその目的である速度だが、
主観的速度(楽になった)と、
客観速度(秒で測れるもの)とが混在し、
客観速度も所詮コピー打鍵であり、
「思考を文字化する」こととは遠いシミュレーションに過ぎず、
短文で競うことは現実の場面と乖離が大きい。
使い手と配列を分離するには、
統計的に十分な人数で試さないとわからない。
(Aさんを最速にするが他の人はサッパリな配列と、
突出しないがみんな1.2倍程度にはなる配列と、
どっちが優秀か?
これは「どの武術が最強か?」という議論と同じ構造)
などなどの、
沢山の曖昧な点が多いので、
議論は尽きないわけだ。
僕は、
qwertyローマ字、
カタナ式、
下駄配列、
飛鳥配列、
親指シフト、
新下駄、
新JIS、
薙刀式を一通りは打てる。
(下駄、新下駄、飛鳥、親指シフトの一部はあやふや)
これらに関しては手の感覚が大体分かっているつもりだが、
薙刀式やカタナ式ほどわかっているわけではない。
だから僕の感覚や発言だって、
公正であるわけはない。
じゃあ習熟してから話せよ、
ってなっても、冒頭に戻るわけだ。
配列やキーボードは、
僕は「触覚の設計」だと思っていて、
見てるだけじゃ何もわからなくて、
触って初めて理解できるものだと思う。
自作配列を作る人ほど、
他の人の配列を触って彼我の違いを感じ取るけど、
ただ使う人は、
ただ不安なだけかもしれない。
「これ以外にも自分に向いてるやつがあるんじゃないか」
って思い出したら、止められないからね。
だから僕は3つくらいは試してみたら?
などとよくいう。
その中から合うものがあれば、
たぶん合う。
個人の主観が評価に大きく左右される。
なるべく客観的ではありたいが、
「手の違いがどのように配列に影響するのか」
などすら分からないからねえ。
ということで薙刀式はいいぞ。
新JISもおススメ。
学習初期の大変さに我慢できるなら新下駄飛鳥は良い。
ローマ字は左右分離行段なら好みでよし。
カタナ式は尖ってて最高。
親指シフト、qwertyローマ字は運指効率が悪い。
JISカナは小指を壊す。
2020年01月05日
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