2020年01月07日

【薙刀式】格子配列とロウスタッガードの比較

僕は、伝統的な左に傾いている物理配列、
ロウスタッガードで腱鞘炎を起こした。
格子配列に変えてからそれはない。

何が違うのかというと、
「左手首を机につけて、左回転させるかどうか」
が決定的だと思う。


なぜ左に傾いているのか?
タイプライターのハンマー(キー下にあり、
印字まで繋げる縦棒)の物理干渉を避けるためである。
右に傾いても良かったが、
「右に原稿を置き、左にタイプライターを置く」
という打鍵習慣だったそうで、
左に傾いたそうだ。

この伝統から、ハンマーが不要になった電子回路でも、
キーは左に傾き続けている。

僕が左手腱鞘炎になるまでは、
そういうものかと思っていたが、
痛みの原因がそれだとわかると、
なんでやねんと思うようになる。

で、左右対称の物理配列を使ってみたくて、
自作キーボードに手を出した。

左右対称形には、
格子配列、コラムスタッガード(縦ズレ)、
シンメトリロウスタッガード(Scythe、Zincシンメトリ版)、
異形ロウスタッガード(Treadstone系列)
などがあるが、
僕は簡単そうな格子配列に手を出した。

触ってみた感じ、異形ロウスタッガード、いわゆるTS配列も、
かなり使いやすい。


で、本題。

ロウスタッガードの腱鞘炎の原因はなんだろう?
「左手の、(上から見て)反時計回転」
だと考える。

右手は斜めに置けばいいから一々回転しなくていい。
(BSやエンターなど、ワンテンポ開くときに時計回転するが、
左手の頻度より低い)
しかし左手の、
特に薬指や小指を観察していると、
指の曲げ伸ばしだけでなく手首の回転、
反時計回転と、腕の軸方向の回転(ローリング)
を併用していることがわかる。

これは左手の指が右手ほど器用ではなく、
力も弱いことから、
より強い筋肉を使って打っている、
ということだと僕は理解している。

これは手首を付ける派に特に顕著で、
浮かす派は気づかないことかもだ。
僕の掌の下部分の小指側、
中国武術でいうところの小天星部分
(掌打はここで打つ)は、
机に接し続けてタコが出来、変色している。

夏場に木製のパームレストを使ってて気づいたのだが、
左は点っぽくて右は面っぽい汗の跡がつく。

なるほど左は回転のための接触で、
右は置くための接触と、
左右差に気づいていた。


さて、左手の反時計回転だ。
これには、前腕部の、
打鍵姿勢を取ったときに下や外にある、
長掌筋と尺側手根屈筋が使われる。
最も腱鞘炎になりやすい、弱い筋肉である。

で、僕はそこを痛めた。
しかも手首回転の自覚がないから、
余計に厄介だ。
僕は薬指や小指を動かしているつもりなのに、
実際は長掌筋と尺側手根屈筋を使って打っている。
自覚がないからマッサージもしないし
(薬指や小指は使った自覚があるから、
マッサージなどのケアをする)、
だからある日壊れるまで気づかない。


もっとも、
僕よりも指の筋肉やコントロールがしっかりしていて、
そもそも長掌筋と尺側手根屈筋を使わない人もいるだろうし、
長掌筋と尺側手根屈筋が僕より強い人もいるだろう。
たとえばkouyさんは、
「左手のほうが回転を使えるので打ちやすい」
と過去発言されていた。
しかし僕にはその負荷が大きすぎて、
痛えよ!ってなるまで気づかなかったわけだ。

で、
僕はロウスタッガードを捨てた。
少なくとも左右対称ならば、
左手だけ痛めることはないし、
右手でも異変に気づけると思ったからだ。


どちらが速く打てるのか?
というのはタイパー的な興味だろう。
僕は長文を大量に打ちたいので、
疲労を自覚し、コントロールできるのはどちらか?
という観点から、
格子配列を勧める。

(コラムスタッガードやTSもあり得るが、
常用してないので不明。
また、Scythe、Zincシンメトリは、
触って見た感じ腕がハノ字になり過ぎて僕には向かなかった)


ロウスタッガードの方が運指最適化が出来るからいい、
という意見に関しては、
そもそも最適化しないといけない配列は拙劣である、
ということで反論したい。

左ロウスタッガードは、
左下右上方向が近く、左上右下が遠い。
この感覚と格子配列の距離感は異なり、
これが連接に影響を与える要素はあるだろう。


薙刀式は当初ロウスタッガードで設計された。
左手はAWEFの頻度が高く、
右手はJKL/の頻度が高い。
左手は中段中心のΩ型、右手は人差し指を除いて、
下段中心のΩ型になっているところが、
「全体を左に傾けた形」が、
無意識に出ていると最近発見した。

最初から格子配列で設計していれば、
また全然違った配列になっていたかも知れない。

(今のところどちらでも使える配列を、
薙刀式は目指しているが)



ということで僕はなるべくロウスタッガードは使わない。
左手が痛くなるからだ。第一重いし。

手を壊すような道具は、道具として二流だと思う。
posted by おおおかとしひこ at 14:02| Comment(2) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
細かいことすみませんが、最適化できる人なら配列関係なくロウスタッガードは楽しいと思いますよ。
例えば、もし私が決定版の薙刀式使うなら「とて」「こし」は人差し指→中指で積極的に打ちます。この連接だけ見ればこの方が楽だからです。格子配列ではこの打ち方は辛そうです。
一方で、創作文で最適化を自然にできるようになるには膨大な練習が必要で、その事自体が効率悪いというのは同意します。他方で格子配列なのに最適化推奨のQWERTYを使い続ける事は拙劣であるとも思います。
ちなみにいろは坂は「どちらでも押し良いキー」があり最適化前提で設計してます。
Posted by めんめんつ at 2020年01月07日 19:34
>めんめんつさん

僕はまだブラインドタッチ歴3年なので、
そこまでのことをやろうともしないですねえ。
元々3本指くらいで使ってたので、
キーボードはそれくらいにならないかとずっと考えています。
自分の手書きだってそれくらいだし。

一方、指が動く人は最適化も楽しいでしょうね。
道具は常に消えるべきだと考えています。
キーボードは僕の意識からなかなか消えてくれない。
スマホは大分消えるときがあるので、
指をバラバラに沢山動かすのが、
そもそも僕は嫌いなのかもしれません。
Posted by おおおかとしひこ at 2020年01月07日 23:09
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