結論から言うと、
7110の連接のうち、44連接に気を配れれば、
清濁同置の方が合理的だと考える。
清音と濁音(半濁音)は同じ位置であるべきか?
(たとえば清音+濁点の2打で濁音化したり、
清音となにかのキーと同時押しで、濁音化するなど)
それとも別の位置であるべきか?
これは長らくカナ配列設計の際、
問題になってきたことだ。
通説では、
「同置は記憶負担が少なくて良い。
しかし清音と濁音は本来別の連接を持つから、
別置にしてそれぞれの運指について最適化するべき」
とされていると思う。
同置配列の代表には、
JISカナ、新JIS、月配列(濁点後置)、
親指シフト、TRON、蜂蜜小梅(逆手親指同時)、
下駄(逆手薬指同時)、
薙刀式(逆手人差し指同時)などがあり、
別置配列の代表には、
飛鳥、新下駄、月光などがある。
また、「が」などのいくつかの濁音の頻度が特異的に高いから、
そこだけ別置で他は同置(一部別置)という、
いろは坂のような考え方もある。
僕は同置派の考えで、
記憶負担が第一の理由だ。
練習時間が組合せ爆発を起こすことも問題で、
僕はこれで新下駄も飛鳥も挫折した。
また、日本語には連濁(「ときどき」「それぞれ」など)があり、
前半と後半で違う運指になることに違和感がある、
とこれまでも書いてきた。
だからなんとなく、
別置はガチ派上級者向け、
同置はライト派向け、
などという住み分けができていたかと思う。
で、調べてみた。
そもそも別置の根拠となっている、
「清音と濁音で連接が違う」は本当だろうか?
【調査方法】
kouyさんの100万字統計のうち、二連接統計を使用。
たとえば「か/が」に関して、
「か○」「が○」「○か」「○が」の二連接を抽出。
清音と濁音で並べて比較してみる。
比較数が膨大な為(全組み合わせで7110)、色分けランクを頻度の代わりとした。
なお元資料の頻度ランクは9色の色分けだが、
直感的に頻度が分かりやすいように「赤の濃度」で示す。
得られたのが以下の図表である。
見た目のビジュアルでいうと、
縦縞部分がそのカナの持つ頻度の高い連接で、
それは上下とも、あるところにはあり、ないところにはないことがわかる。
また、上が下より色が濃い、つまり清音の頻度が高い。
つまり、清音と濁音関係なくそれぞれ結びつきやすいカナの傾向は同じで、
おおむね清音のほうが頻度が高い。
ただし、多少の例外あり。
先程組合せ爆発の話をしたが、
この全二連接において、
清濁同置であれば、記憶負担と運指練習を半分に減らせるわけだ。
さて、「多少の例外」を見てみよう。
濁音(半濁音)>清音になっているものだけを、
この表でハイライトしてみよう。
56連接/7110連接という結果だ。
わずかこれだけしか例外がないことに、僕はかなり驚いた。
これらのうち、
頻度の低いものや、
清音連接がそもそも高くて、清濁同置では自動的に濁音連接も考慮されるもの、
を除外すると、
の45連接が得られる。
ちなみに、「が」、「で」で抽出された「がで」が重複するため、
44連接と数えよう。
テキストに起こしておくと、
では であ です んで うで ので まで とで かで がで
が、 があ すが ちが がお がき がす がと がは きが くが れが
など けど
うだ だけ くだ ただ だろ ださ
あげ
じっ じぶ じめ ーじ
んぐ
えば っぱ
ぶん うぶ じぶ っぷ んぶ
ぼく
の44。
(これらを眺めると、自然文でよく出てくる連接のため、
清濁同置サイドが考慮にいれないわけがないものばかりだと、
個人的には思う)
さあ、
清濁同置と別置、どちらが合理的だろう?
この44連接をすべて拾い切れるほど、
頻度高い二連接で良運指に設計できるなら、
別置は合理的だろう。
しかしその場合、
ハイライトされていない方の膨大な暗黒大陸が、
似たような連接プロフィールを持っているにも関わらず、
別運指を強いられる欠点を持つことになる。
しかも清濁で似たプロフィールのカナは、
マイナーカナであることに注意されたい。
つまり清濁別置は、
マイナーカナで練習しづらい割に多く、
別運指であるという、
二重負担があることになる。
「清濁で異なる連接を持つ部分を、別運指で出来る」
メリットの逆の、負の部分だ。
僕は、清濁別置に、メリットよりもこのデメリットを重く感じる。
このデメリットよりもメリットを重視する人だけが、
清濁別置を使うと良い、というのが僕の結論だ。
つまり、
上で抽出された44/7110の濁音運指が気をつけられていれば、
清濁同置で十分、
ということ。
それよりも、
拗音や外来音を打ちやすくしたり、
三連接(以上)を打ちやすくしたり、
シフト方式をやりやすくしたり、
ミスタイプしにくいようにしたり、
頻度が低い為覚えにくい小書や半濁音に工夫したり、
機能キーやIME操作まで考えたり、
などのほうが、
ずっと考慮すべきことのように僕には思える。
実の所この調査をしてみた動機は、
別置で有利な部分を探して、
「やっぱ清濁別置には勝てないや」と言いたかったからなのだが、
余りにも例外が少なくてびっくりしてしまったのが本音だ。
しかも、濁音のほうが頻度が高いものは、
評価打鍵をきちんとすれば、気づくレベルの連接だ。
清濁同置だからといって、「では」「です」を軽視するはずがない。
つまり、
「清濁は別連接」に、根拠などなかったことになる。
(最初の濁音「が」に例外が多い為、
他の濁音もそうだろうと、
勝手に思ってしまったのが真相ではないか?)
むしろ、
kouyさんの100万字統計という貴重なデータがあるにも関わらず、
清濁別の連接運指を実際に比較しなかった先達たちは、
盲目的と批判されてもやむなしだ。
ということで、
安心して清濁同置で、ぼくは頑張ることにする。
新下駄や飛鳥など、別置がマスター出来た人は、
使えば使うほど定着するだろうし、
あえて同置をマスターしなおす必要はないと思う。
しかし今後別置派は、
別の合理的な理由で説明する必要があると考える。
「親指シフトはワープロコンテストで最強を誇った」
という都市伝説が一人歩きしたが、
実態は900字/10分程度だったことと同じだ。
「清音と濁音はそもそも別連接である」は都市伝説である。
実態は、ここをソースとするが良い。
あまりよく知らないんですが、清濁の連接の違いを重視してるケースってたとえばどの配列でしょうか?飛鳥はそんな気はしますが。。
清濁別置は総打鍵数減少をロマンとして開発された、という認識です(特に順次打鍵配列)
ローマ字→かな清濁同値→かな清濁別置
というように打鍵数減少するにつれ配列の難易度は上がりますが、同値の人が別置に行かないのはロマ勢がかな配列を始めない事と同じ理由と考えています。
具体的にこの配列が、というのはわかりませんが、
新下駄が出てきた前後の2ちゃん配列スレなどでは、よく見た意見です。
月配列を清濁別置化しようとしてた流れだったかな。
(リアタイではなくあとから全部読んだので記憶が曖昧…)
飛鳥の21c-219版ではMに「が」と「を」を置いていて、
格助詞はここ、みたいな強い意志を感じましたね。
「いくつかの代表的な濁音に関しては、
清音と運指を分けて考えるべき」
というのが実際の所だと思います。
打鍵数減少はどうなんでしょう。
濁点後置は明らかにだめだけど、
同時打鍵配列、たとえば規則的な濁音同時の親指シフトと、
清濁別置同時打鍵の飛鳥を比較すると、
簡単な計算で過去に計算したら、140:150くらいでした。
https://www.google.co.jp/amp/oookaworks.seesaa.net/article/456176201.html%3famp=1
飛鳥は打鍵数そのものより、運指の繋がりを最も重視しているので、
清濁別置で考え抜いたと思われます。
実際、清濁別置配列の奥底のところは、
よくわかっていないというのが実情では。
月光が現在進行形の清濁別置で、
いつかまとまった考えになるだろうと期待しています。
順次打鍵系では打鍵数減少と濁点キーを空ける事、同時打鍵系では同置でも濁音自体は1動作で打てるから別置での連接の違いに着目するのかなと思いました。
使用者のレビューがもっと出てくるといいですね。
ああそっか、濁点キー忘れてました。
Lあたりに置くのが定番だけど、
無駄な位置を取りますよねえ。
月系をずっと触ってきた人が清濁別置に走るのも、
そのせいなのかなとも見ています。
濁点打ったらそのあとは運指が変わるので、
「連接が違う」とも言えますね。
同時打鍵で濁音化する以外はあんまり念頭になかったかも…